中央区立郷土天文館(タイムドーム明石)では、東京150年記念・第19回特別展「中央区の西洋医学事始」が開催されています。http://www.city.chuo.lg.jp/event/culture/_user_tobun_time_201710141723.html
中央区には数多くの「発祥の地」がありますが、このタイムドーム明石のそばには「解体新書」の翻訳を記念して「蘭学の泉はここに」という記念碑が建てられています。碑の右側(赤い花崗岩の方)には白く人体図が彫られているのですが、この日はあいにくの雨で彫りが全く見えず、こんな写真での紹介となりました。お天気の日は左側(黒御影石の方)の碑文とともにじっくりご覧ください。さらにこの碑の左手には、慶應義塾発祥の地の碑もあり、「日本近代文化事始の地」と看板があります。東京メトロ日比谷線の築地駅からいらっしゃる方は、聖路加国際大学前の三角州のようなこの碑がある交差点を中央保健所側に渡って建物に沿って直進するとタイムドーム明石の入口に到着します。http://www.city.chuo.lg.jp/bunka/timedomeakashi/index.html
タイムドーム明石の入口は地味(ごめんなさい!)で、本当にここ?と思いつつ、掲示に従ってエレベーターで6階へ。プラネタリウム見学(入場料300円)の親子連れさんも一緒です。エレベーターを降りるとタイムスリップしたような感じ。受付の券売機が現代を象徴しています。常設展示も100円という破格の入場料ですが、特別展は入場無料、ありがたいです!
とにかく興味深い展示でした。詳しくは見に行っていただくのが一番なので、私の印象に残ったことをお伝えします。日本橋の長崎屋(現在の日本橋三越前の中央通りと江戸通りの交差点に跡あり)が西洋文明の入口(日本人にとっては入口、オランダ人にとっては日本文化との引換口)で、日本橋界隈の商家がいかに重要な役割を担っていたかがよくわかりました。展示品のなかでは特に「うわぁ!」と思わず声をあげたのが、目薬の精錡水(せいきすい)の容器と新聞広告です。小さなガラス瓶の容器はいかにもありがたい感じ。新聞広告はコミカルで、万人受けしそうです。どんな風にして売っていたのかな?と思っていたので、見学できて嬉しかったです。教科書だけで知っている前野良沢や杉田玄白、佐藤泰然、福沢諭吉などなど、著名人から庶民まで、展示の人々を生きた人々として実感したひと時でした。最後に図録(左の写真・200円)を購入し、展示内容を反芻しています。
会期は12月16日までです。展示に関連する場所は、タイムドーム明石の近辺にもいくつもあります。翻訳に行き詰った前野良沢が隅田川までぶらついたり、日本橋の長崎屋まで情報取集に出かける様を思い浮かべながら、散策されてみてはいかがでしょうか。
なお、ブログ掲載については、タイムドーム明石のご了解を得ています。