[巻渕彰/写楽さい]
2015年1月27日 14:00
中央区立郷土天文館(タイムドーム明石)で、企画展「江戸、芝居町発掘!~江戸歌舞伎と考古学~」が1月24日(土)からはじまった。中央区には江戸初期から江戸四座(のち三座)と呼ばれる芝居小屋が置かれていた。今回の展示では堺町・葺屋町(現・日本橋人形町三丁目)の芝居町遺跡の発掘出土資料から特徴のあるものを展示している。会期は3月8日(日)まで、入場無料。郷土天文館HP こちら>>
江戸期から堺町には中村座、葺屋町には市村座の2座が興行し、操り座などの人形芝居小屋があり、それを取り巻くように茶屋が集まる一帯は芝居町として形成していた。この情景は「江戸名所図会」に描かれている。遺跡はその一角で、市村座付近で発掘された。
出土資料から芝居関連の遺物として、木製品に墨書や焼印されたものや「市村」と書かれた板材がある。芝居小道具に使われた数点の模造刀も展示されている。あやつり人形の頭部と足首といった人形芝居の道具は操り座の痕跡のようだ。
茶屋跡と思われる場所からは、「茶店」と記された曲物容器の底板が出土し、屋号が書かれた陶器片も展示されている。茶屋が接客場所であったことで鍋島焼や色絵磁器などの高級品が大量に出土したのも特異という。
化粧道具の鉄漿坏(かねつき)、紅猪口(べにちょこ)や骨に細工された簪(かんざし)、笄(こうがい)も展示されている。遺跡からは石組みの下水や下水木樋、地下倉庫といえる穴蔵、役者の風呂桶なのか埋枡(うめます)などの遺構が見つかったそうだ。@巻渕彰
[巻渕彰/写楽さい]
2015年1月 7日 09:00
中央区立郷土天文館(タイムドーム明石)で同館サポーターによる、第3回ミニパネル展「区の境目には何がある」が昨年12月20日からはじまった。中央区と隣接する区境はどうなっているのだろうか、写真パネルと地図で紹介している。会期は2月1日まで、区民ギャラリー前で展示している。観覧無料。郷土天文館HP こちら>>
中央区は千代田区、港区、台東区そして隅田川対岸の墨田区、江東区と接している。区境はどうなっているか。南は晴海大橋から北の左衛門橋、西は浜離宮庭園西角まで11地点を写真と解説文で紹介している。
橋が境界線になっているほとんどは橋の中央が区境であるが、相生橋は異なり、越中島寄りの中島跡が区境である。北端の神田川に架かる左衛門橋は複雑で、中央区・千代田区・台東区3区の区境になっている。橋梁管理は千代田区である。
馬喰町の千代田区との境界線は唯一陸地の区境であるため入り組んでいる。郡代屋敷跡が区画整理で整地されたことによる。龍閑川跡は千代田区神田との境となっている。現在復旧工事中の歩行専用石橋の常磐橋も区境であるが、橋の管理は千代田区となっている。
東京駅八重洲口付近は外堀跡が境界。ほとんど気が付かないが地下街にも境界線が走っている。銀座西側の高速道路会社線は外堀跡で、千代田区との境界であるが、いまだに境界が決まっていない「境界未定地域」である。
土橋跡付近も外堀跡と汐留川跡が境界線で、中央区・千代田区・港区3区の境界である。浜離宮庭園までが中央区になっている。古地図を見ると、区境は一部を除き河川や堀割を基準にしているが分かる、現在はその大半が埋め立てられ陸続きになったことで、ここが区境?と迷う場所が多くなった。
これまで3回にわたって展示してきたミニパネル展総集編は2月7日から3月29日まで開催予定である。@巻渕彰