うららかな春の陽射しをうけて、隅田川の水面がキラキラと輝き、河岸の桜並木が薄っすらとした彩りを見せています。ここ石川島・佃公園の河岸の桜並木はまだ三分咲きといった桜の開花ですが、数日中には花の雲を想わせる春爛漫の世界が私たちを愉しませてくれることでしょう。
ここで佃の島で見つけた春景色の一コマを紹介しましょう。かつての佃の島の中にはにはこれと言った桜の名所はありませんが、佃の鎮守様である住吉神社の境内には見事な「しだれ桜」が、今まさに春を謳歌するように満開の姿を見せています。
訪れる人もまばらな境内は都会の喧騒から隔絶されたような静かな佇まいの中で、しだれ桜の美しい姿だけがそよと吹く隅田川の川風に揺れている風情は格別なものがあります。
毎年訪れる桜の季節、自然の営みが創り出す春の一大ページェントを私たちは季節の移ろいの証として何のためらいもなく受け入れてきました。しかし自然は時として私たちに想像もつかないほどの過酷な試練を与えてきます。今年の桜は東日本大震災を起こした「自然」がその罪滅ぼしにと私たち日本人へ贈り物をしてくれたような気がしてなりません。