[滅紫]
2012年12月25日 08:30
「最後のクリスマスデザートプレートを食べましょう」と食いしん坊の友人から誘われホテル西洋銀座へ。来年の5月閉館を発表しているホテル西洋の最後のクリスマスはエントランスからステキなデコレーションで、そこここにカメラを構えた方たちが見受けられます。
ホテルの方に伺うとデザインはベルギー王室のロイヤルウェデイングの装飾も務めたダニエルオスト氏とのことです。
目的のデザートプレートを目指して2Fのバー&ラウンジ「プレリュード」へ。
左の写真がクリスマスデザートプレートです。内容は後ろから「ほうじ茶サバイヨングラッセカプチーノ仕立て、チョコレートフォンダン、赤い果実とキルシュクリームのバシュラン、ドライフルーツタルト、シュトーレン、ギモーブ」コーヒー又は紅茶付きです。税サービス料込みで3500円。どれからいただこうかと迷いながらオススメに従いほうじ茶カプチーノ仕立てから、ほんのりと温かくカプチーノの泡から確かにほうじ茶の味がします。次はフォンダンショコラへ挑戦。コーヒーを3杯もお代わりし、とても完食は無理かと思っていたのに周りのマシュマロまでいただきました。クリスマスの3連休前の金曜日とは思えない静かな午後を友人と取りとめのないおしゃべりをしながら贅沢なデザートと一緒にのんびりと過ごしていると既に夕刻。あっという間に2時間以上も過ごしたことになり、びっくり。友人はこちらで時々お昼寝までしているとか。・・・サービスの方もどこかおっとりしてお客を心地よい気分にさせてくれます。これがこちらで味わえる最後のクリスマスデザートかと思うと25年前のオープン時を思い出し、ちょっと感傷的な気分に。都会の中の隠れ家的な高級ホテルとしてとても洒落た憧れの場所でした。淋しいですね。このクリスマスデザートプレートは25日までです。
ホテル西洋 銀座「プレリュード」営業時間 月ー土10:00~22:30、日10:00~22:00
中央区銀座1-11-2
[滅紫]
2012年12月10日 08:34
坂東玉三郎さんが久しぶりに「日本橋」に出演するという話題の舞台。「高野聖」「海神別荘」「天守物語」等、鏡花ものには定評のある玉三郎さん演じる久々の「お孝」。大正の初めの日本橋が舞台でもう1人の芸者清葉は高橋恵子さんが演じます。「春の朧の一石橋」のたもとにあでやかな芸者姿の玉三郎さんが登場するとあまりの美しさに場内は一瞬シーン、大拍手です。今回大抜擢と評判のお千世役の斉藤菜月さんも初々しくていい感じです。
大正4年本郷座での初演に際し、この役を切望した当時はまだ駆け出しだった花柳章太郎が祈願に訪れたという「西河岸地蔵寺教会」を回ってみました。お芝居の中でも「縁結びの西河岸地蔵尊」というせりふが度々出てきます。地元の方にとても親しまれてきたお地蔵様なのですね。石段の隣の説明板によると「享保3年(1718)年、西河岸町の中ほどに堂宇を建立し天台宗の僧天海の持物と伝わる地蔵菩薩を安置したのが始まり」とのこと。地蔵菩薩は日を限って至心に祈願すると霊験あらたかであることから「日限地蔵」と称され寿命を延ばし福利を授ける延命の祈願寺として信仰を集めてきたそうです。
こちらにある「お千世の図額」はこの花柳章太郎がめでたくお千世の役に起用され、2回目のお千世役となった明治座での上演に際し、小村雪岱に描かせ奉納したものとのことです。
お芝居を見てその舞台となった場所を訪れるのは楽しみが倍加します。勿論当時そのままの景色はありませんが、「雛祭りのあとのさざえと蛤を川に放ったのはこのあたりか?」「お孝の家は?」とか想像しながら歩いてみるのはなかなか楽しいものです。仕上げは「願い事のかなう」「縁結び」の地蔵尊にお参りしましょう。
勘三郎さんの訃報の翌日だったので幕間では早すぎたご逝去を悼む声があちこちから聞こえてきました。南座顔見世では勘九郎さんの襲名口上で泣いてしまいそうで今から不安になっています。ご冥福をお祈りします。
西河岸地蔵寺教会」八重洲1-2-5