前回、「平成の蔵屋敷 in中央区~その1~」として中央区のアンテナショップを紹介しました(/archive/2015/08/-in-3.html)。
蔵屋敷とは信長・秀吉による天下統一後、全国で米や物産の取引が盛んに行われるようになったことから、有力大名が取引のために米取引の中心地の堂島(大坂)や幕府所在地の江戸に藩邸の一部として事務所兼倉庫(=蔵屋敷)を建てたことから始まりました。
今回は平成の蔵屋敷~その2~として地域を代表する金融機関である地方銀行(「地銀」)を取り上げます。地銀の東京支店は、地方の企業の東京進出を支え、また東京の中心である中央区に多く見られるまさに現代版蔵屋敷と言えるでしょう。
【秋田銀行(京橋・鍛治端通り)】
さて、日本全国の地銀(全国地方銀行協会加盟の第1地銀)の数は64行に上りますが、正確な数は判らないながらもおそらくそのうちの9割近くが、日本橋、京橋・八重洲を中心とする中央区に東京支店を構えているようです。これはもちろん日本橋本石町にある日本銀行と深い関係があります。【日本銀行(本石町)】
大名が家族の江戸での住居目的とともに幕府との連絡窓口として藩邸を構えたのと同じように、地銀も在京取引先へのサービスに加え日銀の監督(考査)を受けるため、その窓口を日銀のお膝もとである中央区に置いたということのようです。
【常陽銀行のショウウインドウ(八重洲・鍜治橋交差点】
そんなお堅い地銀の東京支店ですので、ショーウィンドウも地域の特産・名所紹介など比較的地味なものも多いのですが、そんなイメージを覆すのが八重洲通りと平成通りの交わる八丁堀二丁目交差点にある某地銀の東京支店。
「OKB3誕生」。。。綺麗なお姉さん3人組の派手なポスターが張ってありちょっとびっくり!お堅いイメージの地銀というよりも銀座のクラブのような打ち出しです。
AKBならぬOKBとは、大垣(Ogaki)共立(Kyoritsu)銀行(Bank)の頭文字で、自行の女子行員からメンバーを募って結成した秋元康プロデュースならぬ銀行公認のアイドルユニット---OKB3とのこと。更にはOKB3にOKB45(45名)が加わり、合わせてOKB48となるようです。これはれっきとした銀行のPRだそうでOKB45も岐阜県各地の商店街などのイベントにも引っ張りだこ。業界で大垣共立銀行は攻める銀行として有名だそうですが、岐阜在住の友人によれば、大垣にはOK牧場ならぬ「OKB牧場」という雑貨喫茶店(ネーミングは軟らかいですが、大垣共立銀行の設置した障がい者自立支援施設)まであるそうで、かなり斬新なカルチャーを持つ地銀なようです。そんな努力の甲斐もあってか、この銀行は顧客満足度の高さ競う日経金融機関ランキング調査(2015年1月)ではメガバンクや外銀を押しのけて堂々4位に入賞したそうです。
【東邦銀行(京橋・中央通り】
地銀の集積する中央区ならではの楽しみ。銀行ですのでアンテナショップのように気軽に店舗の中までは入ることはできませんが、街なかで色鮮やかな看板を見つけたら、ちょっとショウウィンドウを覘いてみたらいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。