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◆ 両国橋・ 隅田川の風物詩

[隅田の花火] 2016年4月 8日 12:00

 

両国橋から下流方面の眺めです。

隅田川を満喫するのにとても気持ちがいい季節がやってきました。

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両国橋は隅田川の橋としては中央区の最上流に位置しますが、歴史的には江戸時代に隅田川で二番目に架けられた伝統のある橋で、川と一緒にいろいろな物語を作ってきました。

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隅田川のこの辺りが戦いの舞台となる春の風物詩が、早稲田大学と慶応義塾大学の一騎討ちの 「早慶レガッタ」。今年で第85回目を迎える伝統のレースで、4月17日(日)に行われます。

 

早慶レガッタはいくつかのレースが行われますが、そのうち「対校エイト」と呼ばれるのがメインレース。

そのスタート地点は、新大橋とその上流の両国橋の間にある、中央区の「浜町公園」付近の予定。ここから川をさかのぼり、浅草のちょっと先の桜橋までの3750m。長丁場の戦いです。

 

レースの序盤戦となる両国橋付近。レースそのものを、この場所でどう楽しむか。

私なりに考えてみました。

 

 

レガッタ競技は直線で競われるのが普通のようですが、隅田川で行われる早慶レガッタは「曲がりくねった」コース設定が特徴。

特にこの場所、両国橋辺りの隅田川の川筋は大きくカーブしています。

s_hanabi34-3.jpgレースのスタート直後にあるのが、両国橋のこの大カーブ。

カーブの特性上、インコースとアウトコースという図式が生まれるため、インコース側のスタート位置が少し後ろになるというのが、レースの駆引き上、ひとつのポイントではないでしょうか。

 

レースは、進行方向を見て舵をとる1人のコックス(操舵手)と、進行方向とは逆を見る8人の漕ぎ手がチーム一丸となって先着を競います。

s_hanabi34-4.jpg(2014年・スタート地点に向かう早稲田艇)

 

何となくですが、相手より先行してレースを進められれば、8人の漕ぎ手が相手を見ながら漕ぐことができるので、展開を優位に進められる気がします。

 

両国橋より先は、それほど大きなカーブはありません。

そのため私が勝手に思っているレース序盤戦の見所は、スタートから両国橋付近までの間に、インコース側の艇がアウトコースの艇にどの程度追いつけているのか、というところなのですが、とうでしょう?

 

4月17日(日)の早慶レガッタ、ぜひ皆様なりの楽しみ方で観戦して頂けたらと思います。

「早慶レガッタ」のHP ⇒ http://www.the-regatta.com/

s_hanabi34-5.jpg(2014年のレース・両国橋上から。アウトコースの手前側・慶大が勝利した。)

 

 

春の隅田川の風物詩はこの「早慶レガッタ」の伝統の一戦。そして隅田川のもうひとつの風物詩は夏の「両国の花火」です。

s_hanabi34-6.jpg(花火がデザインされた両国橋上の歩道の柵)

 

以前は打ち上げ場所がこの両国橋付近にありましたが、現在は上流の二ヵ所に移され「隅田川花火大会」として今も受け継がれています。

 

江戸時代、この橋の橋詰には火除地が設けられましたが、特に今の中央区側の橋詰は「両国広小路」と呼ばれた所で、花火も楽しむことができる江戸有数の歓楽街だったそうです。

墨田区にある江戸東京博物館にはこの場所が再現された素晴らしいジオラマがあって、その頃の賑やかさを感じることができます。

 

しかし実際に今この両国橋に来てみると、それを感じるのはなかなか難しかったりします。

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江戸時代の賑やかさを感じる方法としては・・・この時代に描かれた絵を見てみる方法があります。

 

眺めの良い風景だったのでしょう。この辺りが描かれた絵は無数にあるのですが、そのなかでも私が好きなのは、墨田区側の隅田川テラスやJR両国駅にも飾られている、この絵。大河ドラマ「龍馬伝」のオープニングでも使われていました。

s_hanabi34-8.jpg<JR両国駅/東都両国ばし夏景色(橋本貞秀)>

 

川に集まる大小賑やかな舟々。

橋上を埋め尽くす無数の人々。

空にうち上がるまばゆい花火。

上流の遥か向こうには筑波山。

 

今の中央区側から見たこれらの風景が四角形の絵のなかにひとつに納められ、この場所の賑やかさがうまく表現されています。

 

 

中央区側は「カーブの外側」。

 

カーブの外側は、時に素晴らしい光景を作り出すことがあります。

 

隅田川テラスの中央区側を歩いてこの両国橋辺りに来ると、私がつい行ってしまう場所がここ。

両国橋のやや下流方面の隅田川テラスにある階段の上、

s_hanabi34-9.jpgもしくは、さらにその上から日本橋中学校に繋がる歩道橋の上です。

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開放感のあるこの上から隅田川方面を眺めると、川の上流と下流方面が180度のひとつの視界の中にギリギリ入ってきます。

また、カーブの外側の特性により川の先の方まで見えるだけでなく、まるで自分が川の真ん中にいるような感覚をも味わうことのできる場所です。

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先ほどの絵はこの隅田川のカーブを意識して描かれたものなのかは不勉強でよくわかりませんが、

歩道橋の上でカーブを目の前にしてこの絵に描かれたものを思い浮かべてみると、中央区側の方から両国橋を渡った時の眺めは、壮観だったろうなぁ、と思ってしまいます。

両国広小路に人が吸い寄せられ、賑わったのも何となくですが分かる気がします。

  

 

この両国の花火や早慶レガッタは、戦後、「休止」してしまった時期があります。高度経済成長を経て問題になった、隅田川の汚染も1つの理由だったようです。

 

しかし、その後の努力で川も綺麗になり、これらの隅田川の風物詩は復活し、市民の楽しみは戻ってきました。

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もともと両国橋が作られたきっかけは、江戸時代の「明暦の大火」の後に、幕府が江戸城の天守を再建しないで川に橋を架けることを選択したこと。

それまで橋を架けなかったのは江戸の街を動乱から守るため。幕府が橋を架けたことは、もう動乱が起こることはないという「平和宣言」を意味しました。

 

両国橋は平和の象徴。そして川で花火やレースをすることができて、それを市民が楽しむのは平和な光景だったりします。

 

 

都市の中を流れる隅田川。

これからもいろいろな時代の流れに従って変化していくのでしょうが、いつまでも、こういう水辺の光景が続いていくことを願いたいと思います。

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(これは昨年の東京湾大華火祭・晴海会場。今年から行われませんが、2月の中央区からの発表では「休止」という言葉が使われました