[滅紫]
2019年1月27日 14:00
2回目の今日は中学部門「木挽町わかば座」の稽古風景をご紹介しましょう。
(前回の記事はこちら⇒/archive/2019/01/part.html)
小学生6年生までに「寺子屋」の「梅」「竹」「松」コースを修了し、中学部門に進んでいる生徒さんたち、この時期成長も早いので小学生クラスとは全く顔つきから違います。演し物は女子の「藤娘」男子の「寿曽我対面」です。
「藤娘」は何と一曲を四人で踊るとのこと。昨年12月に梅枝・児太郎の「二人藤娘」を見たばかりですがいろいろなバージョンが作れるのですね。「気を抜かないで」「最後まで藤娘のつもりで」「扇はふわーと」と先生方のご指導も熱が入ります。
「寿曽我対面」は男子ばかり7名。東京で上演されることが多い型と関西で上演されることの多い型、2つの型での上演で配役も交替します。
ご指導の講師が稽古場に入ると部屋の空気が一瞬にしてピーンと引き締まります。私も思わず姿勢を正しました。工藤祐経役の「今日ッタ祐経が、一﨟職をたまわって...」とよく通る声で稽古が始まるとお二人の講師は大忙し。「台詞のテンポに気を付けて」「誰に向かって言っている台詞か考えて」などきめ細かい注意が飛びます。煙管の持ち方、刀の拝見の作法などなど。熱のこもった真剣なご指導です。ご存知のように荒事の五郎、和事の十郎、道化役の朝比奈に大磯の虎と女形の役まである「歌舞伎の役柄大集合」のお芝居ですが、「変声期なのでは?」などと余計な心配をしたのが無駄な、まるで違和感のない出来栄えです。
ご指導の講師の方やスタッフの方は入校時からのご担当も多いようで「正座も出来なかったあの子が・・」などと幼い頃から知る生徒さんたちの確かな成長を実感しているご様子。歌舞伎の楽しさを自ら学んできた生徒さんたちによる公演ですので、観客の皆様も「歌舞伎、たのしい!」を体感できる舞台となる事、保証付きです。ご家族で是非お出かけください。熱の入ったお稽古がまだまだ続きます。当日の舞台が本当に楽しみです。
「木挽町わかば座」公演は
3月24日(日)12:30開演/15:00時開演の2回です。
場所:歌舞伎座ギャラリー・木挽町ホール 歌舞伎座タワー5階
料金:1500円 全席自由席
お申込:平成31年1月31日正午よりチケットWEB松竹 (注意;チケットホン松竹での販売はありません)
詳細はhttps://www.shochiku.co.jp/terakoya/news/stage/index.html
[滅紫]
2019年1月26日 14:00
「この役者さん成果披露公演から見ているのよ」と10年後、20年後にちょっと自慢してみたくありませんか?
歌舞伎座で稽古を続けている「こども歌舞伎スクール寺子屋」の生徒たちの初の成果披露公演が3月10日(松コース生徒)、24日(中学部門)に開催されます。今回そのお稽古を取材させていただきました。初の披露公演に向けて熱のこもった稽古風景を2回に分けてご紹介します。
「先代萩」の千松・鶴千代、「実盛物語」の太郎吉、「重の井子別れ」の三吉、そしてこのスクール名にもなっている「寺子屋」など歌舞伎には子役が重要な役割を果たす狂言・舞踊がたくさんあります。この子役で出演している子供たち、どんなお子さんたちかご存知ですか?ご担当の方に伺うと、「俳優の親類や部屋子だけではなく、こども歌舞伎スクール寺子屋の生徒や児童劇団所属の方、その他ご紹介の方等」だそうです。
「こども歌舞伎スクール寺子屋」は2014年に開校、和の行儀作法、歌舞伎独特の発声、所作、演技など歌舞伎子役に必要な技術を中心に基礎から教えています。募集は4歳から6歳までの「柿組」、小学1-4年生までの「萌葱組」で各約10名の「梅コース」。狭き門です。希望者は「竹コース」、「松コース」と進んで行き更に中学部門で本格的に学ぶこともできます。
1回目にご紹介するのは3月10日上演のー贋作桃太郎「百桃かたり」(ももももかたり)、演ずるのは小学2年生から5年生までの松コースのお子さんたちです。桃太郎が鬼を退治したあとのお話でこの披露公演のために新しく作られたオリジナル舞踊劇です。脚本が戸部和久、演出・振付・藤間勘十郎、作曲・杵屋巳太郎、作調・田中傳左衛門等という豪華版、何とも贅沢な披露公演です。
お稽古場に伺うとお子さんたち、見学の私にまでお扇子を前にきちんと正座でご挨拶!恐縮してしまいました。お稽古が始まりました。「また我こそは、桃太郎の忠臣たる毛並み揃いし犬の魁、奴の四郎平」「わん(腕)白盛りの犬の四郎平 自慢のわん(腕)力...」など遊び心たっぷりのセリフ・詞章に思わず、ふふふ。「奴」の発声を講師の指導に合わせて何度も練習。長いセリフも淀みなく、立ち廻りや見得もぴたりと決まり、堂に入ったものです。「明日でも本番OK」なくらい上手い!「松コース」の生徒の内、オーディションを受けて選ばれたお子さんたちと伺い、納得しました。出演者のなかには、既に本興行の舞台に立っているお子さんも多数いらっしゃるそうです。本番が楽しみです。
こども歌舞伎スクール寺子屋初成果披露公演「歌舞伎、たのしい!」
場所:歌舞伎座ギャラリー 木挽町ホール(歌舞伎座タワー5階)
入場料金:1,500円 全席自由席
「贋作桃太郎 百桃かたり」平成31年3月10日(日)12:30/15:00開演
お申込は「チケットWEB松竹」 1月31日12時より受付開始(チケットホン松竹での販売はありません。)
詳細はhttps://www.shochiku.co.jp/terakoya/news/stage/index.html
[滅紫]
2019年1月12日 12:00
「平成」最後の初芝居にやってきました。1月は新橋演舞場、浅草公会堂、国立劇場と歌舞伎座の他に3座も歌舞伎公演!歌舞伎座のロビーに入ると大きな鏡餅や凧や餅花などの飾りつけ、それにお客様の新春らしい装いが初春の華やかさを更に盛り上げています。
満席です。今日は1列目の花道寄りなので首が痛くなるかもと少々心配ですが。
夜の部1幕目は「絵本太閤記」の「太十」と呼ばれる「尼崎閑居の場」。義太夫狂言の名作です。光秀は吉右衛門、息子の十次郎に幸四郎、母皐月役の東蔵さんが体調不良で4日から休演、代役は秀太郎さんです。そういえば演舞場の左團次さんも体調不良で休演。役者さんは25日間お休み無ですから確かに重労働ですね。賑やかな「勢獅子」の後は「松竹梅湯島掛額」。コミカルな八百屋お七もので、お七に七之助、吉三郎に幸四郎、ひょうきん者の「紅長」に猿之助で客席は大笑いの連続。「櫓のお七」は人形振りで演じられ七之助の全くの文楽人形にしか見えない所作に拍手が沸き起こります。「櫓のお七」の場面は舞台美術として「美しさ」の点では屈指のものだといつも思います。段々激しさを増していく雪の中。赤い鹿子模様の衣裳のお七が櫓に登っていくのは本当に綺麗です。
帰宅して着替えを始めたらぱらぱらと雪が落ちてきました。舞台の余韻を感じて「ふふふ」です。今年の新春歌舞伎は子供たちが人気の的。国立は菊五郎さんの二人のお孫さん、演舞場は海老蔵さんの2人のお子さんが評判です。「初春」気分を感じに是非お出かけください。
初春大歌舞伎 千穐楽は26日 お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489 (10時―18時)
昼の部は「舌出三番叟」「吉例寿曽我」「廓文章」「一條大蔵譚」
[滅紫]
2019年1月 7日 18:00
銀座松屋の平成最後の新年企画は「片岡鶴太郎」展で幕を開けました。「マルチタレント」というのはまさにこの人の為にあるような言葉だと改めて感じさせられる「画業25周年・芸能生活45周年記念」の展覧会です。展覧会の案内にあるように「ある時は俳優の顔、またある時は芸人として活動する一方で、画家や書家としての顔も持ち合わせている片岡鶴太郎。2017年にはインド政府公認ヨガインストラクターの称号も取得し、そのマルチな才能と活動の域はとどまることを知りません」
会場は「撮影自由」なのでたくさん撮らせていただきました。会場の雰囲気を幾分かなりと味わっていただきたいと思います。入り口付近はたくさんの「富士山」。そして私が面白かったのは草間彌生や棟方志功に「なりきって」描く「なりきり作品」のコーナー。まずは「形」から、水玉模様のファッションに赤毛の鶴太郎さんが登場してスタジオで制作に取り掛かるといった映像が流され周りの観客から笑いが沸き起こっています。私も思わず吹き出しました。巧く特徴をとらえていて形も作品も「そっくり」。他にも能面を思わせるマスクに作家やタレントさんたちが鶴太郎さんを描いた作品など、クスリとさせられるものがたくさん。
新年にはぴったりの楽しめる展覧会です。
「片岡鶴太郎」展 1月14日まで 松屋銀座8Fイベントスクエア
入場料一般1000円 10:00-20:00 最終日は17時閉場