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中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

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春眠暁を覚えず

[下町トム] 2012年4月12日 15:00

兜町の桜.jpg

春爛漫の季節を迎えました。

皆さんそれぞれにこの麗しい季節を楽しんでいらっしゃることでしょう。up  

今日は夕方から時間ができたのでブラブラと蛎殻町から兜町、日本橋へと歩いてみました。もう風もすっかり優しくなって、気持ちよく歩くことができました。

兜町の東京証券取引所前の〝一本桜〟も淡い色彩を楽しませてくれました。cherryblossom 

201204日本橋西川(1).jpgさて、今日のお目当ては〔日本橋西川〕さんです。ご存知のとおり、このお店は江戸開府の折に選ばれて招かれた近江商人の名家であり、東京の歴史ある老舗です。品揃えはもちろん、お店の方の立ち居振る舞いからプライドのようなものが伝わってきます。


「春はあけぼの」と枕草子で讃えられたほか、かの漢詩の名文、孟浩然の『春暁』において「春眠暁を覚えず、処々啼鳥を聞く」と謳われたことを想いだしました。このところ、暖かくなって朝のまどろみが何と気持ちいいことでしょうか。

その反面、何だか熟睡感が無くて「これはもったいない」と考えました。少しは春の惰眠を貪りたいとの欲に駆られ、快眠用のよい枕を求めて〔西川〕さんを訪ねたのでした。shoe 

201204日本橋西川(2).jpg 

お店の方にうかがうと「このところ、健康的な睡眠を大切にする方が増えて、枕や敷き布団をお買い求めの方が増えています」とのことでした。やっぱり、皆同じような悩みや欲望を持っているんだなぁ、と感心。

早速頭の高さや寝姿をチェックしてもらって、適切な枕をチョイスしていただきました。なかなか枕も奥が深いものです。これもお店の方にうかがったのですが、「枕はあまり高いと首に疲れが残ります。また、ある程度広さがないと寝返りが打ちにくく安眠の妨げになります」とのこと。これまで無造作に考えていたことを反省しました。coldsweats01 

 

西川の枕.jpg早速買い求めた枕を抱いてうきうきと帰宅しました。

先ほどの漢詩の後半には「夜来風雨の声 花落つること知んぬ多少ぞ」という下りがあります。このところ強い雨の日がたまにあるので、今の桜がいつまでもつのかとちょっと心配です。

そんな不安も快眠の夢に包まれて、今夜からはすやすやと眠りたいものです。楽しい夢を見られることを期待していち早く就寝です。おやすみなさい。night 

 

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中央区鉄道ものがたり <その9>(最終回) 「銀座線と銀座駅」

[下町トム] 2012年4月 6日 13:00

央区の鉄道に関する四方山話をお届けしてきましたが、ひとまず今回で最終回とします。


最後に採りあげるのはわが中央区の真ん中を貫いて走る「銀座線」とその路線名にもなっている「銀座駅」です。


「銀座線」は何と言ってもわが国最初の地下鉄です。1927(昭和2)年に東京地下鉄道が浅草-上野間で開業し、1934(昭和9)年に新橋まで全通させました。この時に中央区を貫く幹線鉄道の位置を確立したわけです。

銀座駅入口_R.JPG その後別会社であった東京高速鉄道が渋谷-新橋間で全通すると同時に新橋で直通運転を始め、今の運行形態が築かれました。後に戦時体制で両社は「帝都高速度交通営団」(営団地下鉄)に吸収され、2004(平成16)年に民営化して「東京地下鉄」(東京メトロ)に衣替えするまで続きました。

「銀座線」という名称は、実は戦後になって命名されたものです。正式名称で3号線と呼ばれていたこの路線に馴染みやすい名前をつけようということになり、1953(昭和28)年に沿線随一の繁華街である「銀座」を冠することになったものです。subway


銀座線線路_R.JPG

「銀座線」の特徴といえば、東京では「丸ノ内線」と2系統だけの標準軌(1,435mm)かつ第3軌条集電方式を採用していることです。地下鉄の草創期は少しでもトンネルの断面を小さく抑えることを目的に、パンタグラフを用いず線路脇の「給電用レール」から集電する方式を主に用いました。欧米の地下鉄や大阪市の地下鉄などはほとんどこの方式を採用しています。東京では銀座線、丸ノ内線以降は、他社線との相互直通などを考慮し架空線かつ狭軌(1,067mm)を採用するようになりました。その意味でも初期の地下鉄の設計思想を今に伝えている貴重な路線でもあります。


銀座駅地下の像.JPGその歴史的価値が認められて、2008(平成20)年に「鉄構框構造やアーチ構造など、土木的に貴重な構造物が多数存在する」との理由で、土木学会選奨土木遺産に選ばれました。駅のホームから一度トンネルのつくりを眺めてみてください。当時の土木技術で何とか強固な構造を保とうと框を施してあるのがうかがえます。先人の知恵と努力に敬服の限りです。wrench


マーキュリー像_R.JPGさて、その「銀座線」の名前のもととなった「銀座駅」はこの路線を代表する駅です。この駅を利用してどれだけ多くの人が出会ったり想い出を紡いだことでしょう。今でも銀座駅の出入口は存在感を大きく示してくれます。

ところで、「銀座駅」は駅そのものとしてもおもしろいですよ。東銀座駅に向かう地下道にユニークな石像が陳列されていますし、構内の改札近くには「マーキュリー像」が設置されています。これは、1951(昭和26)年に、営団地下鉄のシンボルとして何体か設置されたものの一つです。マーキュリーはご存知のとおり〝商業の神様〟です。銀座という日本一の商店街の繁栄を祈っているようですね。


地下鉄グッズ売り場_R.JPGまた定期券売り場には〝地下鉄グッズ〟の販売コーナーもあります。お子様へのお土産としてはもちろん、東京観光の記念品としてもおもしろいのではないでしょうか。present 

そんな歴史ある「銀座線」にも今月から新型車両が登場します。新・1000系です。かつての銀座線車両を髣髴とさせるレトロでモダンなデザインではないでしょうか。


銀座線1000系.jpg昔の銀座線といえば、駅のそばではよく照明が切れたり扇風機が止まったりしたものです。これは、冒頭に述べた第3軌条集電方式ならではの現象です。駅の進入部あたりに給電レールが途切れる個所をどうしても設けざるを得ず、〝デッドセクション〟というゾーンが存在したのです。今の列車は、電気系統が工夫されているのでこの事象は発生しません。今となっては懐かしい想い出になりました。confident 


新・1000系は室内設計もいろいろ工夫されているようです。是非一度乗車して、新しい銀座線の仲間を確かめてみて下さい。

 

「銀座線」を含めて、中央区の鉄道は魅力がいっぱいです。これからも注目していきたいと思います。これまで9回の連載にお付き合いいただき、ありがとうございました。note