水辺のまち中央区には多くの橋があります。特に江東区との境を貫流する隅田川には「おはこ十八景(平成19年に中央区観光協会が選定)」にも選ばれた隅田川8橋をはじめとする個性的な橋が多くあります。特派員ブログでもたびたび紹介される永代橋、中央大橋や勝鬨橋は人気も高く、どこにあるかや形もすぐに分かりますが、今回はそんなスター級の橋と比べるとやや知名度のあまり高くない「相生橋(あいおいばし)」を紹介します。
千住・浅草の方向から流れてきた隅田川は、永代橋を越えたところで佃島の大川端に突き当たりますが、そこで中央大橋をくぐる隅田川本流と左側へ向かう隅田川派川(はせん)に分かれます。相生橋は左側に分流する派川に架かる橋です。月島・佃(島)は、現在では多くの橋や地下鉄で築地や深川地域(江東区)と結ばれていますが、1892年に月島が作られた当時は、その名の通りここは隅田川の中州であり、アクセスは渡し船(佃、月島)のみでした。そこで1903年、深川(越中島)と佃・月島地区を結ぶ初めての橋として相生橋が架けられました。相生橋の名前は「上流の永代橋に相対する橋であること(東京都建設局)」や「創設当時この橋が長短二橋であり、2つセットの『相生の松』に由来(wikipedia)」などの説があるようです。相生橋は、派川に浮かぶ中の島(中州)を伝うかたちで2つの橋(相生大橋:147m、相生小橋:53m)から成っていましたが、1980年に相生小橋の下部(現在は清澄通り沿いのカミソリ堤防が立っているあたりです)が埋め立てられ、中の島は越中島との陸続きになりました。 陸続きではあるものの中の島は依然相生橋東詰下に木が茂る円形の公園として残っており、橋の(清澄通り)わきに階段があって降りていくことができます。上流側(北側)の入口から下に降りると川沿いに通路があり、橋の下をくぐって反対側に行くことができます。隅田川テラスではちゃんとした歩道が整備された部分が多いですが、ここは丸い石柱を切ったものが並んでいるだけ、冒険気分が味わえます。下流側(南側)に行くと灯籠のモニュメントを中心とした公園の続きになっています。
左側に海洋大学の明治丸、正面に豊洲のタワーマンション群と春海橋、そして右側には相生橋の全景が眺められる絶景ポイントです。夜にはライトアップされる永代橋や中央大橋と比べるとやや地味な印象の相生橋ですが、写真のように鉄骨を"N"(もしくは"И")字につなげたような複雑なトラス構造の橋です。夜見てももちろんきれいな橋なのですが、その美しさはむしろ燦燦とかがやく太陽に照らされたときに映えるようです。お隣の江東区でではありますが、中の島公園と明治丸は江東八景に選ばれているそうです。
またこちらの中の島公園は月見の名所として昔から知られる場所ですが、ご覧の通り隅田川の水が中に入ってくる構造になっています。特に満月の夜は潮位が高くなり、満潮時や大きな船が通った後には、引き波で水が入ってくるので十分に注意しながら楽しみましょう。
相生橋自体は、やや地味ながらも、橋から眺める風景は絶景です。豊洲地域のタワーマンションとアーバンドックららぽーと豊洲のドックのライトアップのモニュメント、さらには羽田空港から東北・北海道方面へ向かって離陸していく飛行機や豊洲を走る新交通ゆりかもめなど素敵な夜景が楽しめます。
【相生橋】
所在地 :〒104-0051 中央区佃2-20先
(大江戸線・有楽町線月島下車徒歩5分)