[yaz]
2017年10月14日 16:00
「外郎(ういろう)」とは何でしょうか。関東の人は、小田原の「ういろう」が歴史的には知られているものの、「羊羹(ようかん)のような食べ物?」「何かの薬の名前?」という具合で、いまだに漠然としています。 それもそのはずで、小田原の外郎家(ういろうけ)は、代々同じ名前をもつお菓子と薬を今も作り続けています。外郎は商品名であり、姓でもありました。十返舎一九の『東海道中膝栗毛』のなかでは、弥次喜多は薬の外郎を菓子の外郎と勘違いして食べ、苦い顔をする場面がある。この外郎こそ、小田原の外郎である。『外郎は、菓子か、それとも妙薬か』──両方とも正解である。
歌舞伎ファンなら外郎と聞いて、市川団十郎の歌舞伎十八番の一つ、『外郎売』がまっ先に頭に浮かぶでしょう。こちらは薬の外郎で、相州(神奈川県)小田原の名産。江戸時代、この薬を世に知らしめたのは、まさにこの歌舞伎の演目『外郎売』だった。二代目市川団十郎が咳(せき)と痰(たん)の病で台詞(せりふ)を上手く言えず、舞台に立てなくて困っていたときに、外郎を服用して全快し、再び舞台に復帰できたという。こういう良薬を人々に知らせたいと、外郎家の承諾を得て団十郎自作自演の『外郎売』が出来上がり、享保3年(1718)、木挽町(中央区銀座、歌舞伎座裏付近)の森田座で初演された。 この演目は大当たりして、後に七代団十郎が「歌舞伎十八番」に名を連ねることになりました。外郎売の口上は現代のコマーシャルに相当します。
『外郎売』が今も有名なのは、その口上にあります。咳や痰の病気を治したということだけあって、すらすらしゃべり立てる早口言葉の連発です。その一部を紹介すると、
『...武具馬具ぶぐばぐ三ぶぐばぐ、合わせて武具馬具六ぶぐばぐ。菊栗きくくり三きくくり、合わせて菊栗六きくくり。麦ごみむぎごみ三むぎごみ、合わせてむぎごみ六むぎごみ。あのなげしの長薙刀(ながなぎなた)は誰(た)が長薙刀ぞ。...』。という具合で、誰もがどこかで聞いたことのある台詞です。外郎売の口上は、現在では、俳優・タレント、アナウンサーの養成所などで発声練習の教材として使われています。
小田原の外郎本家の屋敷。なかなかの建築です。
「外郎」と書いてなぜ「ういろう」と読むのでしょうか。外郎家の祖先に、中国の元の時代に「礼部員外郎(れいぶいんがいろう)」という官職に就いていた陳延祐(ちんえんゆう)という人物がいました。元が明に滅ぼされたのを機に、九州の博多に亡命し、陳外郎(ちんういろう)と名乗ったという。「外」は、元の時代の発音である"唐"音では「うい」であったためで、自然な成り行きとも言えます。これが「ういろう」の由来で、中国の官職の名前が薬や菓子の名前となりました。その子である外郎家二代目の宗奇(そうき)は、足利義満(室町幕府三代将軍)に京都に招かれ、中国(明)から薬を伝えるとともに、接待用の菓子も考案し、朝廷や公家・武家の要望に応えたといいます。薬は「透頂香(とうちんこう)」という名前を時の天皇から賜ったが、外郎家がつくることから、巷では薬も菓子も外郎(ういろう)と呼ばれようになった。 五代目の藤右衛門(とうえもん)は家業を弟に任せ、16世紀初頭関東で勢力を誇った北条早雲に招かれ小田原に移った。その理由は不明であるが、戦国武将たちは携帯できる「外郎」のような常備薬を必要としたのかもしない。京都の外郎家は天正年間(1573?1592)に途絶えたが、小田原の外郎家は残り、現在に続いている。全国にある菓子の外郎の多くは、京都の外郎家に仕えていた職人たちによって広まりました。
薬の外郎は銀色をした小さな粒状の丸薬である。痰をきり、口内清涼や消臭によいとされる大衆薬であり、江戸時代の人々にとっては万能薬だったようだ。仁丹に似ている外郎は、東海道・小田原宿の名物として知られ、携帯に便利な道中薬として多くの旅人が買い求めた。土産にも人気の高い、江戸時代に大ヒットした薬であるが、江戸では両国横山町(現中央区日本橋横山町)にあった太和屋加兵衛の店で買えたらしい。江戸の外郎売店として有名であったが残念ながら、今は横山町には店は見えない。
団十郎の外郎売の口上をYoutubeで見ることができるので、次のURLにアクセスして是非聞いてみてください。滑らかな"口"さばきをご鑑賞あれ!私にはできない!
https://www.youtube.com/watch?v=zjrZMhRTg78
[健さん]
2017年10月 9日 09:00
長崎出身の日系英国人のカズオ・イシグロさんが今年のノーベル文学賞を受賞という嬉しいニュースが入って来ました。スマホの普及で本を読む人が少なくなって来ましたが、資格試験や検定試験の多いこの時期は電車の中で本を読んで勉強している人が見かけられますし、若い人の中でも何かしら本を読んでいる人が沢山います。そういうことで私も読書の秋ということで、人形町の文教堂書店さんで本を買って読み始めました。一冊は「中央区ものしり百科」、もう一冊は東野圭吾の「マスカレード・ナイト」です。
「中央区ものしり百科」は中央区観光検定テキストにもなっています。昨年も買いましたが、今年ももう一度読んでみようと思います。昨年はこの本を自転車のカゴに入れて実際の場所にあっちこっちと行って来ました。(事件は現場で起きている!という言葉もあるので・)、昨年の本はクルクルまいたりしたり、ボールペンで文章もぐちゃぐちゃになって汚くなったので、もう一度新品でおさらいということで読みます。
もう一冊の「マスカレード・ナイト」は人形町大好き作家の東野圭吾さんの「マスカレードホテル」シリーズの第三番目の作品です。ホテルのモデルは水天宮にあるロイヤルパークホテルです。8月末にある週刊誌から「マスカレードホテル」の映画化が進んでいるという情報が流れ、主演に木村拓哉、長澤まさみ、脚本は「HERO」の福田靖という話ですが、本当であれば阿部寛主演の新参者シリーズ「祈りの幕が下りる時」、そして来年の大河ドラマ「西郷どん」(西郷隆盛の屋敷が今の日本橋小学校の所にあったので観光地期待。)と来年は人形町、水天宮周辺が映画やテレビドラマの波及効果で賑やかになりそうです。
写真は文教堂さんのお店の外に貼られていた中央区観光検定のポスターです。文教堂さんに行けば中央区や日本橋周辺に関する本が沢山揃っています。もちろん「中央区ものしり百科」も沢山積まれています。
第十回 中央区観光検定は平成30年1月27日(土) 検定会場は【銀座会場】はコートヤード・マリオット銀座東武ホテル、【日本橋会場】はロイヤルパークホテルです。申し込みはすでに10月1日から始まっていますので詳しくは・・・・・
中央区観光検定のホームページ http://www.chuoku-kentei.jp/ をご覧ください。
もしかしたら検定会場のホテルのフロントに「キムタク」と「長澤まさみ」がいるかも?
[王冠とあざみ]
2017年10月 8日 09:00
築地が市場を中心に動いているのは
言うまでもありませんが、
遡ることおよそ360年前、
江戸時代からすでに
築地はウオーターフロントの
先駆け中の先駆けであったわけで
現在では、何しろ
そのロケーションの良さに
多くのCMドラマのロケ地として登場していますから、
少し散歩をすると、きっと
「あれ? ここは何処かで見た景色...」と
想われるはず。
地元の人々は、散歩やジョギング、
日向ぼっこ、ランチにはお弁当を広げたりビール片手に夜景を楽しんだり、
トランペットの練習に来る人もいます。
徒歩3分の距離に在住しているわたしは
自宅の延長のリビングダイニングと捉え、
訪ねて来る人とは、狭いお部屋よりも
隅田川沿いのビルと水辺が織り成すパノラマの風景の心地良さを共有したくて
勝鬨橋のたもとのベンチで、よくよくピクニックをしています。
さて、先日もベンチでバゲットとチーズを楽しんでいると
行き交う屋形船とは趣きの違う黄色い船が目の前の船着場に横付けされました。
特派員の血が騒ぎ直ぐに取材の申し込みをすると、
お客様が乗り込むまでの10分、OKをもらいました。
その船は
オリンピック・パラリンピックに向けて
2年前に運用する試みが始まった水上タクシーでした。
去年から、本格始動となり、
羽田京浜運河と隅田川メインに
『タクシープラン』
『定期運航プラン』
『チャータープラン』
で運行しているそう。
詳しくはhttp://water-taxi.tokyo/#blog
船は小型船で、8人乗りですが
船長と船頭の2名が同行するので
6名で貸切乗船し、観光・パーティー使いするのに適しているそう。
実際、乗船させていただきましたが
小型なぶん、海面が近くジャングルクルーズに出掛けるようなワクワク感が湧いて来ます。
小回りが利くので「結構、細い川も入って行けるんですよ」とのこと。
トイレとエアコン完備です。
川や運河から眺める東京は、いつもとは180度違った表情を見せることでしょう。
さあ、予約の客様が乗りんで接岸の縄が解かれました。
大きく手を振ってお見送りすると、返礼の汽笛を威勢よく鳴らしてビューンと出発して行きました。