土曜日の午後、日本橋室町で開かれている「フェルメール光の王国展2015」に行ってきました。この展覧会では日本でも人気の高い17世紀のオランダの画家ヨハネス・フェルメール(J. Vermeer:1632~1675)の作品を鑑賞できますが、以前オランダ旅行の際にマウリッツハイス美術館(デン・ハーグ)やアムステルダム国立美術館で見たフェルメールの作品をもう一度じっくり見たいと思い、出かけて来ました。
【マウリッツハイス美術館】
この展覧会は青山学院大学教授(分子生物学)で自らも世界中のフェルメールのオリジナルを見てきた福岡伸一氏が2012年に企画し、2012年1月~7月に銀座6丁目の「フェルメール・センター銀座」で、その後全国(名古屋、松山、広島、長野ほか)を回っていた展覧会が3年ぶりに中央区に戻ってきたものです(/archive/2012/04/post-1177.html、/archive/2012/07/post-1307.html)。
【絵画芸術】
この展覧会はフェルメールのオリジナル絵画の来日引越展覧会ではなく「リ・クリエイト作品」を鑑賞するものです。展覧会の解説によれば「リ・クリエイト」とは、フェルメールの故郷であるオランダ・デルフト市の「フェルメール・センター」提供のオリジナルの画像データをデジタル的に解析して、デジタル印刷技術を使って再生したものです。写真による複製と異なり、特殊なキャンバスに最先端のデジタル印刷を施したものなので、ことによってはハーグやアムステルダムの美術館にあるオリジナルよりも、当時フェルメールが描いた当時の色彩や質感を忠実に再現できるとのことです。「リ・クリエイト」と馬鹿にするなかれ、日本橋室町の展覧会では、フェルメールの37の作品全てを一度に見ることができるのです。
【ヴァージナルの前に座る女】
フェルメールファンの私も、過去にデン・ハーグ、アムステルダム、ロンドン、ワシントン、ニューヨークの美術館にある一部の作品には直接対面したのですが、実際に福岡氏や『フェルメール全点踏破の旅(集英社新書)』の著者である朽木ゆり子氏のように全点を見ようと思っても、オランダ(デン・ハーグ、アムステルダム)、欧州(ロンドン、エジンバラ、ベルリン、ドレスデン、パリ、ウィーン等)、米国(ニューヨーク、ワシントン)と全世界に分散しており、よっぽど時間が無ければ見ることが出来ません。
【真珠の耳飾りの少女】
更にはフェルメールの作品には個人が所有しており一般公開されていないもの、そしてボストンの美術館から盗難されて未だ行方知らずの作品もあるのですがこの展覧会では全て見ることができます。
また、現在では別々の美術館に展示されているため、なかなか比較して見ることができない同時期や同テーマの絵画を比較して見ることで見えてくる絵画のモデルの共通性や、人物の脇役として用いられている世界地図や楽器などの小道具について新たな発見など贅沢な鑑賞の機会を楽しんできました。なお、展覧会の後には、近隣のCOREDO(室町1~3、日本橋)、日本橋三井タワーの飲食店で展覧会の入場券を提示することで割引などのサービスが受けられます。私も展覧会のあとお腹が空いたのでCOREDO室町2のお店で夕食を取りましたが、その話は別途皆さんにご報告できればと思います。
「フェルメール光の王国展2015」
場所:〒103-0022 中央区日本橋室町3-2-15 日本橋室町センタービル1F(地下鉄三越前駅A8出口)
会期:1/5~3/10(休館:月曜日)
開館時間;10:00-19:00
入館料:大人1,000円、小中学生500円。
音声ガイド500円。