龍閑川の埋め立て路地が千代田区と中央区との区界であることから、今回は龍閑川が日本橋に繋がる河口から外堀通り沿いに区界を歩いてみる。
常盤橋まで日本橋川に沿って、といっても川沿いには道が整備されていないので外堀通りを歩くことになる。
常盤橋を過ぎると日本橋川は大きく左に曲がり、千代田区との区界は一石橋を渡り、かつてあった外堀川となる。
本来なら外堀通りを挟んで西側を千代田区、東側を中央区となるのが自然であり一般にもそう理解されているようだ。 しかし、かつて外堀川は外堀通りに沿った西側にあり、その中心線が区界になっているのだから埋め立てられた外堀通りの西側部分の一部(外堀通りに面した一部)は中央区なのである。
実際、東京駅の北隣にある(現在工事中の)第一第二鉄鋼ビルではビルの中を区界が通っており、八重洲一丁目10番・11番街区が設定されているらしい。
鉄鋼ビルの住所は千代田区丸の内となっているが厳密にいえば外堀通り沿いのエントランス辺りは中央区のハズなのである。
この外堀川の埋め立て地にかかって建てられたビルは一石橋から鍛冶橋辺りまで幾つかあるが外堀通り沿いにはまったくビルの建物の住所の表示がない。 これは中央区の部分に千代田区丸の内と表示することに遠慮、躊躇いがあるのだろうか?
鉄鋼ビル
復元した石垣
石垣の解説
地下首都高速の排気塔
このことは鍛冶橋を過ぎ、やがて高速道路が地上に現れることで分かる。
埋め立てられた外堀川上に「東京高速道路」のビルが建てられ、上が道路、下がショッピングとして使用され、鍛冶橋辺りから道路は地下に潜り見えなくなる。
つまり、この建物「GINZA INZ 123」「NISI GINZA」「GINZA5」といったショッピングモールの入る建物はかつての外堀川の区界の上に建ち、現在は住所のない番外地なのである。
しかし、この区域には住民登録がなく区に支払われる住民税等の徴収問題もなく、事業所だけなので特に住所を定めなくても問題はないという。
因みに、消防や警察は、商業施設ごとに管轄を決めておりで、「NISHI GINZA」の場合は消防は千代田区丸の内で、警察は中央区築地の管轄になっているそうだ。
また、郵便物は「中央区銀座4丁目1番先」という便宜上の住所で郵便物は届く。
「GINZA INZ」は「中央区銀座西2-2先」(現在は銀座西の表示は実際にはない)
「GINZA 9」は「中央区銀座8-10先」となっており、便宜上の住所といえども銀座は魅力があるのだろう。
かつて、「GINZA INZ」は「有楽フードセンター」という名でレストランや食品販売街であったが、このときはフランク永井の「有楽町で逢いましょう」が大ヒットしたので、当時、有楽町は銀座よりもブランド力があったのだろうか?
宝籤チャンスセンターで有名な「NISHI GINZA」は「西銀座デパート」という名で最新流行の衣料品を扱い、「GINZA5」は「数寄屋橋ショッピングセンター」という名称でお洒落なアクセサリーなどのアイテムを扱っており、これらのショッピングモールはこの種のものとしては日本での草分けと言っていい存在だった。
これらのショッピングモールが外堀川の埋め立て地上にあることから中央区と千代田区の区界はこれらのモールの中心の通路ということになろうか?
「GINZA5」を抜けみゆき通りを渡るとショッピングモールは終わりレストランが並ぶ「銀座コリドー街」になる。
やがて土橋の交番で高速道路は大きく左に曲がり、「GINZA9」となる。
かつての外堀川は汐留川となり埋め立てられ「GINZA9」が港区との区界になる。
昭和30年代神戸一郎という歌手が唄った「銀座九丁目水の上」が大ヒットしたが、「GINZA9」はそこから付けられたわけではなく、最初は「新橋センター」という名前だった。 やはり新橋駅が近いことから付けられた。
実際、新橋のサラリーマンの溜まり場となる小さな居酒屋が多かったようだ。
現在は、銀座の高級バーのママやホステスさんのドレスなどを扱う店が多い。
「GINZA9」も昭和通りで終わり、海岸通りと上を通る高架の首都高が浜離宮庭園に沿って港区との区界となり、汐留川から東京湾に出て晴海埠頭から晴海運河が江東区豊洲との区界となる。。
浜離宮
汐留川から東京湾へ