『ギフト、そして自分も楽しむ』をスペシャライズ インして取材します、rosemary seaです。
玄冶店 濱田家(げんやだな はまだや)さんは日本橋人形町にあります、伝統と格式の料亭です。
今回は濱田家さんの歴史について語らせていただきます。
玄冶店 濱田家 総支配人 伊藤博仁さんにお世話になりました。
それでは・・・
玄冶店 濱田家さんの創業は大正元年(1912年)になります。
まず、店名の由来から・・・
「濱田家」の名は江戸時代、花街として知られました芳町(よしちょう:現在の日本橋人形町周辺)の芸者さんの置屋「浜田屋」に由来します。
・・・「東京六花街(とうきょうろくかがい)」
以前は柳橋・芳町・新橋・赤坂・神楽坂・浅草を六花街と呼んでおりましたが、柳橋花柳界の消滅後は向島が加えられ、六花街と呼ばれました。
芳町は周辺に歌舞伎の芝居小屋が建ったことで花街の原型ができた、と云われています。
ここで登場しますのは「浜田屋」の芸者、貞奴(さだやっこ)さん。
日舞に秀で、才色兼備の誉れが高く、時の総理 伊藤博文や西園寺公望といった名立たる元勲からひいきにされました。
名実ともに日本一の芸者であったと云われています。
また、のちに彼女は「日本初の女優、川上貞奴」として広く知られる人でありました。
芸者置屋としての「浜田屋」は明治の末にそのお店を閉めることとなります。
しかし現:「玄冶店 濱田家」創始者であります三田五三郎(みた ごさぶろう)氏は、浜田屋主人の親戚筋でありました関係で、この由緒ある「浜田屋」の名を譲り受けられ大正元年、料亭「濱田家」を開業されました。
・・・「玄冶店」
玄冶店は江戸初期の名医、岡本玄冶(おかもと げんや)に由来します。
初名は宗什、のちに諸品と改めましたが、「玄冶」は通称名です。
天正15年(1587年)、京都に生まれました。
16歳の時、曲直瀬玄朔(まなせ げんさく)の門に入りまして医学を学び、玄朔門下第一の高弟と称されました。
徳川家康に拝謁し、元和元年(1618年)法眼、寛永5年(1628年)には法印に叙せられました。
法眼・法印は本来、僧位(お坊さんの位)の最上位を言うのですが、江戸時代にはお医者様にも及んでいた位です。
元和9年(1623年)、二代将軍秀忠に召されてその侍医となり、続く三代将軍家光にも重用され、家光の病を平癒させたことで名を馳せました。
啓廸院の称号も賜り千石の領地も拝領し、江戸ではここ日本橋人形町に屋敷を構えました。
のちに世人はこの日本橋人形町付近を、岡本玄冶の邸宅跡にちなんで「玄冶店」と呼ぶようになりました。
そしてご隠居さんやお妾さんなど、小金を持っていて働いていない人々が住む、というイメージの地域となりました。
幕末の嘉永6年(1853年)に大当たりをとりました歌舞伎狂言「与話情浮名横櫛(よわなさけうきなのよこぐし)の舞台「源氏店(げんじだな)」のモデルとして玄冶店は有名になりました。
ここから更に横道に入りますが、もう少しおつきあい願います。
・・・与話情浮名横櫛【三代目瀬川如皐(じょこう)・作】
いわゆる「切られ与三」です。
三幕、源氏店妾宅の場より
(与三郎) え、御新造(ごしんぞ)さんぇ、おかみさんぇ、お富さんぇ、
いやさ、これ、お富、久しぶりだなぁ。
(お富) そういうお前は。
(与三郎) 与三郎だ。
(お富) ええっ。
(与三郎) お主(のし)ゃあ、おれを見忘れたか。
(お富) えええ。
(与三郎) しがねぇ恋の情が仇。・・・ ⇒ (ここから長ぜりふ:略)
長唄の四代目芳村伊三郎の体験談が講談となり、更に如皐が舞台化しました。
登場人物も「おまさ」がお富に、「伊三郎」が「与三郎」に替えられ、時代も江戸を鎌倉に、場も「玄冶店」を「源氏店」に替えています。
初演は嘉永6年(1853年)、江戸中村座で、配役は与三郎:八代目市川團十郎、お富:尾上梅幸(のちの四代目菊五郎)でした。
のちに与三郎:十五代目市村羽左衛門(うざえもん)、お富:六代目尾上梅幸、蝙蝠安(こうもりやす):尾上松之助による名演技が評判となりました。
大正から昭和にかけての歌舞伎の代表作です。
なお、ここから派生して小山内薫の戯曲「与三郎」、春日八郎の歌謡曲「お富さん」、市川雷蔵・淡路恵子の映画「切られ与三郎」などが、作品として生み出されました。
・・・「蝙蝠安」
強請(ゆすり)のため、お富さんのところへ与三郎を連れてくる人物。
濱田家さんのシンボルマーク「蝙蝠」は、この蝙蝠安にちなんでいます。
画像は濱田家さんのマッチ。切られ与三(右)と蝙蝠安(左)。
・・・今回はここまでです。次回に続きます。
玄冶店 濱田家
日本橋人形町3-13-5
03-3661-5940 FAX 03-3808-0801
営業時間 <昼> 11:30~15:00 (水曜、木曜、土曜のみ営業)
<夜> 17:30~22:00
定休日 日曜・祝日
総室数 8室(2~60名様)
お料理単価 <昼> お一人様 15,000円 / 25,000円
(サービス料15%別、消費税別)
<夜> お一人様 30,000円 / 40,000円 / 50,000円
(サービス料20%別、消費税別)
※ 完全予約制です。
玄冶店 濱田家さんのホームページはこちら
⇒ https://hamadaya.info/