11月7日が最終日の「大江戸東京・まんまん祭り」というイベントで、日本橋から神田までをご案内するガイドを務めてきました。
コース・デザインを手がけた立山西平氏は神田にお生まれで、祖父母の代から神田育ちという生粋の江戸っ子。その立山さんによるロケハンをかねた事前研修ツアーには先月参加しました。古地図を見ながら家康の江戸入り前後の状況も踏まえた、かなりレベルの高い「白熱教室」には特派員魂を揺さぶられ、感激致しました。
私はチャキチャキの江戸っ子ではなく、寒くてシバれる北海道生まれ。バリバリ夕張!の近くで育った道産子(どさんこ)であります。そんなド田舎者の私が、首都・東京のど真ん中でガイドをしちゃっていいの?と自分でも思いましたが、よほど人手不足だったのでしょう、なんと新人ガイドの一人として白羽の矢が当たったのです。別にこれまで隠していたわけではないけれど、私は日本橋でのガイド経験はありません。
文字通り江戸っ子である立山さんのような素晴らしいガイドは出来ないと思いますが、地域で暮らすネイティブ秘伝の、ユニークで貴重なローカル・ネタを、全国的にメジャーな観光情報(徳川家康がらみの歴史・文化系のコンテンツ)も交えてご案内してみたいです。
なにしろ私は「中央区観光検定」に 優秀な成績(笑)で合格 しちゃいましたから、わりと定番のウンチクは脳内データベースにストックされています。
しかし「ものしり百科」でおさえたポイントも含めて「知っているからご案内できる」というものではございません。
逆に言うなら、本番では知っていることの半分でもお客様にお伝えできれば上出来なほうです。
さらに、最近のまち歩きツアーに参加される方々には、こちらより詳しいお客さんも多くいらっしゃいます。そういう強者さん相手に、つけ焼刃の知識でまともに接遇するのはけっこうツラいものがある(>_<)。経験やスキル面で未熟な分、おもてなしの気持のこもったアイデアで顧客満足度の高いツアーにすべく、気合いを入れて頑張ってみました。
そこで私はオープニングでのひと工夫。手作りの「玉手箱」を準備しました。
集合場所と出発は日本橋の乙姫広場からです。五街道と日本国道路元標の話、魚市場発祥の地など、お馴染みのお話をした後で、「竜宮城 日本橋の港なり」という川柳をご紹介します。
そして「この銅像は乙姫様のイメージなのですよ〜、」とかナントカ言って、私が「さて、竜宮城と言えば?」とわざとらしく大声で叫ぶと、上の方から、自撮り棒にとりつけたこの「玉手箱」が降りてくる。
「あ〜! 何ですか?コレは? もしかしてタモ・・・」
そうなんです! 浦島太郎の竜宮城と言えば、やはり「玉手箱」なわけです。
「タモ手箱」ではありません
実はコレ、事前に私がスタッフにお願いしておいたもので、「竜宮城」というキーワードをきっかけに、お客さんの後方から玉手箱を差し出してもらう段取り。
箱の中には今回のまち歩きに関するテーマの書かれた「巻物」が入っていた。
玉手箱を仰々しく開けて、巻物を広げて読み上げます。
「区境いの鍵は掘割にあり?」
このツアーでは日本橋から小伝馬町をまわり神田に向って中央区と千代田区の区境いを歩くのですが、龍閑川という、今はもう埋め立てられてしまった川のラインがそのまま区境いになっており、最後にここを歩いて神田駅に向います。
日本橋を出発してからしばらくして、昭和通りから宝田恵比寿神社〜小伝馬町ぐらいまでのどこかのタイミングで、日比谷入り江の埋め立てや日本橋川、江戸庶民の生活用水路(掘割)のお話をさりげな〜くしておきます。そしてフィナーレ間近、今川橋跡から龍閑橋までの細い道(今川小路)を歩いている時に、ここが龍閑川、つまり千代田区と中央区との境界線になっているというコメントをする。
普段、観光やまち歩きをする時、区境いという概念はあまりピンとこないと思います。キーワードとして現代の区境いと、掘割の由来を頭にインプットしておくことで、まち歩きの理解が深まるのではないかと思いました。江戸から東京への歴史の流れには、掘川の流れもリンクしていた。
さて「巻物」のお題と今回のまち歩きに整合性はあったのか?
ウ〜ん、どうだったのかしら、この演出。
ちなみに玉手箱を運んだのはカメではなく「センタ君」です。
(先っぽにセンタ君のパネルをはりつけて、そのつもり)
だからNHKさんにウシロメタイところは全くございません (>_<)
しかし「ブラタモリ」を知らない人には「なんのこっちゃ?」となるリスクはあった。実際にこの仕込みをスタッフに依頼した時、その彼女は番組を知らず「意味不明〜?」といった不思議そうな顔で引き受けてくれたのでした。(最近の若い人はこの番組を見ていませんね)
今週7日のオン・エアーは私の故郷・北海道が舞台!
幸いにして、この日の参加者14名はほとんどがブラタモファンだったようで、かろうじてご理解頂き、ややウケながら笑いはとれたような... 気がする。冷笑、または苦笑だったの鴨かも川〜(>_<)
ツアーはアっという間の2時間で、特にトラブルもなく、なんとか無難に終了。
最後に本日のコースで紹介した史蹟やスポットから、今年の「第7回中央区観光検定」試験にも出題された問題をピックアップしたのをコピーして配布しました。
NHK大河ドラマ「花燃ゆ」のヒロイン、杉文は幕末の志士、吉田松陰の妹です。松陰は、安政の大獄に連座して投獄され、小伝馬町牢屋敷内で処刑されました。日本橋小伝馬町の十思公園には、「身はたとひ( )の野辺に朽ちぬとも 留め置まし大和魂」という辞世の句を刻んだ松蔭の記念碑が建立されています。空欄に当てはまる地名は次のうちどれでしょう。
ア. 長門 イ. 萩 ウ. 下田 エ. 武蔵
十思公園で吉田松陰の記念碑を見ながら、この辞世の句を紹介しています。その他の項目もコース上で説明してありますので、私が抜粋した設問には、本日の参加者なら全問正解できるはず。
私も疲れてましたから、あえて答え合わせはしないで、詳しくは「ものしり百科」をご購入下さいね〜、リニューアルして新発売!というご案内にしておきました。
というのはウソで、コメント付き解答も一緒に配布しましたので、いいお土産になったかと思います。その下の方に「詳しくは『ものしり百科』をご覧下さい」と
さ・り・げ・な・く キャプションを入れておきました。
↑ どこが ?
準備万端、やる気まんまんで臨んだガイディングでしたが、実際のところ、どうだったのでしょう?
お客さんにはお楽しみ頂けたのでしょうか?(>_<)(>_<)?
意味不明なツアーだったらごめんなさい m(_ _)m... (>_<)(>_<)(>_<)
正直言って、ツアーを監修された立山西平さんのように、何も小道具一つ使わず「べしゃり(=喋り技)」)だけで魅せるガイドを目指したいのだけれど、そんな巧みの芸は私のようなアウトローには
まだ未熟なガイドとしては、ちょこざいな演出と小道具でお茶をにごすのが精一杯でした。しかしながら、立山西平秘伝の話芸と江戸っ子のDNAは、今回の経験で私の脳内メモリーにもインストールされましたので、今後のご案内に役立てて行きたいです。立山さんとの出会いに感謝しております。(立山さん、心の師匠と呼ばせて下さぁ〜い!)
参加されたお客様、拙いガイドをフォローして下さった読売広告社、ポマト・プロのスタッフの皆様に心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。
【私が書いた過去記事のリスト】
べったら市に行ってきました!(2015年 10月23日)
都市景観のフォトギャラリー in 銀座(2015年 9月30日)
観光検定クイズ大会 in 浜町公園(2015年 8月24日)
街歩きを快適に歩くために(2015年 7月22日)
引率者ガイド講習について(参加報告)(2015年 6月17日)
新時代のおもてなし施設「延遼館」(2015年 5月6日)