『ギフト、そして自分も楽しむ』をシステマチックに取材します、 rosemary sea です。
今回は日本橋の老舗和紙舗(わがみほ)、榛原(はいばら)さんをご紹介します。
和紙、和紙小物から便箋、レターセットに至るまで、広く紙製品を取り扱っておられます。
榛原さんは創業1806年(文化3年)、200年以上続いておられますが、お店は2015年(平成27年)建設の新しい店舗。
"老舗の伝統と革新"を感じとれる、目を惹く建物。
内・外装とも2016年にグッドデザイン賞を受賞されています。
外観などから先に申し上げましたが、もちろん本業はより輝いておられます。
お客様も多彩です。
皇室から歴代宰相、イギリスのロックスター、クイーンのフレディ・マーキュリーまで、あらゆる方のご要望にお応えされてきました。
業務上のおつきあいも多士済々。
竹久夢二、河鍋暁斎、伊東深水、柴田是真(しばた ぜしん)、等々。
竹久夢二・・・特派員の皆さん、テキストで学びましたね。
河鍋暁斎・・・ロズマリの「榮太樓總本鋪」さん記事をご覧ください。
伊東深水・・・ロズマリの「文明堂東京」さん記事をご覧ください。
榛原さんの歴史について語り始めると終わりが見えません。
歴史につきましては後日の稿でもう少し詳しく述べたいと思います。
現在の中村達男社長は数えて7代目となります。
株式会社 榛原 広報担当の中村陽子さんにお話を伺いました。
社長の妹さんです。
それでは商品のご紹介です。
・・・雁皮紙(がんぴし)
榛原さんの暖簾(のれん)に書かれています「雁皮紙榛原」。
ここに示されておりますように、江戸時代から「雁皮紙」は榛原さんを代表する看板商品です。
雁皮紙とは・・・
雁皮というジンチョウゲ科の落葉低木の皮で作られた紙。
繊維が短く細いため、表面がきめ細やかで光沢あり。
そのため筆あたり柔らかく、文字を書くのに最適。
また強靭緊密さを有し、害虫に強く変色しにくいため、平安時代から絵巻物や文書、仏教経典や書籍などに利用された。
半面、雁皮は栽培が難しく製造にも手間がかかるため、現在は生産量はごくわずか。
太平が続いた江戸時代、町人の趣味も円熟を極めており、上質で美しい紙が求められるようになりました。
良質の雁皮紙を提供された榛原さん、現在に及ぶ基礎を作られたそうです。
雁皮紙をはじめ、各地から良質な和紙を取り揃えておられるそうです。
・・・蛇腹便箋
「2012年にグッドデザイン賞を受賞しています。
巻紙から着想をおぼえて、書き終わったところで切り取ることのできる便箋を作りたいということで、ミシン目に沿って紙を正確に折りたたんだり切り取ったりする現代の技術も加えて新しい、より使いやすい便箋ができました。
巻紙がもとになっておりますので永らく縦書きのものしかなかったのですが、この度『横書きの蛇腹便箋』ができました。
新商品です。
お客様からのご要望も多かったので。
硬い紙を使っておりますのでカードのように1枚、2枚とご利用いただくこともできますし、お好きなだけ繋げていくことも可能です。
デザインには昔の千代紙のものを使っていますので、海外の方にもお喜びいただけるようなお品です。」
確かに、横書きなら英文字に対応できますね。
・・・御朱印帳
「榛原のオリジナルの千代紙を使っておりまして、明治・大正期に作られデザインされたものです。
それをもとにちょっと色を変えたり、現代に沿うようなかたちに改変を加えたものを表紙にしています。
御朱印帳は今ブームですのでお買い求めくださる方、多いですね。
日本橋あたりも福徳神社さんや七福神がありますので、御朱印巡りをするのには良い土地ですね。
こちらでお求めになって御朱印巡りに出発される方も多くいらっしゃいます。」
女性に好まれる表紙の御朱印帳ですね。
・・・折り紙「折の美」
「こちらも榛原のオリジナルの千代紙を使っております。
12枚が千代紙、残り12枚が民芸紙と言いまして色のついた和紙が入っています。
合計24枚です。
折り紙を折っていただいたりとか、あとは七夕の飾りを作ったりとか、そのままお菓子の下に敷いてナフキン代わりに使うとか、使いご用途はいろいろですね。」
・・・WASHI TAPE
「使い方としてはお手紙の封にしたりとか、お手持ちの箱やノートに装飾をしたり、人それぞれですね。
鋏でも手でも簡単に切ることができます。」
これは猫の柄です。
・・・カレンダー
「毎年榛原の千代紙の柄を使ってカレンダーを販売しておりますが、今年のものは華やかなもみじの柄の表紙で、中は季節ごと季節に合わせたお花の柄となっております。
壁掛けの大きなものもございます。」
・・・懐紙(かいし)・四方紅
茶道で用いられる懐紙です。
白無地、色ふち、すかし入り等、各種取り揃っています。
・・・最後に、暖簾についてエピソードをご紹介いただきました。
榛原さんの暖簾「雁皮紙榛原」は明治初期に柴田是真の弟子、綾岡有真(あやおか ゆうしん)という方の揮毫を現在も同じ書体で用いられています。
榛原さん、明治から大正期にかけては毎年新しい暖簾を綾岡先生にお願いし新調されていたそうです。
明治22年12月28日、綾岡先生、書き上げて墨が乾くのを待っていたところ、夫人の飼い猫がその上をとことことこ。しっかり足跡。
弟子たちは汚れ落としを進言。すると普段温厚な先生、「ごまかして済むと思うか。」と一喝。
暖簾を縫い上げた越後屋(現在の三越さんの前身)に事情を話し、頼み込む。
越後屋さんは親切に対応、夜を徹して改めて縫い上げ、かくして暖簾は大みそかに間に合った、とのこと。
中村さん大変ありがとうございました。
他にも多数、ご紹介したいお品に溢れています。
ぜひご来店いただき、ご覧になってください。
そしてお買い求めも、ぜひ・・・。
【お知らせ】
中央区観光協会が主催するまち歩きツアー「わくわくツアー」の、"産業コース"にて10月26日(木)に、ツアー名「日本橋老舗巡り"南詰編(みなみづめへん)"」が催されます。
このツアーでは榛原さんへの立ち寄りが含まれます。
当日は広報ご担当の中村陽子さんからお話をいただく予定です。
なお、このツアーのご案内特派員にはロズマリが加わります。
参加申込につきましてはこのツアーは既に締め切られております。
ですが、他のツアーはまだ締切前のものもございます。
見どころ聞きどころ満載です。ぜひご参加ください。
他のツアーの詳細とお申込は右側のリンク集『中央区観光協会』をクリックし、"わくわくツアー 参加者募集"の項をご覧ください。
皆様のご参加を心よりお待ちしております。
榛原
日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
東京メトロ銀座線・東西線 / 都営地下鉄浅草線 日本橋駅 B6出口直上です。
駅上のCOREDO日本橋のななめ前になります。
03-3272-3801
営業時間 月曜日~金曜日 10:00~18:30
土曜日・日曜日 10:00~17:30
休業日 祝日・年末年始・お盆
※ 詳しい営業日はホームページをご覧ください。
榛原さんのホームページはこちら
⇒ http://www.haibara.co.jp/