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2015年9月30日 11:00
今年は9月27日が旧暦の8月15日に当たり、「中秋の名月」(十五夜)。
この時季は澄み渡った夜空に、ちょうど見上げるのに適した角度で月が上り、月見に最適のシーズンとされていますが、台風が襲来したり、日本列島付近に前線が停滞することも多く、必ずしも広い範囲で好天に恵まれるとは限らないようです。
幸い今回は、時折雲に隠れることはあったものの、美しい月を十分愛でることができました。
「十五夜」というのは "新月の日を1日目としたときの15日目の夜" ということですが、実は月の満ち欠けの周期がピッタリ1ヶ月でないことから年により微妙なズレが生じ、「中秋の名月」が必ずしも満月とは限らず、今年の場合は翌日が満月。
とは云え見た目はほぼ真ん丸のひときわ大きく明るい月です。
今年は翌28日が、地球の周りを楕円軌道で回っている月が1年のうちで最も地球に接近するタイミングで満月となる「スーパームーン」の日。
2日連続で特別な月を楽しむことができます。
因みに28日のスーパームーンは今年最小の満月(3月6日)よりも直径が約14%大きく見え、明るさは約3割増しと聞きます。
平安貴族などは、月を直接眺めるのではなく、杯や池に映り込んだ月を楽しんだとも云われています。
新川公園の隅田川テラス。川面には橋梁ライトアップの光り、外灯、川岸の建物の灯り、水上バスの電飾等々が映り込み、風情に彩りを添えています。
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2015年9月24日 14:00
国の特別名勝と特別史跡に指定されている浜離宮恩賜庭園は、江戸の大名庭園の面影を今に伝える貴重な遺産。
関東大震災や戦災で庭園内の多くの建造物や樹木が焼失しましたが、昭和53年の「中島の御茶屋」の再建を手始めに、平成16年度からは、文化財庭園を保全し次世代に継承するため、当時の意匠・技法を忠実に再現し、現代に蘇らせる復元・整備事業がスタート。
「内堀」の護岸や「中の橋」などの老朽化した施設の修復に加え、庭園の景観を構成する上でも重要な存在である御茶屋群の復元に着手。
平成22年には「松の御茶屋」の復元工事が完了。
次いで今年5月、平成25年度から取り組んでいた「燕の御茶屋」の復元工事が完了し、今般内部が特別に公開されました。
当初は9月17日、18日、22日の3日組まれていましたが、17・18日両日は雨天の為中止、22日のみの公開となりました。
予定では、①9:30~10:00 ②10:30~11:00 ③13:30~14:00 ④14:30~15:00 の計4回、定員は各回先着順15名にて実施。
復元された「燕の御茶屋」の概要、浜離宮恩賜庭園の歴史等々、庭園ボランティアガイドのレクチャー拝聴後、普段は見られない、「燕の御茶屋」の名前の由来となったと云われる「長押(なげし)に使われた燕(燕子花との一説も伝わるようですが詳細は不明)形の釘隠し金具」や、将軍が座した「上段(じょうだん)」など、内部の意匠・間取り・建具等々を間近でじっくりと拝観。
そして将軍をはじめ奥方様、公家達も味わったであろう、室内からの大泉水(潮入の池)の眺望をしばし堪能。
「燕の御茶屋」は、11代将軍家斉の時代に建てられた御茶屋で、ほかの御茶屋より一回り小規模であることや、数寄屋建築の特色の強い建物であること、上段が設えられていることなどから、将軍自身が調度(生花・座敷飾)観賞、食事、和歌を詠むといった賓客接待の場として利用したものと考えられているようです。
<「燕の御茶屋」の特徴的な意匠や技法>
・室内中央に上段
・上段には三角形の地袋と円形の棚板、背面張り出しの地袋
・北側棚には2間にわたる3段の棚板
・釘隠し金具は24種類すべて異なる燕形の意匠
・縁の欄間板の透かし彫りには霞模様の意匠
・室内は色壁(大阪土)仕上げ、外部は漆喰仕上げ
・屋根は厚さ3mmのサワラ材の「こけら葺き」
・障子は美濃紙、石垣張り
今後は2017年度までに「鷹の御茶屋」、2020年東京五輪までに「延遼館」の復元が予定されていると聞きます。
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2015年9月 7日 09:00
晴海トリトンスクエア館内ポケットプラザ「花・水・木」のグリーンアドバイザーの案内で園内を散策する毎月恒例の「ミニガーデンガイドツアー」。
9月3日開催の今月のテーマは「涼しい風を感じたら・・・」。
処暑を過ぎる頃から寝苦しさから解放されたと思っていたら、いつの間にか、日によっては朝晩冷涼さを覚える程。
朝潮運河沿いの「スロープガーデン」は、夏を惜しむかのように、ちょうど数日前に矮性ヒマワリ "グッドスマイル" に植え替えられたばかり。
園内は、夏の名残りを留める花々と、秋の気配を感じさせる花々が入り混じる、季節の変わり目です。
「花のテラス」ではアオイ科のアメリカフヨウ "ルナ" が目を引きます。
草丈は矮性ながら、花は丸みのある大輪。
艶やかな赤・ピンク・白の花姿が楽しめます。
トリトン像の傍らにはユリ科のクワンソウ(別名アキノワスレグサ)。
昔から、リラックスや安眠に効果があるとされ、茎葉を煎じて、料理やお茶として食されてきた沖縄の伝統的島野菜のひとつと聞きます。(右上画像)
この時期何といっても秋の風情を醸し出しているのはイネ科の植物たち。
ということで今回はイネ科の草本を取り上げてみました。
中でも銅葉のイネ オリザドュショコラはひときわ異彩を放っています。
散策には程よい気候。園内を巡りながら、今回は夏から秋へ移ろいゆく季節を映した草花の楽しみ方を学んだプランツウォークでした。
左からベニセタム チェリースパークラー、パープルファウンテングラス、イネ オリザドュショコラ、イネ(大江戸農園)
左からイトススキ、バニカム、スティバ テヌイッシマ(ポニーテール)、斑入フウチソウ
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2015年9月 3日 14:00
夏から秋にかけて午後の3時ー4時に花が咲き、翌朝の9時過ぎには萎む夜開性のオシロイバナは、ごく普通に道端で見かけますが、幼い頃黒い種子の中にある胚乳の白い粉で遊んだ記憶が蘇る、郷愁を覚える花です。
オシロイバナには花弁がなく、長く漏斗状の花弁のように見えるものは実は萼、その下の基部にある萼のように見えるものは苞とされます。
ひとつの花自体は一夜限りの短命ですが、開花期は次々と休みなく新しい花を咲かせます。
別名 "夕化粧"。英語では "Four O'clock"。
そんなオシロイバナですが、今回取り上げるのは晴海トリトンスクエア「花のテラス」で見つけた、昼でも観賞できる、二段咲きのオシロイバナ "微笑みがえし"。
"苞" が "萼" と同じ色に色づき24時間開花しているように見える、"二段咲き" の珍しい品種。
草丈は50cm前後と普通のオシロイバナの半分程。
冬は地上部は枯れ、毎年初夏には株が大きくなってより多くの花を咲かせる多年草ですが、園芸上は春まき一年草として扱うことも多いようです。。