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中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

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「悉皆屋」をご存知ですか? きもの工房「扇屋」ー佃

[滅紫] 2012年5月25日 08:30

5月も半ばを過ぎると汗ばむ日が多くなってきました。「今日はもう単衣でもいいかな?」と着るものに迷う時期でもあります。そろそろ「衣替え」の季節です。袷を片付けようとして染みを見つけました。いつもは呉服屋さんに依頼するのですが、今回は散歩の途中で見つけた「悉皆屋」さんにお邪魔することにしました。ではちょっと薀蓄を。


現在では一般的に6月1日と10月1日を「衣替え」の日としていますが、元々は平安時代の「更衣」といわれる宮中行事から始まった習慣。当時は4月と10月の朔日を衣替えの日として冬装束から夏装束(10月は逆)としていました。この行事は宮中に限られていましたが江戸時代に入り木綿の普及によって着衣が多様化したことから幕府は武士に対する年4回の衣替えの日を定め、この習慣が後に庶民の間にも浸透し春と秋は袷、夏は帷子、冬は綿入れを着るようになった(「日本の暦と年中行事」より)とのことです。


「悉皆」(しっかい)というと字面から「悉皆成仏」など抹香臭い印象を受けますが「悉皆屋」はその名の通り、きものに関する「悉皆」(ことごとくみな)(染み抜き、洗い張り、染め替え)などを扱うお店です。江戸後期の風俗誌「守貞謾稿」には「京阪にありて江戸にこれなき生業」の中に挙げられています。

100_0576.JPG今回伺った「扇屋」さんは1898年四谷で創業、1936年に佃に移り営業されている100年以上も続く老舗です。染み抜き、洗い張り、染め替え、仕立て直し、およそ着物に関することは何でもOK.。HPに料金表も掲載されており、メールで見積もりをお願いすることもできるので、初めてでも安心です。「染み抜き教室」も開催されており、簡単な染み抜きは自宅でも出来るそうです。


いただいた着物や帯のサイズや色が「ちょっと」という時、ご相談なさってみては如何でしょう。箪笥の中で眠っていた「着物」が甦るのは楽しみですよ。


きもの工房扇屋:
中央区佃2-13-8 地下鉄月島駅 4番6番出口から3分

TEL3531-6892、FAX3531-6893(10:00~19:00) 第2,3土曜,日祝休み

http://www.ougiya.tv/


 

 

 

五月の新橋演舞場ー三島歌舞伎ー通し狂言「椿説弓張月」 

[滅紫] 2012年5月18日 10:00

五月の演舞場夜の部は久々の「椿説弓張月」です。

ご存知のように曲亭馬琴の原作を三島由紀夫が歌舞伎脚本を書き、昭和44年の国立劇場での初演の時は自身で演出までして話題になったもの。三島の最後の歌舞伎脚本で、玉三郎さんもこの時白縫姫に抜擢され一躍有名になりました。その後2回しか上演されておらず前回は平成14年の歌舞伎座でこの時の為朝は猿之助さんでその1年後に病に倒れたのです。今回為朝を演じるのは染五郎さんで祖父の白鸚、父の幸四郎さんが演じた役。白縫姫を演じる七之助さんと二人は今月平成中村座の昼の部と掛け持ち出演の大奮闘です。


100_0568.JPG上中下の巻 通しで4時間弱のお芝居ですが大海原に巨大な船や怪魚が登場する大スペクタクルや烏天狗や猪、白馬、半裸の武藤太が白縫姫の命で女中たちに木槌責めに遭う嗜虐的な場面など如何にも三島好みという感じで飽きさせません。私も前回玉三郎さんの白縫姫に売り出し中の段治郎さんがいたぶられる身体から血が流れるのにぞくぞくした(余り嗜虐趣味はありません。念のため)のを思い出しました。贅肉のついた役者さんは出来ない役ですねー。今回の薪車さんもかなり鍛えているようで贅肉のかけらもありませんでした(羨ましい!)。大海原シーンで大活躍の「波幕」は高間太郎が自害する場面でほとばしる血潮が飛び散ったのが前の方の席にはよく見えました。凄い迫力です。思わず隣の方と一緒に「あっ!」



昼の部は「西郷と豚姫」「紅葉狩」「女殺油地獄」で25日千穐楽です。4月に続き若手花形役者大活躍の舞台を是非ご覧ください。


お問い合わせチケットホン松竹0570-000-489(10:00-18:00)

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江戸落語の舞台を訪ねるー落語散歩は如何?-「宿屋の富」

[滅紫] 2012年5月14日 18:36

「落語はお好きですか?」私は3年前からの新参ファン。好みの噺家も出来、少しずつ面白さがわかってきたところ。何度か聞いていると噺の中に出てくるお店や登場人物のいた場所に行ってみたくなりませんか?そんな方にぴったりの講座が、「名作落語で楽しむ江戸東京の世界」(中央区民カレッジ早大連携講座)です。第1回目は5月11日、「宿屋の富と人形町」。講師が噺の舞台となる宿屋のあった馬喰町、富くじ抽選の行われた椙森神社、富くじ興行についての説明をされたあと、志ん朝の演じる「宿屋の富」(平成6年収録)のDVD鑑賞。テンポのよい志ん朝を聞いているうち、部屋を暗くしているのとまだ抜けない時差の相乗作用で猛烈な睡魔に襲われ三分の一は夢の中!(講師、志ん朝さんごめんなさい)「宿屋の富」は落語の中でもよく知られた噺ですが、説明によると「元々上方で『高津の富』といった噺で二代目の小さんが東京に移したもの、従って場所も高津神社から椙森神社へ。志ん朝は湯島天神で演じています」とのことです。早速舞台に行ってみましょう。

100_0561.JPG椙森神社に向かう途中に幟がたくさん。例大祭の日だったのです。

 

 

 

 

 

 

100_0563.JPG神輿に出合えました。椙森神社は平安時代の創建と伝えられ江戸時代には烏森、柳森と並ぶ江戸三森のひとつに数えられ人々の信仰を集めていました。江戸時代に流行した富くじ興行の場所としても有名でよく時代小説にも登場しますね。江戸の富くじは一枚一分が相場で通常一等が100両。庶民にとっては高額(一両10万円として2万5千円です)であったため共同購入することも多かったとのことです。椙森神社には「富塚」の碑が建てられています。

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