江戸のシンボルは何でしょうか。
「江戸城」、千代田のお城が、まず挙げられるのではないでしょうか。
中央区にも、その広大な遺構がじかに見られる所があるのです。
江戸城外堀に架けられた「常盤橋」です。
現在、このエリアには、「常盤橋」、「旧常磐橋」、「新常盤橋」の三つの橋があります。
その真ん中の、自動車が通行できない橋が、今日の目的の「旧常磐橋」。
少々名前がややこしいのですが、まずは、実物を見ることから始めましょう。
地下鉄半蔵門線の三越前駅の「B1」出入口から地上に出ましょう。
(なお、銀座線の三越前駅からだと、「A5」出入口から地上に出て、三井住友銀行、日本銀行本店を右に見ながら、江戸桜通りを直進します。)
そこから直ぐに見えるのが、「常盤橋」。
そして、お堀沿いに北に道なりに進むと、「旧常磐橋」。
日本銀行本店を背に、橋の向こうを見やれば、外堀に残る、枡形門の跡が望めます。
両翼を石垣でしっかり組まれた「コの字形」の枡形。
その空間に、冠木門、渡りやぐらなどが築かれていたのでしょう。
ウーン深い。 堀ではなく「おもむき」が・・。
ここは、内堀に架かる江戸城大手門から続く、外堀の大手口。いわば正面玄関の位置づけですね。
江戸城内郭と町地とを結ぶ、境の門。
そして、現在の江戸通りに沿う形で、浅草から千住宿・草加宿・越ヶ谷宿へと続く、日光街道・奥州道中の重要な玄関でもあったのです。
橋の中ほどが、中央区と千代田区の境なのでしょうか。
橋の向こう側に、千代田区教育委員会の「常磐橋」の案内板があります。
「現在の石橋は枡形に使っていた石を用いて、明治十年に改架した都内随一の貴重な洋式石橋」なのだそうです。
橋にも、石垣の石が用いられていたのですか。
踏みしめる足が、何とはなしに熱く感じられます。
城に深い愛着を持つ人には、なかなかのビュースポットです。
が、周囲での寝泊りや飲食を禁じる注意書きや、愛煙家の溜まり場的な空間になっている事、外堀の水のどんより感などが気になる人には、少しディープ過ぎるかも知れません。
ディープといえば、このエリア、日本橋川・外堀との曲線に、JR線の高架、そして首都高速道路の高架が複雑にクロスしているので、「常盤橋」と「新常盤橋」間をぐるっと周遊すると、自分の位置関係が、一瞬分からなくなりますよ。
中央区側(日本銀行本店側)の堀内に、「日本橋川常盤橋 防災船着場」があります。
この船着場は、大地震等の災害時に陸上交通の補完施設として利用されるのだそうです。
河川や堀が巡り、舟運が発達していた江戸の遺構が、様々な場面で有効に機能するように、見えにくいところで、しっかり整備されていたのですね。