中央区観光協会オフィシャルブログ

中央区観光協会特派員ブログ

中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

執筆者一覧

>>このブログについて

最近のブログ記事

歌舞伎の舞台を訪ねてー玄冶店ー「与話情浮名横櫛」

[滅紫] 2011年7月31日 11:36

「与話情浮名横櫛」は通称「お富与三郎」「切られ与三」として知られている歌舞伎の人気演目で、最近では歌舞伎座さよなら公演として昨年1月、「与三郎・お富」を「染五郎・福助」で上演されたのをご覧になった方も多いことでしょう。この狂言は長唄の四代目芳村伊三郎の実話を元に、一立斎文車が講釈にしたものを原作として三世瀬川如皐が歌舞伎狂言に脚色したもの。初演は嘉永6年(1853年3月江戸中村座、八代目団十郎、5代目菊五郎)9幕30場の長編ですが、今は二幕目「木更津浜辺見染」四幕目「源氏店妾宅場」の上演が殆どです。


「御新造さんへ、お内儀さんへ、お富さんへ、いやさお富、久しぶりだな」のよく知られたセリフで始まる四幕目の「源氏店」の舞台となったのが今回の「玄冶店」です。当時玄冶店は江戸の妾宅街として有名でそれをはばかり「玄冶」を「玄治」→「源氏」と置き換え、場所を鎌倉に移し「源氏店」としたとのことです。

玄冶店は現在の人形町3丁目交差点付近で交差点の三菱UFJ銀行の隣のドラッグストアの前に史跡碑が立っています。中央区教育委員会の名前で立てられている説明板によれば

100_0149.JPG

「江戸時代初期、新和泉町のこの辺りは幕府の医師であった岡本玄冶の拝領屋敷があったことから「玄冶店」と呼ばれていました。中略 拝領屋敷は「寛保沽券図」によると「表京間六十間裏行京間二五間、坪数千五百坪」とあります。当地にはその後九代にわたって子孫が住み、明治維新で地所を奉還したと伝えられています。後略」

ご存知の通り、「店」は借家のことです。家光の痘瘡を治療して有名になった玄冶は拝領屋敷(広い!ですものね)に借家を建てて庶民に貸したので「玄冶店(玄冶の借家)」


100_0150.JPGその後一帯の通称となったようです。三菱UFI銀行の裏には「橘稲荷神社」(将軍家から下賜され、岡本家の家紋である橘の名前を取った。火除けの神様として信仰されているそうです)、「旧末広亭」跡があり、ミシュラン三ツ星の「玄冶店濱田家」さんもすぐ傍です。交差点から1ブロックの狭いエリアですがちょっとタイムスリップして歌舞伎の世界に遊んでみませんか?「粋な黒塀、見越しの松」を背景に赤い糠袋をくわえ蛇の目の傘をかたげた湯上りのお富が登場してくるかも知れません。



因みに「処女翫浮名横櫛」(おとめごのみうきなのよこぐし)通称「切られお富」は黙阿弥が三世田之助に書き下ろした書替狂言(パロディ)で与三郎の替わりにお富が傷を受け(与三郎34箇所、お富75針)「お富久しぶりだな」は「だんなお久しぶりでございましたねー」に、「しがねえ恋の情けが仇・・・」の名セリフは「総身に疵の色恋も薩埵峠の崖っぷち」と対照されています。最近では昨年5月に国立劇場で前進座が上演しました。(これ見そびれてしまいました。残念!) 



100_0152.JPG 100_0155.JPG
 

 

7月25日は「かき氷の日」 ー銀座松﨑煎餅お茶席ー

[滅紫] 2011年7月26日 08:30

台風一過、又暑さが戻ってきました。ところで7月25日は「かき氷の日」ってご存知でしたか?

1933年のこの日山形市で当時の日本最高記録40.8度Cを記録したことに因み、かき氷を食べるのにふさわしい日として、「日本かき氷協会」が設定したものだそうです。またかき氷は「夏氷」(なつごおり)とも言われるので「7」「25」との語呂合わせもしているとのこと。その後2007年8月16日に熊谷市、多治見市で40.9度Cとなり74年ぶりに記録が破られたのは皆様まだご記憶に新しいところでしょう。


というわけで今日は「かき氷」を目指して松崎煎餅さんへ。松崎煎餅さんはお店のご案内によれば3代目が慶應元年(1865年)銀座に魚らん坂から店を移転して以来200年を超す老舗です。並木通り沿いの1Fはお馴染みのお煎餅が勢ぞろい。「お茶席」はこの2Fにあり、ショッピング帰りの奥様たちご愛用の場所。入ったのは平日の16時過ぎですがほぼ満席の盛況ぶり。隣の方の葛餅セットを横目でにらみながら今日は迷わず「宇治金時」(1050円)を。白玉とミルクをトッピング(各+100円)することもできます。


来ました。来ました。100_0145.JPGこちらのかき氷は薄く薄く削った跡が目でも分かるほどのさらさらとした氷が陶器のお皿にのって供されます。さらっと口の中で溶けていく感触が何とも「夏」を感じさせてくれます。先週大阪のとあるお店でいただいたのはところどころ氷の塊があってかき氷好きの私としては情けなくなりました。


頭の芯にキーンと来てこれぞかき氷!



キャッシャー手前に眼を惹くものが。白い小さなほら貝とビー玉がグラスの中に。ちょっと洒落た涼を呼ぶ演出がステキです。写真を撮らせていただいて9月末まで有効の割引券まで頂戴してしまいました。

100_0147.JPG 100_0148.JPG

100_0144.JPG
銀座松崎煎餅 中央区銀座4-3-11松崎ビル

1F松崎煎餅 TEL3561-9811 10:00~20:00

                  11:00~19:00(日祭)

2Fお茶席 TEL3561-9815  11:00~19:00(日~木)

                  11:00~20:00(金土)

http://matsuzaki-senbei.com



歳時記でこの時期ピッタリの一句を見つけました。

「青春のいつかは過ぎて氷水」(上田五千石)



 

 

竹葉亭銀座店ー老舗のランチー

[滅紫] 2011年7月20日 10:00

7月21日は土用の丑の日です。「土用の丑の日と鰻」の定着に平賀源内が一役買ったというのは有名な話ですが、「土用の丑の日」というのはどのように決まっているのかご存知ですか?


土用とは立春・立夏・立秋・立冬の前の18日間のことで、その期間中の丑の日を「土用の丑の日」というそうです。(夏だけではないのですね)従って年によっては土用の間に丑の日が2回くることもあり、今年も土用の入りが7月20日なので「二の丑」は8月2日になります。


"「丑の日」に竹葉亭を採り上げて鰻の話ではないってドウヨ!"とツッコミが入りそうですが、竹葉亭さんといえば江戸末期創業の老舗中の老舗のひとつ。「鰻」は余りに有名なので今さら申し上げるまでもないと思い、今日ご紹介するのは「鯛茶漬け」です。


こちらも鰻と並んで結構人気メニュー。私も勤め人時代時々お昼にいただきました。お店の案内によればこの「鯛茶漬け」は古くから文人墨客に親しまれていたとか。永井荷風の「断腸亭日乗」にも度々登場するそうです。


いつもは長い列が出来ているランチタイムも雨のせいかすんなり入れ、早速鯛茶漬けを。ゴマタレのかかった刺身大の鯛と薬味のわさびと葱、お櫃に入った炊き立てのご飯、すり鉢に入ったゴマにあつあつのお茶が運ばれてきます。私は1,2切れゴマダレのかかったお刺身をいただきましたが、お隣の方はすぐにお茶漬け製造に取り掛かりました。負けじと私も。・・・というわけで結果2膳もいただくことに。


デザートはお気に入りの「豆腐アイス」(420円)。写真がないのはデジカメの電池がなくなったためです。悪しからず。食欲の落ちる暑い時期に特にオススメです。


www.unagi-chikuyoutei.co.jp

鯛茶漬け:1890円、鮪茶漬け1575円、うなぎ丼1890円~うな重3045円、コース料理4725円~


竹葉亭銀座店 中央区銀座5-8-3 TEL35711-0677 地下鉄銀座駅A5出口1分


営業時間:11:30~14:30 16:30~20:00(土日祝は休憩なし)


100_0119.JPG 100_0122.JPG

 

 

中国膳房「黎花」LAI-KA-福寿健美の薬膳中華ー

[滅紫] 2011年7月13日 08:30

 暑い日が続いています。梅雨明けしたばかりで本格的な暑さはこれからですが、もう少々夏バテ気味の方も多いのではないでしょうか。そんな方に美味しくてヘルシーな「薬膳中華」は如何でしょう。


「薬膳」は元々中国では「煎薬を配膳する」意味でしかなかったようで、現在のような「漢方薬の材料を使った中国料理。健康保持のための食事として中国の医食同源の考えから生まれたもの」(大辞泉)と一般的に認知されるようになったのはそんなに古いことではなく「薬膳」という言葉を用いて1985年に銀座にオープンした「星福」(シンフー)が最初のようです。この時の総料理長がこのお店のオーナーシェフ黎さん。現在の黎花は改装中の歌舞伎座を見下ろす三原橋交差点のビルの7Fに移って3年目。


黎花LAI-KA 銀座5-13-19 銀座タワー7F TEL6659-8212 LUNCH11:30-15:00 


        DINNER 17:00-23:00年中無休LUNCH1260円~DINNER5775円~


100_0101.JPG   100_0102.JPG


今日は「お昼の薬膳コース」(3,150円)を

6品の構成は前菜4種、薬膳スープ、豆腐の蒸し物陰陽ソース、えびのライスペーパー包み揚げ(アボカドソース添え)、中華粥、または中華そば、杏仁豆腐



「薬膳スープ」はチキンに金針菜、白木耳、くこ、大棗、百合の生薬を加えて時間をかけて煮込んだものでこの滋味をたっぷり含んだ冬瓜が口の中でほろりとくずれます。



蟹の身の入った豆腐の蒸し物はほうれん草と蟹の玉子の2種の陰陽五行由来のソースとあわせながらいただきます。温めるもの、冷やすもののバランスの取れた組み合わせが人間の身体を健やかに保つのだそうです。



デザートは星福時代からの評判だった柔らかな杏仁豆腐。ゴマと抹茶の2つの味が絶妙です。当時珍しかった触感のこの杏仁豆腐が食べたくて星福のランチに通っていたのが懐かしい。



デザートを食べ終わった頃にはいつの間にか夏のだるさが取れたような幸せな気分になっています。正に黎花のテーマの「福寿健美」(ふくそうきんめい)(思わず笑みのこぼれる幸福な料理。健やかに美しくなれる健全な料理)です。



因みに中華薬膳料理から連想される「医食同源」という言葉は1972年新居裕久博士の造語でいまでは中国が逆輸入して使用しているとか。本格的な暑さに向かってオススメです。



100_0103.JPG 100_0104.JPG  

100_0105.JPG 100_0106.JPG

 

 

7月の新橋演舞場ー復帰の海老蔵さんー

[滅紫] 2011年7月12日 08:30

昨年の「事件」以来謹慎していた「海老様」こと市川海老蔵さんが9ヶ月ぶりに舞台復帰するというのは、もはや7月の歌舞伎界というより社会的なニュースになっているようだ。


というわけでまだ時差ぼけ気味の状態で私も8日昼の部へ。同行者はパリ・ロンドン公演まで追っかけた熱烈ファン。心配で仕方が無いらしく落ち着きがない。「初日が開いているのだから大丈夫」と外野は無責任な言葉をかける。何しろ昼の部は発売間も無く完売!という盛況。客席にはTVで見かける著名人の姿もちらほら。話題性もあるが現在興行的に「客が呼べる」役者の1人であることは紛れも無い事実。そして舞台に立った時の「華」「オーラ」も。新之助時代の2000年歌舞伎座、「源氏物語」光の君で舞台に現われたときの期せずして客席に湧き上がったどよめきとためいきを今でもまざまざと思い出す。


復帰の舞台の演目は、東京では海老蔵襲名公演以来の「勧進帳」の富樫。「初心に戻って出直す」という意味からか。弁慶は団十郎さん、義経は梅玉さん。舞台後方の長唄連中の中、立三味線の巳太郎さんの隣に立唄の巳紗鳳さんが久しぶりにならぶと流石市川宗家の18番ものらしい。五色の揚幕が巻き上げられて富樫が登場すると場内割れんばかりの拍手。「待っていた」ファンの拍手は温かい。「少し痩せたのでは」とささやく声が聞こえる。それにしても本当に錦絵そのままのような姿にため息が出る。無事に幕が下りてまずは一安心。


昼の部は「鳥居前」「楊貴妃」、夜の部は「吉例寿曽我」「春興鏡獅子」「江戸の夕映」

 

100_0113.JPG 100_0117.JPG

26日千秋楽。お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489

   

 

 
1