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中央区観光協会実施の「中央区観光検定」に合格し、特派員登録をした観光ボランティアメンバーによる中央区の“旬な”情報をご紹介。

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煉瓦造りの素敵なワインバー~ビストロ 銀座ストック~

[之乎者也] 2017年3月22日 09:00

金曜日の夕方の仕事帰り、友人からの誘いで銀座で飲むことになりました。「ちょっと隠れ家的なお店なんだ!」という誘いのメールに期待が高まります。場所はコリドー街沿いの銀座7丁目。今までも何回も歩いたことのある通りなのですが、いつもは はす向かいの長い行列(美登利寿司)に目を奪われて全くノーマーク、まさに隠れ家です!GSK1.jpg

 

外観はご覧の通り煉瓦造りで周りの建物にすっかり溶け込んだ感じですが、一歩ドアを開けて中に入ると明るい店内でソムリエのリサさんが笑顔で迎えてくれます。

GSK2.jpg開店したばかり(18時開店)ということで先客は1人さんだけでしたが、友人曰くちゃんと事前予約しないとなかなか席が取れない人気店とのこと。おつまみのパテを食べながら、リサさんのおすすめの南フランスの赤ワインを楽しみます。そうこうしているうちにどんどん新しいお客さんが入ってきて、こじんまりとした店内(定員17名)はあっという間に満席になりました。

                   

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【季節の野菜料理】五感で楽しめます!                              

                 

南欧のワインと併せて、国内の素材を生かした料理も美味で、特にリサさん出身の高知の野菜、魚を使った料理には力を入れているとのこと。

                   

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【高知新聞を手に高知の魅力を語るリサさん】「銀座のソムリエ岩本さん(高知市出身)料理で開幕に花」(17年3月4日高知新聞夕刊)                                    

                           

ところで、高知県といえば4年前に公開された映画「県庁おもてなし課(錦戸亮・堀北真希主演)」でも有名になった観光に力を入れている県ですね!

その高知県の高知県観光特使に任命されているリサさんから「3月から2年間、大政奉還・明治維新150周年を記念して『志国高知 幕末維新博』が開かれてるので、高知にも是非行ってみてね!」というお話もありました。酒、料理、リサさんとのトークと三拍子がそろう楽しいお店です。GSK6.jpg

【ビストロ 銀座ストック】

所在地:〒104-0061 中央区銀座7-2-4(第26ポールスタービル)

電話:03-3572-0201

営業時間:18:00~25:00(Food LO 23:00 土日祝休)    

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中央区の産業遺産---晴海鉄橋--

[之乎者也] 2017年2月28日 14:00

江戸期以来文化・経済の中心地として発展してきた中央区には国指定重要文化財をはじめとして様々な史跡が残ります。主に商業地域として発展してきた中央区ですが、今回は産業に関わる史跡を訪ねてみたいと思います。2015年に「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録されてから、産業に関する施設も世界遺産に登録されることが広く知られるようになりましたが、これまでにも外国(オーストリア、インド、スペインなど)では、現役の鉄道や橋が世界遺産に登録されています。中央区には土木遺産に認定されている永代橋、東洋一の可動橋としてのユニークさを誇る勝鬨橋などがありますが、今回の主役はこちらの橋、晴海鉄橋です。HarumiB7.jpg

晴海のトリトンスクエアから晴海通りを豊洲地区に向かって行くと晴海運河に架かる春海橋を渡ります。その春海橋の南側に寄り添うように掛かっているのが晴海鉄橋です。新しい春海橋や豊洲の高層マンション群とは対照的に錆びたアーチとコンクリート橋がインパクトのある姿を示していますが、こちらは昭和32年(1957年)に東京都港湾局晴海線として作られ、国鉄と臨港鉄道網を通じて結ばれる越中島(貨物)駅から晴海埠頭の間で、晴海埠頭で貨物船から降ろされた新聞巻取紙、輸入小麦、大豆、セメントなどを運ぶ貨物鉄道として活躍した鉄道の一部です(下記地図参照)。HarumiB2.jpg

 

【東京貨物専用鉄道路線網地図】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

先に再開発が進んだ豊洲地区も、元々は石川島播磨重工業(IHI)の造船所でしたが、対岸の晴海2丁目地区でも、元々あった専用線、上屋やセメント工場などが徐々に撤去され、現在では高層マンション、晴海臨海公園などに生まれ変わりつつあります。HarumiB5.jpg

貨物輸送のトラックへの転換により平成元年(1989年)、港湾局晴海線はわずか32年の歴史を閉じましたが、その後も晴海鉄橋は、撤去費用の負担のためか、現在まで残っています。HarumiB3.jpg

【東京貨物専用鉄道晴海鉄橋】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

もちろん現在では貨物線が廃止されたのでこの橋は使われていませんが、世界的に見ればこのような歴史的な橋が観光名所として生まれ変わっている例も少なくなく、隣接する晴海公園とともに、水の都中央区を象徴し晴海埠頭の歴史を語る遺産として残したい史跡です。対岸の豊洲の石川島造船所跡では、跡地にできた商業施設のららぽーと内で、もともとあった造船用のクレーンがライトアップされ、観光名所となっています(その様子は中央区からもよく見えます)。現在世界遺産に登録されている文化財にもかつては廃虚同然に放置されていたものを地元の努力でその潜在的価値を復活させたものも多く存在します(例:マカオのセントポール寺院跡やフランスのシトー派修道院など)。HarumiB4.jpg

【東京貨物専用鉄道晴海埠頭駅】(社)東京都港湾振興協会・東京みなと館提供

 

以下の写真は、まるごとミュージアムの時に船上から撮影した晴海大橋です。桁下ぎりぎりを通るスリル満点のクルーズでした。HarumiB6.jpg

【晴海鉄橋】

〒104-0053 中央区晴海2丁目春海橋西詰(最寄駅:地下鉄有楽町線・大江戸線月島駅から徒歩15分くらい)

 

 

 

相生橋を楽しむ

[之乎者也] 2017年1月31日 14:00

水辺のまち中央区には多くの橋があります。特に江東区との境を貫流する隅田川には「おはこ十八景(平成19年に中央区観光協会が選定)」にも選ばれた隅田川8橋をはじめとする個性的な橋が多くあります。特派員ブログでもたびたび紹介される永代橋、中央大橋や勝鬨橋は人気も高く、どこにあるかや形もすぐに分かりますが、今回はそんなスター級の橋と比べるとやや知名度のあまり高くない「相生橋(あいおいばし)」を紹介します。AioiB2.jpg

千住・浅草の方向から流れてきた隅田川は、永代橋を越えたところで佃島の大川端に突き当たりますが、そこで中央大橋をくぐる隅田川本流と左側へ向かう隅田川派川(はせん)に分かれます。相生橋は左側に分流する派川に架かる橋です。月島・佃(島)は、現在では多くの橋や地下鉄で築地や深川地域(江東区)と結ばれていますが、1892年に月島が作られた当時は、その名の通りここは隅田川の中州であり、アクセスは渡し船(佃、月島)のみでした。そこで1903年、深川(越中島)と佃・月島地区を結ぶ初めての橋として相生橋が架けられました。AioiB3.jpg相生橋の名前は「上流の永代橋に相対する橋であること(東京都建設局)」や「創設当時この橋が長短二橋であり、2つセットの『相生の松』に由来(wikipedia)」などの説があるようです。相生橋は、派川に浮かぶ中の島(中州)を伝うかたちで2つの橋(相生大橋:147m、相生小橋:53m)から成っていましたが、1980年に相生小橋の下部(現在は清澄通り沿いのカミソリ堤防が立っているあたりです)が埋め立てられ、中の島は越中島との陸続きになりました。 陸続きではあるものの中の島は依然相生橋東詰下に木が茂る円形の公園として残っており、橋の(清澄通り)わきに階段があって降りていくことができます。上流側(北側)の入口から下に降りると川沿いに通路があり、橋の下をくぐって反対側に行くことができます。AioiB4.jpg隅田川テラスではちゃんとした歩道が整備された部分が多いですが、ここは丸い石柱を切ったものが並んでいるだけ、冒険気分が味わえます。下流側(南側)に行くと灯籠のモニュメントを中心とした公園の続きになっています。AioiB5.jpg

左側に海洋大学の明治丸、正面に豊洲のタワーマンション群と春海橋、そして右側には相生橋の全景が眺められる絶景ポイントです。夜にはライトアップされる永代橋や中央大橋と比べるとやや地味な印象の相生橋ですが、写真のように鉄骨を"N"(もしくは"И")字につなげたような複雑なトラス構造の橋です。夜見てももちろんきれいな橋なのですが、その美しさはむしろ燦燦とかがやく太陽に照らされたときに映えるようです。お隣の江東区でではありますが、中の島公園と明治丸は江東八景に選ばれているそうです。AioiB6.jpg

またこちらの中の島公園は月見の名所として昔から知られる場所ですが、ご覧の通り隅田川の水が中に入ってくる構造になっています。特に満月の夜は潮位が高くなり、満潮時や大きな船が通った後には、引き波で水が入ってくるので十分に注意しながら楽しみましょう。AioiB7.jpg

相生橋自体は、やや地味ながらも、橋から眺める風景は絶景です。豊洲地域のタワーマンションとアーバンドックららぽーと豊洲のドックのライトアップのモニュメント、さらには羽田空港から東北・北海道方面へ向かって離陸していく飛行機や豊洲を走る新交通ゆりかもめなど素敵な夜景が楽しめます。AioiB8.jpg

【相生橋】

所在地 :〒104-0051 中央区佃2-20先

(大江戸線・有楽町線月島下車徒歩5分)

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インバウンド4000万人時代の御宿かわせみ~オークホステルキャビン@豊海橋~

[之乎者也] 2016年12月 1日 12:00

10月30日、訪日外国人旅行者(インバウンド客)数が2005万人となり(JNTO発表)、初めて2000万人を突破しました。政府では本年3月にインバウンド客数の目標値を倍増し2020年までに4000万人としていますが、中央区内でも外国人の姿を見かけることがごくごく普通のことになりました。一方、上京する地方の友人からは「ホテルが取れない、どうしよう!。。。空室はあるのだけれど高くて会社の規定旅費では泊まれない」などといった悲鳴が聞かれるようになっています。私自身も出張で訪日外国人にも人気の高い関西や北海道へ出かけることも多いのですが、確かに、定宿にしていたホテルの予約が最近取り難くなったと感じます。

 

こうした流れを受けてでしょうか。観光地を中心にゲストハウスといった一部屋にベッドがたくさん設置されている相部屋形式の宿泊施設が最近増えているようです。東京ではどうなのでしょうか?。。。検索してみると浅草、南千住、新宿などといった地域にはたくさんゲストハウスがあるようですが、ビジネス旅客需要の強い中央区には東横インや、スーパーホテル、アパホテルのようなビジネスホテルは多いもののゲストハウスについてはあまり評判を聞いたことがありませんでした。

 

少し前に豊海橋と小説「御宿かわせみ」のお話(「文学で楽しむ中央区(その5)~~御宿かわせみ~~(/archive/2016/11/post-3819.html)」)を書きましたが、天気の良い日曜日の朝、豊海橋を渡って日本橋川の北岸の通り(名無し通り)を散歩していると、一見普通のビルなのですが、「HOSTEL」の文字が目に入ります(場所は「日本銀行創業の地の碑」の向かい)。Oak1.jpg階段を登って2階のドアを開けると受付があります。お話を聞いてみるとやはりゲストハウスとのこと。2015年3月開業で、何べんも目の前を通っていたはずなのですが、夜であったことや、外見も普通のオフィスビルのようなつくりだったので気が付きませんでした。中央区観光協会ブログでの紹介はまだ無かったようですので、散歩の途中でしたが取材をさせて頂くことにしました。Oak5.jpg

2階の受付の手前で靴を脱ぎ、傍にある靴ロッカーにしまいます。鍵もかかるので、大きな宿でありがちな靴の取り間違えや紛失も無さそうで安心です。受付の裏側は共有ラウンジになっていて、朝の明るい陽射しが差し込んで気持ち良さそうです。ラウンジには宿泊者が自由に使えるキッチンもあって、夜はさぞ旅の情報交換の飲み会で賑やかなことでしょう!Oak2.jpg5階建のビルの1階、3階、4階が宿泊フロアで、カプセルホテルにあるようなセル(個室)が86室並んでいます。エコノミーな宿なので大浴場はありませんが、5階のシャワールーム(9室)で旅の汗を流すことができます!Oak4.jpgまた、洗濯機・乾燥機(有料)があるほか、タオル、浴衣などのレンタル(有料)もあります。レンタル自転車(1日600円)もあるようですので、泊まっている外人さんには是非とも中央区の名所を訪ねてほしいものです。Oak3.jpg小説の中の御宿かわせみは、主人のるいとかわせみを取り巻く人々の厚い人情で安心して泊まれる宿(やど)でしたが、インバウンド時代のかわせみ「オークホステルキャビン」でも居心地の良い滞在ができそうです。Oak6.jpg

【オークホステルキャビン(Oak Hostel Cabin)】

所在地:〒103‐0015 中央区日本橋箱崎町1-16

電話:03-6264-9452

宿泊料金:¥2,500程度/名~(日により変動)

アクセス:地下鉄茅場町駅、水天宮駅・TCATから各徒歩7分程度。Oak7.jpg

 

 

 

キハという名の。。。

[之乎者也] 2016年11月26日 16:00

こんにちは!「キハ」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?。。。「ディーゼルカーのことでしょ!」と即答された方。。。ご名答です!

私は「キハ」と聞くと浅田次郎の短編小説『鉄道員(ぽっぽや)(集英社文庫)』を思い出します。

                        

「美寄駅のホームを出ると幌舞行の単線は町並を抜けるまでのしばらくの間、本線と並走する。ガラス張りのリゾート特急が、一両だけのキハ12形気動車をゆっくりと眺め過ごすように追い抜いていく。ダイヤのいたずらか、それとも都会のスキーヤーのために用意された演出なのか、特急の車窓には乗客が鈴なりになって、朱い旧国鉄色の単行ジーゼルを見物している。。。≪中略≫。。。18時35分発のキハ12は、日に三本しか走らぬ幌舞行の最終だ。」Kiha1.jpg

【帯広駅に停車中の根室本線キハ40 滝川行】                                    

                         

「鉄道員」は北海道の廃線寸前のローカル線の駅長佐藤乙松(高倉健)を主人公として展開されるお話です。1999年に映画化されましたが、その際南富良野町にある根室本線の幾寅(いくとら)駅でロケが行われています(注:根室本線は本年8月30日の台風10号の被害で一部不通となり、JR北海道の経営状況もあり、復旧が難しいとも言われています)。映画化を記念して幾寅駅にはキハ40を改造したキハ12の先頭部分が保存されています。

ここでミニ解説ですが、「キハ」とはJRの車両の種類記号です。「キ」はの通りディーゼルカー(気動車)、「ハ」は普通車のことを指し、「キハ」でディーゼルカーの普通車を表すことになります。似たようなものに「モハ」というものがありますが、「モ」はモーターのついている電車車両(電動車)で電車の普通車を指します。「ハ」の代わりに「ロ」や「シ」または「ネ」などが入ることもありますが、「キロ」はディーゼルカーのグリーン車、「シ」が入れば食堂車、「ネ」は寝台車になります。Kiha2.jpg

。。。前置きが長くなりましたがそろそろ本題へ。

今回は少年時代鉄道小僧であった私に、同じく鉄分の濃い友人から「飲みに行こうよ!」と連絡が入ったことから始まります。仕事のあと人形町駅で合流し、出世稲荷のある堀留町の方向へ5分ほど歩きます。すると暗闇の中、駅によくある「のりば」の案内が現れます。Kiha3.jpg

思わずドアを開けて中に入ると「ご乗車ありがとうございます!」と助役(マスター)の声が迎えてくれます。入口の左には黄色の案内板があって、出世通り方面出口、日比谷線、浅草線乗り換え、2番線(実際は2階のことですが)とまるで地下鉄の駅構内のよう。店の奥へ進むと特急電車のビュッフェ車(「キハ」の食堂車だから「キシ」かな?)にあるようなカウンターで先客が数人既にビールと料理を楽しんでいます。カウンターの上にはこの店の食材の缶詰がうず高く積まれていて、助役に注文するとひとつひとつ調理して軽食として出してくれるシステム。先ずは乾杯のビールを飲みながら友人のセレクトのオイルサーディンのチーズ焼きを頂くことになりました。Kiha4.jpg缶詰とバカにするなかれ、結構美味です!。。。そして2杯目は鉄道の旅には欠かせないワンカップ酒です。出てきたのはSL(C57)の絵が描かれている新潟(五泉市)の地酒カップ!Kiha5.jpg友人と「おいしいね」と言いながら飲んでいると、なんと奥にいたお客さんがそのワンカップ酒の製造元(金鵄盃(きんしはい)酒造)http://www.kinshihai.com/index.html)の社長さんとのこと。今日は東京に営業出張で、お酒を卸しているこちらのお店にも挨拶も兼ねて寄られたのだそう。思わぬ出会いに旅気分が盛り上がります!Kiha6.jpg

酔っぱらってもカウンターの上には掴まることのできるつり革があり、2階では電車のロングシートに座って飲むこともできます。立ち飲みなのでちょっとだけ入ってみようということだったのですが、おいしい料理とお酒、そしてお店の楽しい雰囲気に、結局2時間半くらい長居してしまいました。

                       

【お酒・鉄道好きの終着駅『キハ』】

所在地:〒103‐0012 中央区日本橋堀留町1‐6‐11

電話:03‐5651‐5088

営業時間:18:00~23:30(日祝は運休、土曜は不定期運行(営業)のため要事前確認)

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亀島川水門

[之乎者也] 2016年11月25日 14:00

明け方(11月22日)の大きく長く続く揺れ。。。久しぶりの大きな地震です。幸いながらいままでのところ生死に関わるような直接の大きな人的被害も無いようですが、改めて災害(地震・津波・台風など)の多い国「日本」を認識させられた朝でした。

 

急速に海外からの観光客が増える日本にとっては、歴史・文化などのコンテンツを紹介することももちろん大切ですが、日本における災害に対する備え、安全というものについても発信し、特に地震や台風などの災害に不慣れなインバウンド観光客の方に対して、日本における安全性についても十分な説明をし、今後も安心して訪問してもらうことも大切です。

 

地震も治まったようなので、出勤のため家の近くの南高橋を渡っていくと、日本橋クルーズなどの通り道で、普段は開いているはずの亀島川から隅田川への水門が閉まっています。津波に備えたものなのでしょうか?(気象庁から午前7時26分に千葉県内房・伊豆諸島に津波注意報が出されていました)Kame4.jpg

 

亀島川水門は亀島川流域を高潮の被害から守る目的で作られた防潮水門です。江戸期以降日比谷入り江を埋め立てて発展してきた東京の下町地域は、昔から多くの高潮、津波。洪水などの被害に遭ってきました。中央区も比較的地盤高の低い地域に立地しており、この例にもれません。Kame2.jpg

例えば以前書いたブログ記事(/archive/2014/06/post-2075.html)で紹介しました松本清張の短編小説集『無宿人別帳』(文春文庫)に「海嘯(つなみ)」というお話がありますが、こちらでは江戸時代に石川島にあった人足寄場を津波が襲う話が描かれています。その後明治以降も東京東部低地帯の隅田川などの沿岸は洪水、高潮等の水害の常襲地域となり、関東を直撃したキティ台風(昭和24年)などの大きな被害を経て、高潮対策事業が進められるようになります。

 

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特に昭和35年(1960年)の伊勢湾台風により名古屋地域がA.P.+5.02mという高潮(A.P.は「荒川工事基準面」。新川の霊岸島水位観測所の最低水位をもって定められています。上図参照。)による大きな被害を受けたことにより、1960年代から東京都でも本格的に防潮堤、いわゆる「カミソリ堤防」の建設が進められるようになります。亀島川水門もこの時期、昭和44年(1969年)に完成しています。水門の門扉は8.3mあり、防潮壁同様高潮の亀島川への侵入を防ぐことができます。このような対策の結果、昭和54年10月の台風20号来襲時にはキティ台風を上回る高潮(A.P+3.55m)を記録したものの、破堤することもなく周辺住民の生命を守りました。

 

普段はほとんど目に留めることもない亀島川水門でしたが、今回のように地震や台風などで津波や高潮が発生し河川の水位が上昇したときには、いち早く水門を閉鎖して沿岸への浸水を防ぎ、区民や中央区を訪れる人々の安全を守ってくれていることに感謝の思いを新たにしました。

 

【亀島川水門】

所在地:〒104-0033 中央区新川2丁目31番22号

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