『ギフト、そして自分も楽しむ』をルック オーバーして取材します、rosemary seaです。
日本橋の老舗和紙舗(わがみほ)、榛原(はいばら)さんの前々回記事はこちらです。
⇒ /archive/2017/10/post-4699.html
前回、歴史編①はこちらです。
⇒ /archive/2018/02/post-4946.html
今回は2回に分けた歴史編の②です。
今回も株式会社 榛原 広報担当の中村陽子さんにお世話になりました。
それでは・・・
大正時代に入りますと、産業の発展とともに新しく計測器が外国より輸入され、それに使用する計測用紙の開発の必要性が叫ばれるようになりました。
これを受け、榛原さんでは創業以来の印刷技術を駆使して、大正8年(1919年)に、日本で初めて計測記録紙の製造に成功しました。
その後、関東大震災や第二次世界大戦で事業も大きな打撃を受けられましたが、それを凌いで事業の安定化に成功。
昭和39年(1964年)、計測記録紙の印刷工場を設立。
品質の高さからアメリカのアポロ計画にその計測記録紙が採用され、昭和44年(1969年)、アポロ11号に乗り月面へと出向き、月面調査にも大きな役目を果たしました。
また、心電図や土地測量など多岐にわたる用途に、計測記録紙は活用されています。
オフィスサプライ用品などの取り扱いもされ、IT時代に対応する体制も築きました。
平成27年(2015年)、再開発完了に伴い、中央通り沿いに新店舗を建設し移転・開店となりました。
上:河鍋暁斎 「鶏図」・下:酒井抱一 木版団扇絵
「はい原の 団扇(うちわ)を送る たより哉(かな)」
「鶏(とり)が鳴く あつまの江戸の はい原の 焼きじるしある 絹団扇かも」
それぞれ明治31年に、榛原さんについて正岡子規が詠んでいます。
文化文政の頃より、木版摺りのうちわは雁皮紙(がんぴし)とともに榛原さんの人気商品でした。
榛原さんでは毎年4月14日が「うちわ初め」の日。
新作のうちわを求めて、多くの人々が来店され、初夏の風物詩となっていたほどだそうです。
榛原さんのうちわを浴衣の帯に差したり、蛍を払ったり。
ファッション感覚で使われていたようです。
また正岡子規が詠んだように、代表的な江戸のお土産として知名度が高かったようです。
前回申し上げましたとおり、榛原さんのうちわの原画は当代一流の画家たち。
人々が身近に使ううちわに、各時代を象徴するような美術家の作品を取り入れられ、「生活の中で芸術を愉しむ」喜びを、榛原さんはお客様と共有し続けております。
上:竹久夢二 一筆箋・下:木版手摺絵はがき「夢二の旅」
大正から昭和初期の榛原さんには竹久夢二を語らずにはいられません。
抒情あふれる美人画で名高い夢二は、榛原さんの便箋、絵封筒、絵はがき、千代紙、うちわ、広告などの図案を数多く手掛けました。
夢二は榛原さんのデザイナーという立ち位置の他、作品制作に必要な和紙を購入する顧客でもありました。
また、榛原さんの四代目、榛原直次郎氏と親交が深く、夢二がヨーロッパに旅立つときに援助をされた、という逸話も残っているとのことです。
榛原さんの歴史はお客様の歴史でもあります。
新しい商品を積極的に考案する一方、変わらぬデザインで永くお客様に愛される商品も大切にされています。
「のれんを磨き、育てる」
・・・日々の努力を重ねておられます。
榛原
日本橋2-7-1 東京日本橋タワー
東京メトロ銀座線・東西線 / 都営地下鉄浅草線 日本橋駅 B6出口直上です。
駅上のCOREDO日本橋のななめ前になります。
03-3272-3801
営業時間 月曜日~金曜日 10:00~18:30
土曜日・日曜日 10:00~17:30
休業日 祝日・年末年始・お盆
※ 詳しい営業日はホームページをご覧ください。
榛原さんのホームページはこちら
⇒ http://www.haibara.co.jp/