[滅紫]
2018年6月12日 18:00
関東の梅雨入りが報じられた翌日の歌舞伎座昼の部にやってきました。今月は久々の上演演目が昼夜そろい、昼の部は菊五郎さん演じる20年ぶりの黙阿弥作の「野晒悟助」と夜の部の24年ぶりの「巷談宵宮雨」(宇野信夫)で、こちらは芝翫さんが初役で演じます。また夜の部の「夏祭浪花鑑」では吉右衛門さんの団七九郎兵衛・菊之助さんお梶夫婦の息子役に寺嶋和史君が出演するのも話題です。
さて、お昼の「野晒悟助」は難を救った娘二人に惚れられて押しかけられ「女房に」と迫られるという色男・何とも羨ましい侠客です。娘二人に囲まれて如何にも困った表情の菊五郎さんに客席から爆笑と大拍手。「野晒」の名に合わせて衣裳の柄にもしゃれこうべが使われていて、着替えた衣裳には音羽屋の「かまわぬ」文様が。「山門の場」の立ち廻りの傘には「音羽屋」が。視覚的にも何とも爽やかで、梅雨空を吹きはらうような爽やかな演目です。昼の部は時蔵さんの「妹背山婦庭訓」と菊之助さんの舞踊「文屋」です。
千穐楽は26日お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10時―18時)
[滅紫]
2018年5月11日 12:00
GWの半ば銀座をブラブラしていてこのポスターを見つけました。ポーラビルまで行くと何と「ただいま一時間待ち」。出直すことにして連休明けに再度挑戦しました。
ウイークデイの昼間ですが、結構な来場者で、これならGWの込み方も想像がつきます。
この「ミニチュアワールド」は食べ物や雑貨など私たちの身近にあるものを実物の12分の1のサイズでホンモノさながらの質感で作ったもの。作家の田中智さんはこのミニチュア作品を作り始めて17年目とのこと。ルーペが置いてあり、「のぞきこむように近づいてみてください」とあります。「撮影自由」です。
バゲットやクロワッサン、ジャムの小瓶(ラベルに商品名まで入っている)、カップラーメン(途中までシールがはがされ割りばしがついている)、お鮨、アクセサリー、チョコレート、ずらりと並んだ様々なシューズ。どれもこれも可愛くて写真を撮りまくってしまった。「12分の1には到底見えない。もっと小さいはずだ」と思わせる。江戸前寿司の制作過程を見せるコーナーがあり、使用する道具も合わせて展示してあるが、見ているだけで要した時間を想像するとため息がでる。多分写真だとこのイメージを伝えることは至難なので是非会場でご覧ください。
ポーラミュージアム アネックス 銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3F
5月27日(日)まで 会期中無休 入場無料 11時―20時まで
http//www.po-holdings.co.jp/m-annex/
問い合わせ 03-5777-8600ハローダイアル
[滅紫]
2018年4月28日 14:00
大名茶人として名高い松江藩主松平不昧(1751-1818)が没して200年になる今年、地元の松江市では「不昧公200年祭」の企画が盛りだくさんのようですが、東京でも不昧公由来の美術品を多く所蔵している美術館、畠山美術館は4月7日から、そして21日からこちら三井記念美術館でも始まっています。「不昧は書画、名物道具、調度品など名品を数多く蒐集し、今日では国宝や重文に指定されているものも多数あります。今回は不昧が愛蔵した名品の数々、さらに不昧像が窺われる自筆の書画や好んで作らせた器なども紹介」(展覧会パンフ)する企画です。名品を蒐集したのも勿論素晴らしいことですが、さらに凄いのは自身のコレクションを記した「雲州蔵帳」と茶碗・茶入れなど茶道具中心の名物を図説と共に実証的に記載した「古今名物類聚」18巻を著したことです。現在でも使われている中興名物・大名物・名物などの品および呼称はこの書によって定まりました。私が見たかったのは国宝の「大井戸茶碗・喜左衛門井戸」と重文の「赤楽茶碗・加賀光悦」だったのですが、美術館内に造られている茶室に(国宝の茶室「如庵」の写し)不昧の書「喝」が掛けられ、重文の赤楽茶碗「無一物」が設えてあり、あまりの素敵さにしばし見入ってしまいました。不昧公の掛物は得意とされていた「隷書体」のものが有名ですが、この「喝」は行書体ですが大迫力、余白とのバランスも素晴らしい。(不昧公に怒られているような気がします。欲しい)
展示の最後は「プロデューサーとしての不昧」でここには自分の美意識を反映させた道具を塗師・原羊遊斎や小島漆壺斎などに創作させたものが並んでいます。洒落た、趣味のいいとしか言いようのない道具たちです。良く知られている豆腐を描いた掛物に自らの画賛「世の中はまめで四角で和らかでとうふのようにあきられもせず」も出展されています。藩主を53歳で隠居して品川・大崎の松平家下屋敷に11棟の茶室を備えた茶苑を造成し茶の湯三昧の晩年を送りました。何とも羨ましいですね。
この茶苑はどうなったかといいますと黒船来航で品川沖警備が急務となった幕府に没収され跡形もなくなってしまったとのこと。お墓は芝・天徳寺から関東大震災後に護国寺に移されています。(この間お参りしてきました)
「大名茶人・松平不昧」展
三井記念美術館 6月17日まで 10時―17時休館日月曜
三越前駅A7出口1分三井本館7階
[滅紫]
2018年4月27日 12:00
観世能楽堂開場1周年・音阿弥生誕620年記念特別公演として、今日では滅多に上演されることのない「古式謡初式」が4月25日に上演されました。「古式謡初式」は江戸時代正月に江戸城本丸大広間にて将軍・御三家・諸大名列座のもと毎年行われていた幕府の公式行事です。数年前にこんな記述を読んでから何とか一度見てみたいと念じていました。「正月3日の御謡初には諸大名が登城して、島台を献上し、その返礼に将軍自ら大名に盃を下賜した。その間に能の四座・一流の太夫の謡が行われ、それが終わると観世太夫は室町幕府以来の伝統として将軍が脱いだ肩衣を拝領する、その後諸大名も将軍を真似て肩衣をその場に脱ぎ捨てる。一同退座ののちそれらの肩衣が観世太夫へ渡されるが、諸大名は翌日、観世太夫宅へ使者をやり、褒美を与えてその肩衣を回収した。」(「江戸博覧強記」)
企画が発表されてからなかなか詳細がわからず何度か問い合わせしたほどで今日は本当に楽しみにやってきました。入り口で写真を撮らせていただき、受付を済ますと、何と「開場一周年記念品」を手渡されて感激。流石に満席で前の方にはマスコミでお見かけする演劇評論家のお顔もちらほら。上演後の説明によれば、「明治13年に謡初式を復活させた時」の形で上演するので江戸時代のものよりコンパクトになっているとのこと。
始まりました。初めに観世大夫・宝生大夫・金剛大夫が侍烏帽子・素袍の正装で登場、それぞれの流派の地謡が3名ずつ続き、着座したところに奏者が登場。今回は日本芸術文化振興会理事長の茂木七左衛門氏が勤めます。一同平伏のまま、奏者が観世大夫にむかい、「うたいませ」と声を発します。間髪を容れず「四海波」が始まり、終わると囃子方登場。三大夫による居囃子(シテと地謡・囃子で舞なしで演奏するもの)で「老松」「東北」「高砂」となります。この三曲が謡初式の決まりの演目とのこと。演奏がおわると「時服(じふく)拝領」です。白色の綿入れで裏地は紅になっています。この時服を素袍の上に重ね着して三大夫が次の「弓矢立合」を舞います。これは三方ケ原の大敗で浜松城に逃げ帰った徳川家康が敵の武田軍が引き返したのを喜び、観世大夫にひとさし舞わせたという由緒によるものだそうです。「弓矢立合」が終わると奏者より観世大夫に肩衣が与えられ、奏者も自らの肩衣を脱ぎ、投げ渡します。その肩衣を後日大名家にお返しに伺うと金品をいただくのが習慣になっていたそうです。後で観世宗家のご説明によれば、幕末近くになると各大名家も財政難で「どうぞお持ち帰りください」と言われて観世家には大名家の家紋のついた肩衣が3棹も残されているそうです。このあと「武家儀礼と能」と題した音阿弥シンポジウムが国学院の二木謙一教授と東京大学の松岡心平教授、観世宗家で行われました。(音阿弥は観世流の三世です。)その折、観世宗家の着用されていた素袍は2代将軍・秀忠から拝領したものと伺いました。三流の宗家が一緒の舞台はなかなか見られることはありません。充実の一日でした。
[滅紫]
2018年4月24日 14:00
人ごみの中から「黒フレームのめがね、赤白シャツ、ニット帽が目印」のウォーリーを探し出す「ウォーリーをさがせ!」は世界中で人気の絵本シリーズです。2017年に誕生30周年を迎えたのを記念したウォーリー展が4月18日から始まっています。貴重な原画の日本での公開は初めてとあって会場にはたくさんの親子連れ。1987年に初めて刊行された"In Town"の時のウォーリーの顔が段々シリーズを重ねるごとにシャープな顔に変わっていくのがわかるのも面白いです。こどもと探す競争をしたのを懐かしく思い出しました。
展示の終りのところに「紅茶花伝を持ったウォーリーを探せ」コーナーがあり、幌馬車に積み込んだ荷物が全部「紅茶花伝」になっているのも可笑しくて楽しめます。なかなか探せない私の様子をみて隣の方がそっと教えてくださいました。
隣の展示スペースでは「MOE 40th Anniversary 5人展」が同時開催中。島田ゆか、酒井駒子、ヒグチユウコ、ヨシタケシンスケ、なかやみわー」と「MOE」でデビューした今人気の絵本作家ばかり。私は図書館で子供たちへの読み聞かせのお手伝いをしているのですが、先週採りあげたばかりの本が2冊もあり、嬉しくなってしまいました。原画200点は楽しめます。GWにお子様とご一緒にご覧になるのにおススメです。
「ウォーリーをさがせ」「MOE 40th Anniversary 5人展」
松屋銀座 8階イベントスクエア
5月7日まで 10時―20時 最終日は17時閉場
ウォーリーをさがせ」入場料 一般1000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円
「MOE 40th Anniversary 5人展」入場料 一般800円 高校生600円 小中学生400円
[滅紫]
2018年4月15日 09:00
やってきました。あの和光の時計塔前です。初夏を思わす青空で絶好の撮影日和。今日、「東京は今年初の夏日、桜も満開」と発表されました。「夏日と桜満開」が重なるのは20年ぶりとのことです。
「銀座のシンボル」として知らぬ人のない和光の時計塔ですが、ご存知の通り時計塔は「通常は立ち入り禁止」で和光の社員の方も「入社と退社の2回」しか基本的には入れない場所だとか。唯一のチャンスは2010年9月に始まった「*ブライダルフェア中に対象品を15万円以上購入された方への特典」としての「時計塔前での記念撮影」だけ。個人的には全く機会に恵まれそうになく、一生ご縁がないものと思っていましたが、何と今回特典を得た友人が声をかけてくれました。こんなにその日を楽しみにしたのはいつ以来でしょうか。係の方にご案内いただき、直通エレベーターで7階へ。階段を上がりドアの先はもう屋上。目の前にはあの時計塔が。・・・余りの近さにもう興奮。夢中で写真を撮っているうちにチャイムが響きはじめました。係の方のご説明によると「ウエストミンスター式チャイムが正時の45秒前から響き始め、余韻のあとの一打が正時を知らせる」のだそうです。「11時!」すぐそばで聞くと大変な迫力です。昭和29年(1954)の6月10日、時の記念日からとのこと。ではここで時計塔のスペックをご紹介しましょう。
(これクイズにすると面白いですヨ)
地上からの時計塔までの高さ 39.39m
屋上までの高さ 30.30m
時計塔の高さ 9.09m
避雷針の高さ 8m
文字盤の大きさ 直径 2.4m
針の長さ 長針 1.17m
短針 0.75m (和光HPより)
時計の動力部分は昭和41年(1966)からセイコー・クオーツのムーブメントに替わり、平成16年(2004)からGPS電波時刻修正方式を導入しているそうです。(セイコー HPより)
時計塔の四方の文字盤はほぼ正確に「東西南北」を指していて、南北のものにSEIKOの文字が入っています。今日は南側をのぞいて3方向からの写真を撮ることができました。屋上から銀座の街を見下ろすと「ここが四丁目、銀座の中心」だということが実感できます。三越の屋上に桜が咲いているのが見えました。(銀座のお花見です。)
ご存知のようにこの時計塔は昭和7年(1932)竣工の2代目です。設計は渡辺仁によるネオ・ルネッサンス様式、渡辺仁は横浜のホテルニューグランド(旧館)や第一生命館などを設計した当時の有名な建築家です。初代の時計塔は明治27年(1894)完成で建築家は伊藤為吉、舞台美術家の伊藤熹朔、演出家の千田是也の父上で、特許を70も取得して「和製レオナルド・ダヴィンチ」と言われていました。
2代目の時計塔が完成してから昨年の2017年で85年。平成21年(2009)には経産省から「近代化産業遺産」に認定されています。これからもずっと銀座のシンボルとして歴史を刻み続けて行くことでしょう。もう一度行きたい! 娘を結婚させねば。・・・・
和光 銀座4丁目5-11 TEL3562-2111
営業時間:10:30~19:00
*今年の4月1日(日)より通年エンゲージリングまたはマリッジリングをペアでご購入された方への特典となりました。