[滅紫]
2018年4月13日 16:00
高島屋美術部創設110年記念の一環として上記展が4月11日より始まり、初日に早速お邪魔してきました。
皆様ご存知の通り、鈴木藏先生は1994年「志野」の重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定された現代志野を代表される陶芸家です。高島屋での展覧会は2009年以来、9年ぶりとなる新作展、志野だけではなく、瀬戸黒や花器、書もあります。今回サブタイトルの「造化にしたがひ、自然にかへれとなりー」は芭蕉の「笈の小文」にある言葉で、ここから芭蕉俳諧の特徴といわれる「不易流行」が生まれたそうです。
今までと傾向の異なる作品も多く、「買えるのならこちらがいいか」などとゆっくり眺めていると、「お手に取ってみてください」と係りの方に言われ、お言葉に甘え力強くたっぷりしたお茶碗を手に乗せると、見た目の大きさから想像する重さはなく、「緑が映えそう。これでいただくとどんなに美味しいだろう」とため息が出てきました。先生とも少しお話しすることも出来、何とも幸せな一日となりました。宝くじの幸運に恵まれないと購入は無理ですが、眺めるだけでももう一回見たいと思います。
「鈴木藏展」高島屋日本橋店 6階美術画廊 4月17日まで
[滅紫]
2018年4月 6日 18:00
片岡仁左衛門が一世一代で勤める「絵本合法衢」(えほんがっぽうがつじ)は通称「立場の太平次」として知られる鶴屋南北の傑作、極悪人が活躍する敵討ち物です。国立劇場・松竹座では数回上演されていますが歌舞伎座では初めて。役者さんたちも前回とほぼ同じ配役の「チーム・絵本合法衢」で息があっています。仁左衛門が当たり役としている大学之助・太平次の二役を見られるのはこれが最後とあって客席は満員。お家横領をたくらむ極悪非道な左枝大学之助と彼に与する瓜二つの悪辣な町人太平次が謀略・残虐な人殺しを続けて行き、敵討ちの一族も皆返り討ち、結末は?
この悪人、大学之助・太平次を仁左衛門が演じます。二枚目役が多い仁左衛門さんですが、インタビューで「演じていて楽しいのは悪の方」と話しています。確かに殺しを愉しんでいるかのような「ニタリ」とした表情が凄味があります。監修もつとめての今回の舞台ですが、切れのいい軽やかな動きをみているとこの月での「一世一代、演じ収め」は「役者の美学」なのでしょうが、ファンとしては「まだまだできそう」「また見せてほしい」と名残はつきません。
昼の部も明治150年記念と銘打った「西郷と勝」そして23年ぶりに二木弾正と世話物の悪党・小助を菊五郎が演じる「裏表先代萩」、「表」は有名義太夫狂言の「伽羅先代萩」「裏」は世話物で小助による殺しの組み合わせ。こちらも見ものです。来週が楽しみ。夜の部もう一度見なくては。松竹さん、回数券発売しませんか。
四月大歌舞伎 千穐楽は26日 チケットのお問い合わせはチケットホン松竹0570―000-489( 10時~18時)
夜の部開演は16時45分です、ご注意ください。
[滅紫]
2018年3月25日 14:00
パリ凱旋・傘寿記念の「与勇輝展」-創作人形の軌跡―が21日から松屋銀座で始まりました。12年ぶりのパリでの展覧会の成功を受け、東京では8年ぶりになるこの展覧会は「今回は初期のシンデレラやピーターパンなどの海外の物語を題材にしたものから、日本の郷愁をテーマにした代表作、「今」を生きる子供たちへの賛歌など新作70点を含む約150点を展観。」(展覧会案内より)とのこと。日本のみならず世界各国で人気の与勇輝氏の創作された人形はただの人形ではなく、魂の宿った生き物のような印象を受けます。来場者はとても丁寧に一体ずつご覧になるのでなかなか列が進みません。私は逆コースで回ることにしました。最後に待っていたのは「おいら」と題したビートたけしさんと 「ところさん」の所ジョージさん。今にも喋り出しそうにそっくり。サッカーに興じる子供たちの表情は見ていて飽きない。与勇輝さんの優しいまなざしが伺えます。おやつを前に座っている大正・昭和初期の子供たちには「着物が懐かしい」という会場からの声も聞こえてきました。
入り口では「人形には人形の人生があると思う」という与勇輝さんの言葉が迎えてくれます。
与勇輝さんに魂を吹き込まれた人形たちのこれからの人生はどんなものになるのでしょうか。
会場の外に出ると「神楽坂紀の善」の看板が目に入りました。何とイートイン・コーナーがあります。甘味の名店なので思い立って一度出かけた時は「定休日」だったのです。今回初出店。早速入って悩んだあげく「くずもち」にしました。周りの方は殆ど有名な「あんみつ」を召し上がっています。お店を出ると隣は新川の「津々井」。えっ!オムライスもあったの!これで驚いてはいけなかったのです。更に隣には「銀ブラ」発祥の地、「カフェパウリスタ」まで出店。
展覧会も勿論ですが、イートイン・コーナーも外せません。会期の前半・後半でお店も替わるようですからもう一度来なくては。前半は27日までです。
与勇輝展 4月10日まで 松屋銀座8階イベントスクエア
10時~20時最終日は17時閉場
入場料:一般1200円
[滅紫]
2018年3月14日 14:00
昭和50年代に一大歌舞伎ブームを巻き起こした「孝・玉コンビ」(仁左衛門さんの孝夫時代)ですが、最近は共演が少なくはや「伝説の舞台になったか」と残念に思っていたら、ファンの声が通じたのか先月の「7段目」に続き今月の演目が発表された時は小躍りしてしまいました。「於染久松色読販」は「お染の七役」としてお染を演じる役者の7役早替わりが知られていますが、今回は「莨屋の場」「油屋の場」だけの上演。玉三郎さんの土手のお六、仁左衛門の鬼門の喜兵衛夫婦がフグにあたった死体を使って強請を思い付きますが、死体が生き返り、強請に失敗した二人が駕籠を担いで花道を引っ込みます。この組み合わせでの上演は松竹の発表によれば昭和52年以来41年ぶりとのこと。次の「神田祭」もお二人の鳶頭と芸者でこちらも同様の久しぶり。美しい名コンビの復活に奈良からやってきた若い友人は大感激。当時復活上演された南北物を連続公演してくれないかなーとため息をついていました。最後は泉鏡花原作の「滝の白糸」です。新派で上演されることの多い演目ですが、歌舞伎座では昭和56年以来だそうです。玉三郎さんの演出で壱太郎・松也さんが滝の白糸、村越欣弥を初めて演じます。水芸の場面は本当にどこから水が出てくるのかわからず、大拍手。裁判所の場面の欣弥のセリフは聞かせます。
昼の部は愛之助さんが和藤内を演じる「国性爺合戦」。四世雀右衛門7回忌追善「男女道成寺」、芝翫さんの落語の芝浜を歌舞伎化した「芝浜革財布」です。
千穐楽は27日 お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489
[滅紫]
2018年3月11日 09:00
次の予定まで1時間近く時間が空きました。どこかでお茶でもと思って目に入ったのがここ、ハイアットセントリック銀座です。1月22日にオープンしたばかりなので気になっていたのですが、のぞいてみるチャンスがありませんでした。Bar&Lounge NAMIKI667は3階にあります。ちなみに4階がフロントです。一人だったのですが窓側のゆったりしたテーブルに案内されました。眼下は並木通りです。このラウンジの名前、NAMIKI667は勘の良い方はお察しの通り、ホテルの所在地が並木通りの6-6-7であることによっています。アルコールも勿論ありますが、ソフトドリンクも豊富です。私はまずはコーヒーをいただくことに。読みふけっているといつの間にか外は薄暗くなっていて、全く気が付かない間にテーブルライトが置かれていました。このさりげなさ、珈琲のお替りのタイミングといい、やはりホテルのサービスですね。気になるお値段ですが。コーヒーは800円、サービスと消費税が入って994円でした。
ホテル・ハイアット・セントリック銀座 Bar&Lounge NAMIKI667
銀座6-6-7
[滅紫]
2018年3月 1日 12:00
二月歌舞伎の千穐楽翌日2月26日、六代目清元延寿太夫三十三回忌追善、七代目清元延寿太夫襲名三十周年記念の「延寿会」で延寿太夫さんのご子息二人の初代清元斎寿、七代目清元栄寿太夫の御披露公演がありました。午前の部で襲名披露演目として「助六曲輪菊」、夜の部では中村勘九郎・七之助さんによる「吉原雀」、菊之助さんの「お祭り」仁左衛門さんの「保名」と何とも贅沢な演目が並びます。「口上」では菊五郎さんからのご挨拶が始まると延寿太夫さんが感涙、斎寿さんのご挨拶の時にはハンカチまでお使いになるほどでお喜びの様子が客席まで伝わってきました。隣に並ばれた菊五郎さんの温かい眼差しが印象的でした。
七代目栄寿太夫さんは皆様ご存知の若手人気歌舞伎役者、尾上右近さんです。菊五郎さんの「最近は野球でも二刀流が話題ですが・・」のご挨拶に客席が沸いていましたが、ご本人のインタビュー記事によれば「二足の草鞋でも二刀流でもありません。結婚した相手が歌舞伎、清元は家族」とのこと。とはいえ両立は大変だろうと思いますが、ファンとしてはどちらも頑張っていただきたいものだと願っています。