[yaz]
2019年1月20日 09:00
現在の八重洲通りは、慶長17年(1612年)江戸城建設のための資材運搬用運河として掘られた紅葉川を埋め立てたものです。この運河(舟入堀)は、首都高速道路の江戸橋ジャンクションから京橋ランプの間の海岸線に10本掘られました。このうち8本は元禄3年(1690年)に埋め立てられました。八重洲通りの運河(紅葉川)は鍛冶橋~呉服橋間の外堀に連絡していました。延宝年間(1673年~80年)には、西半分つまり中央通りから外堀側の紅葉川(西側)は埋め立てられ延焼防止用の火除地となり、安永3年には京橋交差点から久安橋まで(紅葉川の東側)が埋め立てられて、それまでの火除地に「中橋広小路」という細長い町が出来ました。
中橋広小路の街並みを示す絵が、江戸名所図会に出ています。2つの道(中央通りとそれに直角に通る道)が描かれていますが、どちらが中央通りでしょうか?右から左に走る道が恐らく「中央通り」だと推測できますが、断定出来ますか?
太い道には町人が多いですから日本橋・銀座の商業地をせわしなく歩いているのでしょう。左上から右下にクロスする道には武家・その使用人が歩いていますが、恐らく城中に向かうのでしょう。この推測を"正"とすれば、左右に向かう道は中央通りということになります。この状況証拠に基づく推測が正しいかどうかを分析してみましょう。
現存する沽券図で最も古い「宝永7寅年(南伝馬町図)」を見ると通町(現在の中央通り沿いのブロックです)の道幅は下図のようになっていました。
A=田舎間10間 B=京間6間 C=横丁・新道 京間3~4間(京間の1間は約2m、田舎間(江戸間)の1間は1.83mです)
「宝永7寅年(南伝馬町図)」によると、中橋広小路の東側は中央通りから"XーA"間だけ下がっているのが判ります。これを理解した上で、江戸名所図を見てみましょう。中央通りと推測される街並みの庇を南北それぞれつないでみると(赤線)となり、東側が予想通り数間下がっているのが判ります。この考察から名所図会の左右に通る道は「中央通り」であることが判ります。ただXが幾つかは不明です。
[小江戸板橋]
2019年1月19日 12:00
『雪松図屏風(ゆきまつずびょうぶ)』
国宝である。作は円山応挙。
六曲一双の屏風は、日本橋室町2丁目の三井本館7階、三井記念美術館に収蔵されており、毎年新春に公開されるのが恒例となっている。
右隻に力強い幹を持つ老松、左隻の若木。
枝にしなるほどの雪が積もっている。
長寿・吉祥を表す松に、雪の白さがまぶしく映る。
金泥の空気の中に、昇りゆく朝の光が清々しい。
雪を描かず雪を描くという技法。
和紙の白地をそのまま塗り残して、やわらかに積もった雪を生み出している。
つい、引き込まれてしまう。
新春の行事も、小正月で区切りがつく。
孫の帰省。箱根駅伝。七福神めぐり。・・・。
意外にも、時が飛ぶように過ぎる。
そうした睦月の行事の中に、「国宝を見る」という行動を加えている。
今年は、三井記念美術館へ。
私は、35年ほど前に、国鉄で車掌として勤務していた。
宮城県の松島湾に沿って走る、仙石線。
冬の凍える始発の車窓から、雪に包まれた松島の風景を見ていた。
歌に詠まれた、雪の松島である。
島々を形づくる樹木や岩に積もる雪の、墨絵の世界。
まだ乗客はひとりも乗っていない。
この風景、ひとり占め。
体の芯まで凍える寒さの中にいても、ふるえながら笑みが浮かんでくる感動だった。
今、線路は、震災後に海辺から離れて敷設されている。
雪松図屏風は、勤務しながら新年を迎えていた、20代の自分を思い出させてくれた。
[小猿]
2019年1月18日 18:00
文豪・泉鏡花の名作「日本橋」は、もともとは小説として書かれたものを、鏡花自ら戯曲化するほど思い入れが強い作品です。同じ男性に思いを寄せる清葉とお孝という2人の芸妓の姿を描きました。金沢出身の鏡花の江戸文化への憧れが色濃く出ている作品と言われ、明治当時の日本橋の空気が伝わって来ます。昨年自筆の原稿が見つかったことでも話題になりました。この「日本橋」が新春花形新派公演として三越劇場で25日まで上演されています。
新派創始から130年の記念公演で、初演の際は花柳章太郎がお千世を演じて出世作となりました。日本橋西河岸地蔵寺教会には花柳章太郎が奉納した「板絵着色お千世の図額」が現存していて、区民有形文化財に登録されています。物語の舞台はこの西河岸橋から始まり、章太郎も祈願に訪れました。
鏡花の本の装丁をしていたのは日本画家の小村雪岱で、図額も章太郎が雪岱に依頼した物です。この日はお寺が閉まっていて、図絵を見られませんでしたが、お寺の方がいて、お願いすれば見せて頂けるそうです。写真は雪岱の描いたお千世の絵馬です。意匠の天才と言われ、装幀や挿絵、舞台美術も手掛け、発足間もない資生堂意匠部にも在籍した「デザイナー」でもありました。
「日本橋」の装幀
「日本橋」は三越劇場で、平成11年に日本橋架橋88周年記念、平成23年に架橋100周年記念としても上演されました。
三越劇場 中央区日本橋室町1-4-1 日本橋三越本館6階
[まぴ★]
2019年1月18日 09:00
銀座は食パンのブームのようですが、
京橋公園の横にも2018年9月に新しくパン屋がオープン。
に志かわというお店ですが、ここの食パンは水にこだわっています。
小麦粉100に対して水が60。
そして仕込み水にアルカリイオン水を使用することで
絹のようにしっとりとした耳になり、
淡雪のような口溶けがほんのり甘い食パンになるのだそう。
ほんとにもっちりふわふわで焼くのがもったいない。
一本2斤分で864円。
買った日を含めて3日間は常温保存できるそうです。
お昼頃は意外と穴場で行列がないときもあります。
ちょっと面白いなと思ったのは「かまわぬ」とコラボした
名前入りの風呂敷に包むと2000円(税抜き)の手土産になるそう。
紙袋より粋でいいですね。
2019年の1月には大阪船場にも進出するそうですよ♪
銀座に志かわのホームページ
[あすなろ]
2019年1月15日 18:00
織田有楽斎(織田信長の実弟)が建てた茶室「如庵」は日本三名席のひとつです。
<犬山市 2016年撮影>
幾多の移転を経て現在犬山市に落ち着いていますが、
その趣を三井記念美術館にて体験できます。
三井家にゆかりのある国宝茶室「如庵」の室内を再現した展示ケースに、
今は、「国宝 志野茶碗」が展示され見応えあります。
二畳半台目なので広くはないと思っていましたが、
実際の空間は広く感じますね。
筋違いの囲みが広く感じさせる一因になっているのでしょう。
そして、茶道口周辺へのゆとりにつながり、
給仕がしやすくなる使い勝手のメリットもあるようです。
用と美を兼ね備えた茶の湯の空間を翫賞しました。
併設されるカフェで余韻のひと時。
甘い和菓子を食べて、そのあとに抹茶を飲む。
とても安らぎますね。
◆三井記念美術館
東京都中央区日本橋室町2丁目1番1号 三井本館7階
国宝 雪松図と動物アート
2019年1月31日(木)まで