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現代版『橋づくし』~橋と時代をこえて~

[Hanes] 2018年4月30日 18:00


こんにちは。新人特派員のHanes(ハネス)です
新緑が眩しい季節となり、自然と歩く時間が増えてきた今日この頃...
やはり、「期間限定の展示を見に行く」、「評判のスイーツを食べに行く」といった
何らかの目的があると散歩のモチベーションが上がりますよね

今回は、築地・新富エリアを舞台にした三島由紀夫短編小説『橋づくし』に基づく
ワクワク、ドキドキする散歩ルートをご紹介します
まず、その小説の内容を簡単にご説明しますと、陰暦8月15日の満月の夜に
4人の女性が7本の橋を渡り、願掛けをしようとするというものです。

しかし、ただ橋を渡って願い事をするだけではありません!
・願い事をお互いに言ってはならない
・家を出てから、7本の橋を渡りきるまで口をきいてはいけない
・知っている人から話しかけられてはいけない
・同じ道を二度歩いてはいけない
といったルールがあり、それらに加え、橋を渡る前と後には、
手を合わせてお祈り(合計14回)をしなければなりません。
大したことのないルールのようですが、守るのが意外と難しいのです

私は興奮と不安が入り混じる中、それらのルールを頭に叩き込み、
現代版『橋づくし』と称した願掛けを早朝に決行することにしました
まず、第一、第二の橋である三吉橋(橋が2本架かっているため2カウント)へ向かい、
橋の袂にある『橋づくし』に言及した碑をチェックします。
昔、川があった場所も一目で把握できますね!

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そして、この小説が収録されている本を片手にいよいよスタート

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朝日に照らされた中央区役所方面を臨み、小説の該当箇所を読みます。
「橋の欄干は低く、その三叉の中央の三角形を形づくる三つの角に、おのおの古雅な鈴蘭燈が立ってゐる。鈴蘭燈のひとつひとつが、四つの燈火を吊るしてゐるのに、その凡てが灯つてゐるわけではない。月に照らされて灯つてゐない灯の丸い磨硝子の覆ひが、まつ白に見える。」(p. 320)

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生憎月ではなく太陽が出ている時間帯でしたが、鈴蘭燈と思わしきものを発見

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小説に登場するものと同じものが見られるなんて、物語の世界に入り込んだようでなんだか不思議な気分
思わず歓喜の声をあげそうになりましたが、ぐっとこらえて次の橋を目指します

第三の橋は、築地橋

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願掛けを終えて小説を読み返すと、
「ここに来て気づいたのだが、都心の殺風景なかういふ橋にも、袂には忠實にが植ゑてある。ふだん車で通つてゐては気のつかないかうした孤獨なが、コンクリートのあひだのわづかな地面から生ひ立つて、忠實に川風をうけてその葉を揺らしてゐる。深夜になると、まはりの騒がしい建物が死んで、だけが生きてゐた。」(p. 322)
とあります。

川は埋め立てられてしまいましたが、
なんと、今でも窮屈そうに柳が生えているではありませんか

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「もしや...これは小説に登場するあの柳なのでは?」と淡い期待を抱きつつ、
第四の橋である入船橋へ歩を進め、願い事を済ませます。

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そして、第五の橋に向かう途中、小説には、
「やがて左方に、川むかうの聖路加病院の壮大な建築が見えてくる。それは半透明の月かげに照らされて、鬱然と見えた。頂の巨きな金の十字架があかあかと照らし出され、これに侍するやうに、航空標識の赤い燈が、點々と屋上と空とを劃して明滅してゐるのである。病院の背後の會堂は灯を消してゐるが、ゴシック風の薔薇窓の輪郭が、高く明瞭に見える。病院の窓々には、あちこちにまだ暗い燈火をかかげてゐる。」(p. 325)
という描写があります。

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小説同様、薔薇窓を横目に見ながら先を急ぎます。

この時ちょうど早朝パトロール中のお巡りさんを見かけ、
「小説同様に声をかけられたらどうしよう」とドキドキしてしまいました!
それでも無事に無言のまま築地川公園にある暁橋に到着。

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これまでの橋と異なり、橋を渡っているという実感はありませんが、
後ろ側から見ると、橋らしさが感じられます

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公園内を移動し、第六の堺橋の親柱を発見

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ここまできたら何としてでも無事に第七の橋を渡りきりたいという気持ちが強くなり、
小走りで向かった備前橋

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小説にある
「三味線の箱みたいな形のコンクリートの柱に、備前橋と誌され、その柱の頂に乏しい灯がついてゐる」(p. 329)
を思い出し、実際の橋と見比べたうえで、最後の願い事をしました。

普段歩きなれた道ですが、現代版『橋づくし』をしてみたところ、
むしろ新鮮で、これまであまり意識することのなかった何十年と変わらない風景に気づくことができました
温故知新という四字熟語がぴったりですね!

その一方、高いビルが増えたことで、見えなくなってしまった風景もあります。
さらに数十年過ぎた頃、小説に登場する満佐子や今の私と同じくらいの年齢の女子が、
原作の時代と2020年のオリンピック前の築地・新富エリアに思いを馳せながら、
新たな時代の『橋づくし』に挑むのかもしれません
その頃までに、このエリアはどのような変貌を遂げているのでしょうか...

築地・新富エリアで散歩をする際は、そのような時の流れを思い出しつつ、
ワクワク、ドキドキに満ちた体験をしてみてはいかがでしょうか

【参考文献】(本記事内のページはこの文献に基づいています。)
三島由紀夫(1973)『三島由紀夫全集第十巻』新潮社.

【関連記事】
特派員の先輩方も『橋づくし』のルートを歩いていらっしゃいます
滅紫さん:「三島由紀夫『橋づくし』を歩く―三吉橋から備前橋まで―」
CAMさん:「橋づくしツアー」(1)「橋づくしツアー」(2)

 

 

七五 春の味覚、「筍」

[あすなろ] 2018年4月30日 09:00

この時期美味しい初物と言えば、タケノコ。

竹の芽なので「竹の子」と呼びますね。

 筍_450.jpg

 芽が出てからわずか十日で竹に成長することから

十日間を意味する「旬」を使い、「筍」とも書きます。

風味豊かな生の筍が手に入るのは、

この時期の十日間ほどでしょうか。。。


 古くは、「苦竹」といわれ、食用には不向きでしたが

江戸時代に中国から孟宗竹が伝わり、その筍は

柔らかく、苦みも少ないため、好んで食べられるように

なりました。

「初物七十五日」ということにもあやかって

ぜひ味わいたい春の味覚の一つです。


築地場外市場店舗検索

 

 

隅田川テラス 築地大橋~勝鬨橋

[皐月の鯉の吹き流し] 2018年4月24日 18:00

築地大橋と勝鬨橋の間、隅田川テラス勝どき側から築地市場を見ることが出来ます。

 

市場_01.JPG

<<<< 勝どき側から築地市場を見る >>>>>

(築地大橋はまだ供用されてないので、勝鬨橋が隅田川の第一橋梁です)

 

市場の移転が今年10月に決まったようなのでここから市場を見られるのも後半年くらいです。

 

豊洲市場_ (2).JPG

  

豊洲市場_ (3).JPG

<<<<< 移転先の豊洲市場です >>>>>>

 

 

 

市場のうしろの高層ビルがある所は汐留で以前ここに国鉄貨物駅があり

この国鉄貨物駅(汐留駅)から市場の中(東京市場駅)まで引込み線が敷設されていました。

国鉄汐留駅は日本発の鉄道起点駅の新橋駅は名称は変わりましたがここ汐留駅です。

 

引込線跡_01.JPG

 

引込線跡_02.JPG

<<<< プラットフォーム 

カーブしているのが分かります。 柱番号も残っています >>>>

 

 

貨車が止まるプラットフォームが今もあり市場の外周が扇型をしているのはそのためです。

 

 

 

写真中央に東京タワーが見えますが、手前にビルが建設中で段々と見えなくなってきました。

 

東京タワー_1712.JPG

<<<<<<< これは2017年12月  左が築地大橋 >>>>>>>

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東京タワー_1803.JPG

<<<<<<< 2018年3月 東京タワー半分ほど隠れてきました >>>>>>>

 

 

隅田川テラスからこの風景(東京タワー・築地市場)はあと半年ほどで だいぶ変わってしまうでしょう

 

 

シロツメグサ咲き揃い

[サム] 2018年4月22日 18:00

DSC_0253ELS''.jpg6996RS'G.jpg 3月26日、東京管区気象台より、気象庁生物季節観測情報のひとつ「シロツメグサの開花」を観測(北の丸公園)した旨発表がありましたが、ここにきて漸う浜離宮恩賜庭園の内堀広場のシロツメグサも咲き揃い始めました。

別名クローバー。

「ツメクサ(詰め草)」の名は、江戸時代にオランダから長崎に輸入された箱詰めのガラス製品の緩衝材としてこの植物の干し草が利用されたことに因むとされます、葉は3小葉が基本で、時に4小葉やそれ以上のものもあり、変異体に相当する4小葉は稀少で、それを見つけた者には吉運が訪れると伝わります。花は白色の蝶形で、花柄の上端に多数密集した球状の総状花序。内部をよく見ると白のなかにもピンクがかっています。この時期、芽吹いた青々とした草の上に寝転ぶと心地よく、ほのかな緑の薫りに癒されます。

 

 

「鷹の御茶屋」内部公開

[サム] 2018年4月21日 18:00

P4200789'RR'.jpgP4200815RS'G.jpg 国の特別名勝と特別史跡に指定されている、江戸の大名庭園の面影を今に伝える浜離宮恩賜庭園。関東大震災や戦災で庭園内の多くの建造物や樹木が焼失しましたが、文化財庭園を保全し次世代に継承するため、老朽化した施設の修復に加え、昭和53年の「中島の御茶屋」の再建を手始めに、庭園の景観を構成する上でも重要な存在である御茶屋群の復元に着手し、平成22年には「松の御茶屋」、平成27年には「燕の御茶屋」、そして今般「鷹の御茶屋」の復元工事が完了し、4月20日より内部の一般公開が始まりました。

「鷹の御茶屋」は寛政7(1795)年頃に建設され、将軍が鷹狩りを行なう際、装束のまま休憩や暖をとる為に、腰を掛ける畳敷きの上段が設えられ、鷹を休ませる鷹部屋も建物外部に付属し、他の御茶屋とは異なり、茅葺屋根や、内部の土間叩きが特徴の、農家風の佇まいの建物。主棟南側妻飾りに懸魚(げぎょ / 火除けのまじない)が取り付けられています。

 

 

【築地で夜活】日本橋オペラ「イリス」立ち稽古

[Hanes] 2018年4月20日 18:00


こんにちは!新人特派員のHanes(ハネス)です

先日中央区でできる朝活について取り上げましたが、
中央区勤務の方の中には、「朝はバタバタしているけれど、夜なら時間が取れる!」という方が多いのではないでしょうか?
そして、東京に観光に来られた方の中には、文化施設が閉館した後でも
「中央区ならではの特別な経験をしたい!」、「夜でも楽しみたい!」という方が少なからずいらっしゃるのではないでしょうか?

今回は、【中央区の夜活シリーズ】第一弾と称し、
これから約1ヶ月、築地でできる期間限定の夜活情報をご紹介します。

気になるその夜活とは...日本橋オペラ「イリス」の立ち稽古の見学です
オペラというと敷居が高いイメージがありますが、安心してください!
この稽古はなんと無料で一般公開されているんです

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ドキドキしながら稽古場である中央区立築地社会教育会館2階講習室のドアを開けると...

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日本橋オペラのメンバーの皆さんが振りの確認をしていました。

IMG_7410.JPGのサムネイル画像

見学時にいただいた解説によると、オペラには、
①音楽稽古
②立ち稽古(演出家がそれぞれの配役に動き方を細かく説明・指導する)
③通し稽古
の3段階あるそうです。
普段オペラ、演劇、コンサートに行かれる方でも、このような練習風景を見る機会はなかなかないのではないでしょうか?

今回公開されている立ち稽古では、作品を作り上げていく過程を見ることができます。
動きに込められた想いや意図、服装や小物の色・素材に対するこだわりも、
演出家から役者への指導を通して知ることができます

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立ち稽古をするからこそ見えてくる改善点もあるそうで、
オペラは決して台本通りのものではなく、演じる人や場所によって表現が異なる「生き物」なのだと実感できます。
また、このような場を見ておくことで、本番では「立ち稽古時のあの振りはこう仕上がったのね」とより楽しく鑑賞することができるはずです

そして、本番はもちろんですが、稽古でも素敵なピアノの音色や

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歌声を聞くことができます。

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指揮者の方もおられ、稽古を欠席した役者の代わりに該当パートを歌っていました。

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このような練習を通して作り上げていく日本橋オペラの今年の演目は、
ピエトロ・マスカーニ作曲歌劇「イリス」(イリス(Iris)=あやめ)

長崎を舞台としたプッチーニの「蝶々夫人」ほど知られてはいませんが、
同様に19世紀末のヨーロッパで流行したジャポニズムの影響を受けています。
「蝶々夫人」との大きな違いは、それが日本のメロディーを使ったのに対し、
「イリス」は全てイタリアのメロディーになっていることです。
しかし、登場人物名や歌詞に、オオサカ、キョウト、フジヤマ、シモノセキ、ムスメ、ゲイシャといった日本語が登場するので、
そこも観劇時には押さえておきたいポイントではないでしょうか

この作品の舞台は江戸で、盲目の父と暮らす少女イリスが騙されて吉原に売られていく話となっています。
ローマでの初演からちょうど120年
旧吉原が今の日本橋人形町に位置することもあり、ゆかりの地日本橋にて上演が決定
まさに、この記念すべき年に中央区で鑑賞したいオペラです

立ち稽古の見学は、事前予約不要!
お気軽にふらっと立ち寄っていただけます。
今後の一般公開の日時は、下記日本橋オペラのウェブサイトよりご確認ください。
http://www.music-tel.com/wargner/

直近では4月23日(月)、25日(水)、5月1日(火)の18時~20時に築地社会教育会館にて公開が予定されています。
稽古ではありますが、仕事の疲れを忘れて思わず見入ってしまうものとなっており、
充実感・満足感のある夜活になるはずです
オペラがお好きな方も、オペラ初心者の方も、これを機に日本を舞台としたオペラの魅力に触れてみませんか?

【本番の詳細】
日本橋オペラ2018 歌劇「イリス」(ピエトロ・マスカーニ作曲)
場所:日本橋劇場(中央区立日本橋公会堂4階/日本橋蛎殻町1-31-1)
日時:2018年5月27日(日)14:00(開場 13:30)
チケット情報:e+(イープラス)http://eplus.jp/
       全席自由 一般 4,800円
       中央区民割引 2,400円、子ども(6歳以上)~学生 1,000円
       当日券あり。中央区民と学生の方は、身分証明書をご提示ください。