[ジミニー☆クリケット]
2017年1月10日 16:00
東(ひむがし)の野に炎(かぎろひ)の立つ見えてかへり見すれば月傾(かたぶ)きぬ
これは、万葉集 巻一(四十八)に収められている柿本人麻呂の有名な歌ですが、最近、この歌に関しておもしろい記述を発見したので、ご紹介します
それは、「この歌を詠んだのは誰か?」と聞かれたら、普通「そりゃ、柿本人麻呂でしょ」となるはずなのですが、実はそうとも言えないということなのです
どういうことか
万葉集は、万葉仮名で書かれており、この歌も、「東野炎立所見而反見為者月西渡」と漢字14字で記されているだけで、これを日本語で何と読むのか、万葉集には何の手がかりもありません
これを、「ひむがしの・・・」と読んだのは賀茂真淵であり、それまでは、「アヅマノノケブリノタテルトコロミテカヘリミスレバツキカタブキヌ」と読まれていたそうなのです。最古の記録に平安時代の最末期、元暦元年(1184年)の書写本があるそうです
結局、柿本人麻呂がこういう歌(ひむがしの・・・)を詠んだということにした()のは、人麻呂より千年以上ものちの人、江戸時代中期の賀茂真淵ということなのだそうですへぇ~
この賀茂真淵の読み方については、「大胆」だとか「無謀」だとか言われているそうなのですが、そう言われながらも真淵の読みが定着しているのは、それだけ影響力のある方だったからなのでしょう。
実際、「ひむがしの・・・」の方が力強く、いかにもこれぞ万葉集って感じがしますし
ちなみに、上記の出典は、高島俊男著「漢字雑談」(講談社現代新書)であり、高島先生が引用しているのは、白石良夫著「古語の謎」(中公新書)です。
賀茂真淵は、万葉集を中心とする古典を研究した国学者で、「万葉考」「歌意考」「国意考」「祝詞考」などが主な著書として知られています
その真淵の住まいは、中央区の久松町にあったそうです。現在、清洲橋通りに面して、久松町交差点の近くにあるジョナサン日本橋浜町店の壁面に賀茂真淵県居の跡を示すプレートがあります
そのプレートの説明文によると、本当の住所は、ここから北東約100メートルのあたりだそうです
近くの通りから東京スカイツリーがきれいに見えました
[ジミニー☆クリケット]
2017年1月 8日 18:00
東日本橋2丁目にある薬研堀不動院は、真言宗智山派大本山川崎大師平間寺の東京別院です
こちらは、年末の「納めの歳の市」が有名ですが、年が明けてのお正月も初詣客でにぎわいます
年末から年始にかけて、たくさんの提灯が掲げられていますが、他のお寺と違うのは、講談師(講釈師)の方々の、「一龍齋・・」「宝井・・」「神田・・」「田辺・・」とお馴染みの名前がずらりと並んでいること
境内には、「講談発祥記念之碑」があります
由来の説明文には、元禄の頃、赤松清左衛門が浅草見附辺の町辻で太平記を講じて、江戸講釈の発祥となったこと、これが後に「太平記講釈場」に発展して長く庶民に親しまれ、安政年間に、「太平記場起原之碑」が建てられたこと、この碑はその後, 当不動院境内に移されて大正12年の関東大震災まで名物となっていたことが記されています
また、当不動院と講談協会との因縁によって、真言宗宗祖弘法大師一千百五十年御遠忌を記念して、ここに新たに碑を建てたとのことです
当不動院では、毎月講談の会が開催されますし、「中央区まるごとミュージアム」などでも特別企画の講談会が開催されます
薬研堀不動院のHPはこちら ⇒
http://www.kawasakidaishi.com/about/yagenbori.html
[ジミニー☆クリケット]
2017年1月 7日 09:00
[ジミニー☆クリケット]
2017年1月 6日 09:00
1月2日は、歌舞伎座の1月興行「壽 初春大歌舞伎」の初日ですが、来月の歌舞伎座は、「江戸歌舞伎三百九十年 猿若祭二月大歌舞伎」が予定されています
これは、寛永元年(1624)、猿若勘三郎(初代中村勘三郎)が、中橋南地(現在の京橋1丁目周辺)で猿若座(のちの中村座)の櫓をあげたのが江戸歌舞伎のはじまりとされていることによるものです(中央区ものしり百科42ページ)。
これを記念して、「江戸歌舞伎発祥の地」記念碑が、京橋3丁目の中央通り際に建てられています
記念碑の中央、櫓を模したところににあるのは、中村屋の定紋「角切銀杏」です
来月の猿若祭では、夜の部の最初の狂言「門出二人桃太郎(かどんでふたりももたろう)」で、三代目中村勘太郎と二代目中村長三郎が初舞台を踏みます
二人の父、中村勘九郎丈と叔父にあたる中村七之助丈も、30年前に同じ狂言で初舞台を踏みました
昭和62年1月の「江戸歌舞伎三百六十年 猿若祭初春大歌舞伎」です
お二人の初舞台を歌舞伎座で観た私としては、あれから30年たったのかと感無量です
初舞台を盛り立てる幹部俳優さんの顔ぶれも変わりました
かっこ内は、30年前に演じた役者さんです(なつかしぃ~)。
お爺さんに芝翫(十七世中村勘三郎)、
お婆さんに時蔵(七世中村芝翫)、
息子勘作、鬼の総大将に勘九郎(十八世中村勘三郎)、
その妻お鶴(お栄)に七之助(福助)、
庄屋に梅玉(十三世片岡仁左衛門)、
その妻お京(お歌)に雀右衛門(六世中村歌右衛門)、
吉備津神社神主(巫女)音羽に菊五郎(七世尾上梅幸)、
吉備津神社巫女お春に魁春(--)、
犬彦に染五郎(幸四郎)、
猿彦に松緑(梅玉)、
雉彦に菊之助(澤村藤十郎)
歌舞伎って、本当にすばらしく楽しい伝統芸能だと思います
猿若祭二月大歌舞伎は、2月2日(木)初日で、26日(日)が千穐楽となります。
歌舞伎座のHPはこちら ⇒
http://www.kabuki-za.co.jp/
[ジミニー☆クリケット]
2017年1月 5日 14:00
日本橋三越本店の新館7階ギャラリーで、「没後20年記念 藤沢周平展」が開催されています
今年1月に没後20年を迎える作家・藤沢周平氏の生涯を振り返る回顧展です
開催期間は、1月2日(月・振休)から16日(月)までです。
1月2日の午前中に伺いましたが、既にたくさんの藤沢ファンが来場されていました
会場では、藤沢氏の故郷・鶴岡への思いや創作の背景が紹介され、氏が愛用した万年筆などの遺品や、原稿、創作メモなどが展示されています
創作メモでの登場人物の設定や舞台となる町の地図への書き込みなどに、氏の作品への思い入れや情熱が感じられ、それらが藤沢作品の魅力になっていることを実感しました
氏の発表した小説は数多いのですが、それらが武家もの、市井もの、歴史伝記ものに分けて紹介されており、非常にわかりやすかったです
「蟬しぐれ」の新聞連載時の挿絵や装丁画、殺陣を描いた墨絵、江戸の町模型なども展示されています
また、時代劇専門チャンネルがドラマ化した藤沢氏の時代小説4作品の映像が流されていました。放映時間は、約10分間です
4作品は、仲代達矢主演「果し合い」、檀れい主演「遅いしあわせ」、中村梅雀主演「冬の日」、北大路欣也主演「三屋清左衛門残日録」です
会場では、藤沢作品に登場する舞台が地図上に示されていて、私はほぼ江東区、墨田区だろうと思っていたのですが、「用心棒日月抄」や「よろずや平四郎活人剣」など、日本橋や新川地区が結構舞台となっており(何をボーッと読んでいたのだろう)、うれしい驚きでした
日本橋三越本店のHPはこちら ⇒
http://mitsukoshi.mistore.jp/store/nihombashi/index.html
[ジミニー☆クリケット]
2017年1月 4日 16:00