[之乎者也]
2015年8月22日 09:00
外国人観光客の姿も目立ち、高級ブランドショップが立ち並ぶ銀座。特にプランタン銀座から始まるマロニエ通りや中央通りを歩きながら、カルティエ、シャネルなどの華やかなショーウィンドゥを眺めているとどこかヨーロッパの街を歩いている気分です。
さて、そんな銀座ですので和洋中を問わず世界中の美味が楽しめるレストランも多く、ランチもどこにしようかと思わず悩んでしまいますが、今日は遅めのランチですので、ちょっと気分を変えて知る人ぞ知る銀座の超人気店に突撃したいと思います。場所は以前私のブログ記事『東京高速道路~銀座を囲む現代の長城』(/archive/2015/08/post-2643.html)でもご紹介した東京高速道路の下、『銀座インズ3』の中です。お店の名前は「ジャポネ」。。。
どことなく昭和の香り漂う仕立屋さん、理髪店などの脇を奥へと歩いて行きます。すると突然廊下にむきだしのカウンターが。。。名前からフランス料理をご想像された方には残念でした!こちらは一部の熱狂的なファンには「ロメスパ(路麺スパ)」として知られるB級グルメ、焼きスパゲッティのお店です。今日はランチでもかなり時間が遅めでしたので行列に並ばないで済みましたが、通常ランチタイムであれば診療所とマックの壁に沿って20人くらいの列ができる超人気店です。お店の口上によれば「ジャポネ(日本)は、店名どおり日本人の味覚にあった味付けを自慢としております。なお、お客様本位・サービス第一をモットーに、ボリュームのあるスパゲッティを和風、中華風、洋風12種類&カレーライスとバラエティーに富んだメニューで、お客様のご来店をお待ち申し上げております。」ということで、スパゲティ定番のナポリタンはもちろんのこと、インディアン(カレー味)、ジャポネ(和風醤油味)、ジャリコ(しそ+醤油味)、チャイナ(塩・しょうゆ)、梅のり、明太子、キムチスパなど、和洋中印韓の大胆な品揃え。サイズはレギュラー(並盛)、ジャンボ(大盛)の上に、横綱(超大盛)の3サイズ。値段も銀座という場所を考えてもかなりお得なレギュラー500~600円、横綱でも750~800円程度と激安なこともあり、通常のランチタイムでは常に長蛇の列ができています。
学生の頃は「ジロリアン(*注:ラーメン次郎ファン)」であった私も、さすがに若い頃のような勇気は無くスタンダートのジャポネをオーダーしました。15分くらい待ったところで漸く定番「ジャポネ・レギュラー」が出てきました。スパゲティといっても、おしゃれなイタリア風パスタとは全く異なり、太麺にたまねぎ、小松菜、豚肉が寄り添い、醤油味の味付けがされた焼きそばに近いイメージ。ボリュームもたっぷりでしたがお店の口上通り「日本人の味覚にあった味付け」で美味しく頂けました。さすがに大盛や横綱は今後も無理でしょうが、次回は人気メニューのジャリコを試してみたいなと思いながら午後の仕事に戻りました。
【ジャポネ】
〒104-0061 中央区銀座西1丁目2番地先 銀座インズ3 1階
(有楽町線銀座1丁目駅 1番出口すぐ)
TEL: 03-3567-4749
営業時間:1030~2000(土曜は1600まで、日祭休)
[之乎者也]
2015年8月19日 14:00
週末の夕方、浜町での用事が終わった後、隅田川テラスをぶらぶら永代橋の方向へ歩いて行きます。すっかり日も暮れて、永代橋の水色のライトアップが水面に鮮やかです。昼間の暑さも幾分収まり、川面を渡る風とともに行き交う屋形船の照明も爽やかです。
永代橋の手前には日本橋川があるので、隅田川テラスも一旦途切れて階段を上に上がります。すると何やら豊海橋のあたりに人だかりが。。。
「お静かにお願いしま~す!」。橋の手前にはモニターテレビとそれを見つめるスタッフ。そして橋の上からは思いつめたような女性の語り口が聞こえてきます。
そうです、ドラマの撮影現場でした。今回に限らず中央区ではドラマのロケ現場に行き当たることがしばしばあります。もともと中央区が舞台のドラマ、例えば東野圭吾の推理小説を原作とする「新参者」(人形町)や以前ブログ記事でご紹介した「瞳」(月島・佃:
/archive/2014/12/wonhk.html)のように中央区が舞台のドラマのロケはもちろん中央区で行われますが、舞台が明示的に中央区で無いものも含め中央区でロケが行われるケースはかなりあるようです。ドラマはもともと東京が舞台のものも多いので、東京でドラマの撮影があるのは当たり前ではありますが、歴史と水辺に恵まれ、流石は絵になる風景が多い我が中央区、恋愛モノからシリアスな作品に至るまで多くのドラマのロケが区内で行われています。
2011年にフジテレビの「月9」枠で放送された「全開ガール」。当時、中央大槁で行われていたロケ(第9話:竹内力・新垣結衣の登場シーン)現場に偶然遭遇しました。新垣結衣演ずる国際弁護士を目指す鮎川若葉が、法律事務所でバリバリと新米弁護士の仕事をこなすとともに事務所所長の娘、日向(ひなた)の世話もすることになり、日向が通う三つ葉の森保育園を通じて、下町の人々と様々な関わりを持っていくというお話。このドラマは先ほどの分類では「舞台が明示的に中央区ではない」ドラマですが、汐留のビル群をバックにした浜離宮、中央大橋、豊海橋、永代橋、月島西仲通り、佃小橋、山形銀行東京支店(京橋)、TCAT(箱崎)、銀座。。。とドラマ通の友人によれば中央区での登場シーンは延べ44回(全11話)だそうで、ほぼ毎回中央区のどこかが登場します。【『全開ガール』DVD ポニーキャニオンから発売】
ロケの予定は公表されるものでは無いので、ロケ現場を見学することは難しいかもしれませんが、ドラマや映画に登場する中央区を楽しむことは気軽にできそうです。夏バテでちょっと外出を控えたい日には、DVDで中央区散歩を楽しむのも一案です。
[之乎者也]
2015年8月18日 09:00
8月は全国的にお祭りが多い季節ですが、中央区でも住吉大社例大祭、東京湾大華火祭、そして富岡八幡二の宮神輿渡御とイベントが目白押しです。そちらについては特派員仲間からのブログ記事をご覧戴くとして、先週日曜の8月9日はシンガポールのナショナルデーでした。今年はマレー連邦からの独立50年という記念すべき年で、かなり盛大なお祭りだったようです。中央区でも真夏の気候が続く昨今、常夏のシンガポール気分を楽しもうと、今日は八丁堀にあるシンガポール料理店を訪ねてみました。
お店の名前は"Kopi Tiam(コピティアム)"、シンガポールでも良く聞く名前です。マレー語のKopi(コーヒー)にTiam(店;福建語))がくっついた「珈琲店」くらいの意味で、コーヒーなどの飲み物に加えて、軽食も出してくれる喫茶店や軽食屋さんのイメージです。
すずらん通り沿いのお店の自動ドアを開けて入ると、蛍光灯の下20人くらい座れそうな空間が。。。既に東南アジアムードたっぷりです。壁には昔のシンガポールの白黒写真も貼ってあり、更に雰囲気が高まります。
飾りっ気のない白いテーブルに着いて、先ずは定番の「タイガービール」を頂きます。シンガポールのホーカーセンター(屋外フードコート)風に、ジョッキにオンザロックで飲みたいところですが、今日はお行儀良くグラスにストレートで頂きます。
お店のお勧めは、代表的なシンガポール料理の「海南鶏飯(チキンライス)」、「ナシゴレン(インドネシア風炒めご飯)」、「肉骨茶(バクテ)」、「南インド風カレー」とシンガポールのホーカーセンターと遜色のない品揃え。それもそのはず、ご主人のAさん夫妻は30年前にシンガポールにも住んでいたということで、現地の味も知り尽くしているようです。日本に戻ってからも東京で本格的なシンガポール料理が楽しめる場所をということでお店を開かれ、在京シンガポール人も通うという味も折り紙つきのお店。
今晩は「肉骨茶」を頂くことにしました。シンガポール料理に馴染みのない方は、肉骨茶と聞いて???かと思いますのでここでミニ解説を。。。
「茶」という字が入っていますが、ご覧の通りお茶では無く、骨付きの豚肉が入った薬膳スープです。英領の植民地時代に苦力(クーリー;中国からの移民労働者)の故郷、福建省の料理を起源とするようです。気候も厳しいマレー半島の港湾労働者の食事として発達した料理だけあって、たっぷりのお肉に、ニンニク、シナモン、胡椒、パクチー他のスパイスが入って栄養たっぷり、元気が沸いて来ます。この暑さもなんとか乗り切れそう。次回は是非とも、帰り際に勧められた「南インド風カレー」に挑戦したいと思います。ご主人曰く相当辛いらしいですが、今から楽しみです。
【Singapore Kopi TIam】
〒104-0032 東京都 中央区 八丁堀2-18-5
TEL:03-6280-3442
営業時間:1800~2200(ランチ営業もあり、土日祝は休)
[之乎者也]
2015年8月16日 14:00
東京高速道路という道路をご存知でしょうか?新京橋から蓬莱橋(新橋)まで銀座をぐるっと囲む形で走る高速道路です。あたかも銀座の街を守る城壁のようにも見えるこの道路、銀座を歩いたことのある方であれば必ずや目にしたことがあるのではないでしょうか?私のブログ記事でも何回か登場(『銀座の酒屋さんで「ちょい飲み」~銀座君嶋屋殻』他記事:
/archive/2015/08/post-2627.html)しているので、今回はこの高速道路について取り上げたいと思います。
高速道路といえば東名高速道路など国の道路、東京では首都高速が思い浮かびますが、銀座を取り巻くように走る全長2kmのこの道路は民間企業が中心となって1951年に設立(道路開業は1959年)された高速道路です。
首都高速八重洲線(Y)、都心環状線(C1)と連絡して首都高速都心環状線のバイパスの役目も果たす道路なので、ドライバーの方であれば気がつかないうちに1度は通ったことがあるのではと思います。
【東京高速道路地図(出所:東京高速道路㈱HP)】
さらにはこの道路、高速道路ではあるのですが通行料が無料という点もユニークです。
首都高速からの乗り入れの場合は勿論ですが、例えば新橋駅前の土橋入口(銀座8丁目)から入って新京橋(銀座1丁目)で降りればお金を払う必要なし、もともと銀座の渋滞を解消するために作られたことや外堀、京橋川、汐留川を埋め立てて作ったこともあり無料としたようです。一方、無料で建設費や高速道路の維持管理はどうするのかという疑問がわきますが、その秘密は、高速道路の下のスペースの活用。
【東京高速道路概念図(出所:東京高速道路㈱HP)】
3階部分が高速道路として使われる一方、下のスペースは、約400の店舗が入居する商業スペースになっています。銀座インズ、西銀座デパート、銀座ファイブ、コリドー街、銀座ナイン等みなさんのおなじみの飲食店街のほか、タクシー会社、駐車場などのスペースとして活用されており、これら銀座の一等地の10万㎡のスペースから得られる賃貸収入で高速道路の運営費用を賄うという、以前ブログ記事「江戸バスの屋根付きバス停」でご紹介したPPP(官民連携パートナーシップ: /archive/2015/08/post-2618.html)を先取りしたような画期的な仕組みが使われています。
さて、東京高速道路の下のお店ですが、冒頭紹介した立ち飲み屋さんの銀座君嶋屋さんを始めとして魅力的な店が揃っています。次回以降『特派員の商店街訪問』で逐次紹介したいと思います。乞うご期待!
[之乎者也]
2015年8月13日 09:00
夏休みに海外旅行に行く人も多いと思います。今年はミラノで5年ぶりの万国博覧会が開かれていますね。博覧会のテーマは「地球に食料を、生命にエネルギーを(Nutrire il pianeta, energia per la vita)」。。。ずばり「食」です。各国のパビリオンでは自国の食材や料理を紹介したり、日本館も今回の万博では農林水産省とJAが中心になって、ユネスコ無形文化遺産の「Washoku」を世界にアピールしています。
【ミラノ万博博覧会「日本館」外観、ならびに「EXPO Milano 2015」ロゴ】
「食」がテーマかつ場所もイタリアですので、美味しいパスタやプロシュート(生ハム)、それと一緒に頂くトスカーナのワインなど食べ、飲むことも存分に楽しめる万博です。ということで、やや強引ながら今回はイタリアで開催中のミラノ万博にちなんで中央区のイタリア料理を探訪してみたいと思います。
さて、実は中央区は知る人ぞ知るイタリア料理の激戦区。家の近所をちょっと歩いてみただけで緑・白・赤のトリコローレの国旗を掲げている店が3軒もあります(Yahoo ロコサーチによれば中央区全体でイタリア料理店が何と771店あるそうです)。
ともあれ、近くのイタリア食堂 " Bettola il Bacca(ベットラ・イル・バッカ)"、「ベリー(berry)食堂」に入ってみました。特定の地方の料理にこだわらないイタリアの郷土料理を出すようにしているとマスターの君島さん。テーブル席とカウンターがバランス良く。お一人さまやちょっと食事前に飲みたいなという時にも入りやすそうな雰囲気です。
飲み物はもちろん、料理に合うイタリアワインが用意されているほか、ビールの種類も豊富です。国産、ベルギー、イギリスのものが中心ですが、個人的に大好きなチェコビールの「ピルスナー・ウルケル」を見つけたときには思わずガッツポーズでした。ビールと一緒にすてきなつまみも次々に出てきました、盛り付けもきれいで美味しかったのが「ホワイトアスパラガスのミラノ風トリュフオイル風味」です。
そして最後の〆に君島さんのお勧めとして出てきたのが「生雲丹(うに)のトマトクリームソース スパゲッティー」。お腹もいっぱいになったところで、今夜も気持ち良く酔っ払い、幸せな気持ちで家路についたのでした。【Bettola il Bacca(ベットラ・イル・バッカ)】
〒104-0033 中央区新川2-18-9 中城ビル1F
(京葉線・日比谷線八丁堀から徒歩5分程度。都バス東15・16 新川二丁目バス停至近)
TEL:03-3553-8819
営業時間:1700~2400(平日・土曜はランチもあり)
[之乎者也]
2015年8月12日 14:00
前回、「平成の蔵屋敷 in中央区~その1~」として中央区のアンテナショップを紹介しました(/archive/2015/08/-in-3.html)。
蔵屋敷とは信長・秀吉による天下統一後、全国で米や物産の取引が盛んに行われるようになったことから、有力大名が取引のために米取引の中心地の堂島(大坂)や幕府所在地の江戸に藩邸の一部として事務所兼倉庫(=蔵屋敷)を建てたことから始まりました。
今回は平成の蔵屋敷~その2~として地域を代表する金融機関である地方銀行(「地銀」)を取り上げます。地銀の東京支店は、地方の企業の東京進出を支え、また東京の中心である中央区に多く見られるまさに現代版蔵屋敷と言えるでしょう。
【秋田銀行(京橋・鍛治端通り)】
さて、日本全国の地銀(全国地方銀行協会加盟の第1地銀)の数は64行に上りますが、正確な数は判らないながらもおそらくそのうちの9割近くが、日本橋、京橋・八重洲を中心とする中央区に東京支店を構えているようです。これはもちろん日本橋本石町にある日本銀行と深い関係があります。【日本銀行(本石町)】
大名が家族の江戸での住居目的とともに幕府との連絡窓口として藩邸を構えたのと同じように、地銀も在京取引先へのサービスに加え日銀の監督(考査)を受けるため、その窓口を日銀のお膝もとである中央区に置いたということのようです。
【常陽銀行のショウウインドウ(八重洲・鍜治橋交差点】
そんなお堅い地銀の東京支店ですので、ショーウィンドウも地域の特産・名所紹介など比較的地味なものも多いのですが、そんなイメージを覆すのが八重洲通りと平成通りの交わる八丁堀二丁目交差点にある某地銀の東京支店。
「OKB3誕生」。。。綺麗なお姉さん3人組の派手なポスターが張ってありちょっとびっくり!お堅いイメージの地銀というよりも銀座のクラブのような打ち出しです。
AKBならぬOKBとは、大垣(Ogaki)共立(Kyoritsu)銀行(Bank)の頭文字で、自行の女子行員からメンバーを募って結成した秋元康プロデュースならぬ銀行公認のアイドルユニット---OKB3とのこと。更にはOKB3にOKB45(45名)が加わり、合わせてOKB48となるようです。これはれっきとした銀行のPRだそうでOKB45も岐阜県各地の商店街などのイベントにも引っ張りだこ。業界で大垣共立銀行は攻める銀行として有名だそうですが、岐阜在住の友人によれば、大垣にはOK牧場ならぬ「OKB牧場」という雑貨喫茶店(ネーミングは軟らかいですが、大垣共立銀行の設置した障がい者自立支援施設)まであるそうで、かなり斬新なカルチャーを持つ地銀なようです。そんな努力の甲斐もあってか、この銀行は顧客満足度の高さ競う日経金融機関ランキング調査(2015年1月)ではメガバンクや外銀を押しのけて堂々4位に入賞したそうです。
【東邦銀行(京橋・中央通り】
地銀の集積する中央区ならではの楽しみ。銀行ですのでアンテナショップのように気軽に店舗の中までは入ることはできませんが、街なかで色鮮やかな看板を見つけたら、ちょっとショウウィンドウを覘いてみたらいかがでしょうか。新しい発見があるかもしれません。