[佃のうさこ]
2019年2月22日 14:00
石川島公園での野鳥観察も4年目に入った今年の冬は、例年との違いを感じます。シベリアや中国北部から渡って来る冬鳥の数が少ないことです。水鳥のオナガガモは、例年25,6羽~17,8羽がやって来ますが、今年は7,8羽です。ヒドリガモは、例年14,5羽の集団が3組来ますが、今年は12羽のみです。また、小鳥のジョウビタキやツグミがなかなか現れません。
何故でしょうか?
越冬する場所が、今年は工事中が多いことと、築地市場の移転で近隣にねずみが多いことで、それをエサにする猛禽類が上空に多く、小鳥や水鳥が移動しているそうです。
そんな環境の中でも、この冬に出会えた鳥たちをご紹介します。
オナガガモと一緒にいるヒドリガモ(頭が黄色い)
オナガガモとヒドリガモです。どちらも例年14,5羽のグループで行動しています。特にヒドリガモは人への警戒心が強いので、人出の少ない雨の日にだけしか公園にやって来ませんでした。ところが今年は数が少ないせいでしょうか、オナガガモと一緒に混じることもあり、こんな晴れた日にも人の近くまで4羽来ています。これは、珍事!!です。
オナガガモ
ヒドリガモ
ヒドリガモをこんなに間近に撮影出来るなんて感激です。
次にご紹介するのは、カンムリカイツブリです。例年1羽だけがやって来ます。長逗留ではないので、出会えたらラッキーです。絶滅危惧種ですし、近郊の葛西臨海公園・野鳥園の環境でも数羽目にするだけです。
1月24日に出会ったカンムリカイツブリ
エサを捕るために潜ると神出鬼没。こっちに来て!来て!と念じていると至近距離に浮上!!!頭に注目してください。少し冠が出て来ています。夏毛になるともっと増えますが、その姿は残念ながら日本では見えません。
次は、浮島のお立ち台で朝日に輝くマガモです。
マガモ
例年マガモは、ここ石川島公園では1ペアのみの観察ですが、浜離宮恩賜庭園ではたくさん見られます。野鳥のカモで一番匂いのクセもなく美味しく食べられるのはマガモだそうです。カモの種類の多いお狩り場では、一番に狙われたんでしょうね。
さて、一年中見ることの出来る鳥たちも、可愛い姿が観察出来ました。
ハクセキレイ
スズメ3兄弟?
寒い冬ならではの「もふもふ」姿ですね。
石川島公園の冬鳥たち。今年は少々やきもきする状況ですが、皆さまも野鳥を探しながら、どうぞお散歩をお楽しみください。
[佃のうさこ]
2019年1月26日 18:00
先日、幸運なことに縁あって、普段は非公開の銀座稲荷神社に参拝することが出来ました。神社の様子を皆さまにもご覧いただければと思います。
銀座稲荷神社は、「中央区ものしり百科」にもあるように、江戸時代より銀座のお稲荷さんとして火防、盗難除け、商売繁盛に信仰を集めてきました。現在は、土地開発が進んだために、銀座2丁目の銀座越後屋ビルの屋上に祀られています。10月下旬から11月上旬に開催されるAUTUMN GINZAの銀座八丁神社巡りスタンプラリーでも、屋上への参拝は出来ません。
屋上にただお稲荷さんだけが、静かに鎮座されていました。
石造りの様子に時の経過がうかがわれます。
左の狐は、子ぎつねと、右の狐は宝珠と。
江戸時代このお稲荷さんがあった通りは「観世新道」と言われ、能の観世流のお屋敷がありました。江戸末期の地図を見ると、イナリと赤く特別に表記されています。普段の生活の中で、道行く通りすがりに手をあわせていたのでしょう。江戸の人々の心持ちを、小さな愛らしいお狐さんに重ね想像する貴重な体験となりました。
[佃のうさこ]
2018年12月 4日 18:00
12月に入ると気忙しくなって来る今日この頃ですが、毎年「あっ!そうそう」と足を止めるところがあります。それは、松屋銀座さんの中央通りから入って1階正面口と京橋口と2カ所にある総合案内所です。カウンターに今年も可愛いピンバッジが売られていました。
今年のピンバッジのデザインは、スウェーデンを代表するデザイナーユニット、北欧デザインが世界で人気のご夫妻「BENGT&LOTTA」(ベングト&ロッタ)のものです。
これからクリスマスシーズン!お出掛けのコートの襟元に胸元に、こんな愛らしいバッジがあると気分もよりワクワクしてきて映えますね。
このピンバッジには、素敵なプロジェクトが関わっています。収益金の全てが「子どもの教育が世界を変える」を信念のもと、アジア・アフリカの識字教育と女子教育に焦点をあてた活動を続ける「Room to Read」に寄付されます。
左 2016年のピンバッジ 右 2017年のピンバッジ
カウンターにもう一つ、銀座ミツバチの蜜蝋キャンドルがありました。こちらも松屋さんが、「Room to Read」に全額寄付するために、銀座ミツバチプロジェクトさんと、蜜ロウソク第一人者の安藤竜二さんと協力して、銀座ミツバチの巣から採れた希少な蜜蝋から作ったキャンドルです。
銀座ミツバチプロジェクトは、もう皆さんには浸透していることですが、ミツバチが松屋通りの紙パルプ会館の屋上で都市と自然との共生を目的に生育されており、2006年の活動開始から今では銀座周辺には採蜜のために緑化も広がっています。
そう言えば!銀座のお隣り築地は、明治時代の始め外国に対して開市され「築地居留地」となりました。そこには多くのミッション系スクールが開校し、現在の女子学院や雙葉学園の発祥の地となっています。日本の女子教育がスタートした地、築地に隣接する銀座のデパートと銀座地域の皆さんの協力が、世界でまだまだ読み書きの出来ない子ども達を救っている、、、とても素敵なチャリティー活動ですね。そしてピンバッジファンのうさことしては、今年のコレクションがまた増えて嬉しいです。
ピンバッジもキャンドルも数に限りがございますので、早めにお出掛けください。
Room to Readの詳しい情報はこちら
銀座ミツバチプロジェクトの詳しい情報はこちら
[佃のうさこ]
2018年11月21日 09:00
11月4日中央区まるごとミュージアム2018が開催され、普段では一般訪問できない会社との共同イベントも数多くありました。その一つ、入船2丁目にあるミズノプリンティングミュージアムでの、手引き活版印刷機の印刷体験に参加して来ました。
コロンビアンプレス機 1850年製造 イギリス
フロアに並べられた、初めて目にする印刷機の黒光りする重厚さと、その大きさに驚くばかりです。鉄製の印刷機が世界で初めて作られたのは、1800年頃のイギリスです。
アルビオンプレス機 1860年製造 イギリス
体験したのは、1860年にイギリスで製造されたアルビオンプレス機です。当初の機械よりは、コンパクトにシンプルになったとのことですが、ハンドルは重くいかに印刷業が重労働であったかがわかります。
この印刷機では、今現在でもデパートのバック売り場や寝具売り場でモリス柄として人気があるウィリアム・モリスが、世界で最も美しい本の一つといわれる「チョーサー著作集」を印刷しました。
モリスの描いた細やかな縁飾りや、挿絵の美しさに息を吞むほどの感動です。モリスは本の完成後、真似られるのを避けるために使用した活字、装飾等すべて廃棄してしまったそうです。
これらコロンビアンプレス機やアルビオンプレス機が明治期に輸入されるようになると、日本での活版印刷の先駆けとなった築地活版製造所の平野冨二は、それを模して国産の印刷機を製造するようになりました。
中央区にゆかりある人の書籍では、福沢諭吉の「学問のすすめ」がありました。
明治5年に初編が出版されると大評判となり、明治9年にかけて全17編が出版されました。明治を通じて350万部の大ベストセラーになった本書ですが、こちらの収蔵品の初編は、現在10部が確認されているものの一冊です。
さらに、明治4年11月から明治6年までの約2年間派遣された岩倉使節団の周遊記がありました。(この間の留守政府を任されたのが、現在日本橋人形町1丁目に居住していた西郷隆盛です。)
「特命全権大使米欧回覧実記」は、平野冨二の師、長崎の本木昌造が鋳造した活字(その後の明朝書体を決定づける)で印刷されています。さらに、明治初期の銀座煉瓦街に印刷関連の会社が集まった史実の証拠に、この本は、銀座4丁目博聞社の刊行物です。
本日のご紹介は、「印刷の存する処文化存する」の一念で収集されたミズノプリンティングミュージアムのごくごく一部ですが、貴重な収蔵品に出会える機会になった中央区まるごとミュージアムでした。
普段、こちらの見学には予約が必要です。希望の方は、事前に電話03-3551-7595へご連絡ください。ご案内者が一名なので、よろしくお願いします、、、とのことでした。
[佃のうさこ]
2018年10月28日 14:00
東京都の鳥に指定されているユリカモメが、本年も飛来しました。ここ3年間のうさこの野鳥観察によると、毎年10月20日前後にここ中央区にやって来るようです。
見つけた時には8羽ほど休んでいましたが、写真撮影タイムには飛んで行ってしまい、2羽しか残っていませんでした。
東京都の鳥「ユリカモメ」(品川区の鳥)
ユリカモメが東京都の鳥に指定された経緯を調べてみると、指定されたのは昭和40年で、キジバト、ムクドリ、メジロなどから都民のハガキ投票で1位となったユリカモメが指定されたとありました。ちなみに、2位がメジロ、3位がヒバリです。
では、区の鳥は何が指定されているのでしょうか?
23区で、区の鳥が指定されているのは、品川区のユリカモメ、世田谷区のオナガ、千代田区のハクチョウ、目黒区のシジュウカラの、4つの区だけでした。
世田谷区の鳥「オナガ」
写真は、先月、佃で撮ったオナガです。羽がモフモフしているのは、巣立ちしたばかりの成鳥前の子だからです。カラスの仲間ですが、黒い頭と長い尾の水色が綺麗な鳥で、中央区でも明石町の木立や佃公園などで見られます。声がギーギーと特徴あるので、「変な声だなあ」と思ったら探して見てください。
千代田区の鳥「ハクチョウ」
写真は、皇居のお堀にいるコブハクチョウです。このハクチョウばかりは、中央区では見られません。
目黒区の鳥「シジュウカラ」
シジュウカラは、ツツピーツツピーと透き通るいい声で鳴きます。この写真は、中央区区役所の近くで、鳴き声で見つけ撮りました。こんなところにいる!と嬉しくなりました。街中でも比較的現れてくれる鳥です。
中央区の鳥が指定されていないのは残念ですが、それぞれの区の鳥は、中央区でも容易に見ることが出来ます。これからユリカモメもどんどん飛来して、隅田川テラスの柵いっぱいになる日ももうすぐです。
[佃のうさこ]
2018年9月19日 09:00
銀座6丁目に今年オープンしたばかりのハイアットセントリック銀座東京に伺いました。この場所はかつて明治21年から昭和2年までは朝日新聞社があり、明治40年からは主筆として夏目漱石が在籍し、明治42年からは校正員として石川啄木が務めていました。啄木の歌碑があるのは、みなさん良くご存知の通りです。
1階エントランスで迎えてくれるのは、50年前まで実際に印刷で使われていた活字を用いて作られた銀座の地図です。赤いところが、こちらの場所です。江戸時代の町割りを今にも継ぐ銀座の碁盤目状の様子が、立体感を持って感じられます。
3階、4階の吹き抜けの壁は、活字が現代アートになっています。
明治5年、政府の威信をかけて建築された煉瓦街ですが、一般店舗にはなかなか受け入れられず、交通の便と情報収集の良さに目をつけた新聞社が集まりました。一時期銀座は新聞社、印刷所などの関連会社が200社ほども集まる街となりました。
その時代の印刷は、金属に文字を彫り込み、活字を並べて文章にし印刷するもので、その手間と作業にどれだけの労力と時間を要したか、当時の凸版印刷をアートに仕上げた壁を見ながら想像してみます。
いたるところに文字アート作品があり、探す楽しみに遊び心がくすぐられ、このホテルが目指す「訪れた人々が、銀座の魅力を知り、感じ、そして体験する拠点となること」に引き込まれていくようです。
3階のダイニング&バーでは、新聞印刷スタート時の試し刷りで出る紙、廃棄する紙を壁紙にしています。
また、銀座ではなかなか珍しい外の風に吹かれながら、車や人通りと遮断されたひと時を過ごすことも出来ます。並木通りの対面のビルとの空間は、まさに江戸時代からの横丁7間の町割り空間。のんびりと今から過去へ、過去から今へ、そして未来へ。時の空想旅行にも耽れる銀座では貴重な打って付けの場所です。是非みなさんも、銀ブラの途中に、もちろん宿泊にご利用されてはいかがでしょうか。