観光協会特派員になりますと、普段の生活ではお目にかかれない、様々なドキドキを体験することができます。
「中央区内のエリアをガイドすること」
これも、ガイド・案内の業務に職業として携わらない限り、一般の方が行うことはごくまれなことです。
初めてお会いする方々に、歩きながら、地域の魅力を伝えていく。
小型携帯マイクを通して話すその活動が、私にとっては非日常であり、胸がギュッと締め付けられたり、はらはらドキドキしたり、頭の中が真っ白になったり、口が渇いて言葉にならなかったり、妙な高揚感に包まれたり、感謝の言葉に笑顔が湧きあがったり、ふんわりとした暖かな気持ちにしてくれたりします。
プロのガイドの方々には案内のマニュアルがあり、臨機応変な対応ができる場数を踏んで臨んでいます。
私たち特派員も、観光協会主催のガイド研修を受講し引率の旗を握るのですが、非日常の事柄である案内活動は、思わぬ落とし穴にはまったり、壁に激突したりを繰り返してしまいます。
先週の土曜日に、築地場外市場の専門店を巡り、聖路加ガーデンまでのご案内を行いました。
お話はかなり前から伺っていましたので、じっくり準備を整える時間がありました。
このエリアで中央区の魅力が伝わる場所はどこか。
指定された時間内に目的地に達するには、どのようにルートを取ればよいか。
安全で効率的な、歩道の歩き方や横断の仕方。
日陰を作る場所や、雨に濡れにくい場所、空調が効いた建物などの天候を考慮した位置の確認。
生活者目線ならではのトリビアは。
参加者が食いついてくれそうな話題は何か。
ホームページからの情報収集と合わせて、各施設のパンフレット等を集めました。
築地は今いろいろと話題の中心になっているエリアだけに、テレビや雑誌などに特集が組まれ、ドラマの舞台に取り上げられたりしています。
そうしたものも一通り目を通します。
そして最も大事なことは、実際にその場所に身を置いてみることです。
想定したルートを、時間を計りながら歩いてみる。
どんな店構え、どんな店員さん、売れ筋は、お客様の行列の状況は。
足を運んでこそ見えてくる景色、匂い、重なりぶつかり合う音、肌の触れ合う感覚がつかめてきます。
生の感覚が分かれば、伝える情報も絞ることができるのです。
言葉に変換してみると、風景はまた別の輝きを放ち始めます。
ストックブックは資料でパンパンに膨れ上がりました。
しかし、お伝えできたことは、本当にわずかでした。
でも、あれもこれもと詰め込もうとせず、持っている情報をどんどん削っていく思い切りも必要。
移動しながらですと、目の前に見える物事に絞り込むことが、分かりやすいガイドにつながります。
参加者の様子をよーく観察して(直観も含めて)、言葉を交わしながら、最も適したストーリーを提供していく。
年齢、住まわれている場所、ご案内地域への訪問回数、その構成割合にあったものを探ります。
それがスマートにできたならば、プロですよね。
アクシデントに見まわれながらも、時間までに目的地へ到着。
なんか面白かった。また訪ねて来たいな。
そんな出会いのお手伝いができたのならば、嬉しいです。
私自身、楽しい時間を過ごしました。
ありがとうございました。