[下町トム]
2014年6月24日 09:00
ぼくは蕎麦をこよなく愛しており、東京はもちろん、各地を旅する時も蕎麦の名産地では必ず名店を訪ねることにしています。
中央区はその中でもおいしい蕎麦屋さん、個性的なお店がたくさんあります。今回はぼくの地元の行きつけのお店を改めてご紹介します。
築地場外市場の一角にあり、市場関係者はもちろん、地元住民、観光客にも評判のお店『長生庵』さん。蕎麦はもとより、親しい人との酒席としても重宝する店です。"せいろ"もいいですが、"カレー南蛮"がぼくは大好きです。蕎麦仲間での会合でも利用させていただいています。
〔築地共栄ビル〕地下にあるのが『築地藪そば』さん。『上野藪』の流れを汲む正統派。時々"蕎麦と酒を楽しむ会"が開かれたりする、親しみのあるお店です。確かに酒の肴は一つひとつ充実しており、築地らしい空間を醸し出しています。
『布恒更科』さんは平成通りに面した上品な構えのお店です。店内も落ち着いた雰囲気が漂い、平日の昼下がりなど、いかにも蕎麦好きな女性が一人で蕎麦をすするシーンに出会うこともあります。温かい蕎麦もつゆがしっかり麺に絡まってとても印象的です。
『更生庵』さんは築地本願寺の並びで、大通りからよく目立つ場所にあります。地元の顔役でもあるご主人の明るくて快活な声がいつも店内に響いています。決して主張しすぎない深みのある拵えは懐かしくて安心の味です。
新富町寄りの位置にある『さらしなの里』は蕎麦好きが足繁く通う有名店です。代々培われた蕎麦への熱意は当代にもしっかり受け継がれています。たまに落語会が開かれることもあります。冬場の鴨鍋や季節ごとの変わり蕎麦も楽しみなメニューです。
先日、『さらしなの里』で蕎麦仲間と食事しているときに、英国から旅行されているという夫婦客と隣り合わせになりました。築地に来て鮨ではなく蕎麦を選んだというところは、なかなかの"日本通"だと思いました。蕎麦や日本酒のことを話題にしばらくの間歓談しました。
蕎麦屋での国際交流もまたとても印象的な思い出です。国際観光時代となり、蕎麦ももっと外国の方に評価されていくと期待しています。
[下町トム]
2014年5月30日 14:00
中央区は"食の都"です。和洋中にとどまらず、さまざまな味覚を楽しむことができます。
したがって、たまにランチに出かけても目移りして困ってしまいます。
なかでも銀座はグルメの宝庫です。
自宅から近いこともあってよく食事に出かけます。
また、仕事の合間に通りかかった時も、いろいろなひいきの店を訪ねるのが楽しみです。
今回は洋食店のご紹介です。
いつもよく利用するのは〔煉瓦亭〕〔スイス〕〔早川〕など。
もちろんそれ以外にもたくさんの名店があります。
〔煉瓦亭〕はプライドと伝統をしっかりと守って、店の品格を大事にしています。何となく少し気取った気分にさせてくれるのも銀座ならではのモダンさでしょうか。
〔スイス〕はぼくの地元・築地にも店があるのでなおさら親近感を感じます。名物の"カツカレー"だけではなく、飽きの来ないスタンダードな味にひかれます。
今回は、銀座六丁目にある〔あづま〕を訪ねました。この店はとにかく銀座という立地とも思えない庶民的な心安さがあり、気兼ねなく食事を楽しめるのが魅力的です。味は昔懐かしい洋食そのものという感じです。
ボリュームも満点で、しっかりおなか一杯になります。
ランチがこの量と質で880円というのも良心的です。いつも常連客でにぎわっています。
ぼくがよく注文するのは、ここの名物"あづスパ"です。型抜きしたご飯が懐かしいカレーライスの脇にクリームコロッケとナポリタンスパゲティ。子供のころあこがれた味がまとまってプレートに登場するのでわくわくしてしまいます。
旨いものを食べるときは本当に幸せな気分になりますね。
銀座散策の折にはしっかりとグルメも楽しみましょう。
[下町トム]
2014年4月21日 16:00
浜離宮恩賜庭園は東京でも指折りの見どころある公園ですが、今の時期は「浜離宮花と緑の集い」(5月6日まで)が開催され、中央区の在住者は入園整理券を持参すると無料で入園できるのでとても良い機会です。
ちょうど、4月19日(土)~20日(日)は「お江戸文化村in浜離宮恩賜庭園」というイベントが催されました。中央区商店街連合会が主催し、中央区観光協会も後援しました。江戸時代の情緒に触れながら食や遊び、工芸品にも触れてうららかな休日を楽しむという企画です。
イベント会場ではアトラクションが催されたり名店の出展ブースが並んだり、多くのお客様が訪れていました。中央区観光協会のブースも設けられ、「投扇興」を体験するコーナーでは楽しそうな声も響いていました。
園内では、サトザクラがそろそろ見納めの時季になりましたが、藤が咲き始めたほか、木々の緑がいっそう濃くなって一気に初夏の香りが充満しつつあるようです。ちょうど今頃は晩春から初夏への移り変わりにあたり、暖かな日差しに包まれる反面、時々海から肌寒い潮風が流れてきたりして、この季節ならではの感覚を得ることができます。
もう少しするとアジサイや花菖蒲も楽しめるようになるでしょう。爽やかなこの季節の彩りを楽しむのには好適な場所です。
お薦めの散歩コースは、浜離宮の行き帰りに銀座や築地方面へ足を延ばすことです。自然の草花に親しんだ後に、すぐ近くで都会らしい雰囲気をまといながらショッピングや食事を楽しむことができるのもまた中央区の持つ魅力の一つです。
いい季節になりました! どうぞ皆さんもお出かけになってみてください。
[下町トム]
2014年4月 3日 11:00
ぼくは無類の麺好きですが、なかでも特に"蕎麦"が大好きです。昨年、NPO江戸ソバリエ協会認定の"江戸ソバリエ"の資格を得ることができましたので、一層蕎麦の魅力に惹き込まれている昨今です。
中央区には人気の蕎麦屋さんがたくさんありますし、蕎麦にかかわる歴史や文化もところどころに残っているはずです。これから時々区内のそんな蕎麦文化を訪ねて、皆さんとともに魅力を再発見していきたいと思います。
第1回めの今日は、東銀座に最近オープンした〔蕎麦リストランテna-ru〕をご紹介します。既にテレビ番組でも紹介され注目されている店です。そのおしゃれな外観はとても蕎麦屋には見えないのですが、中に入ってみると何とも居心地がよく、清潔感あふれる内装や調度にはセンスが感じられます。
さまざまな創作料理も素敵だし、日本酒も厳選された銘酒が揃っています。相談すると料理に合うお酒をアドバイスしてくれます。そして蕎麦をイタリアンな味付けでいくつかの種類で楽しむことができます。例えば濃厚なチーズが蕎麦に合うなんて不思議な気がしますがこれもベースの蕎麦の味がしっかりしているからなんですね。
もちろん、もりそばにして蕎麦そのままにしていただくのもいうことありません。つけ汁に少しオリーブオイルを垂らすというのもこの店のお薦めの食べ方です。
3月からランチタイムも始まりました。千円ほどでうまいそばと小さなどんぶりものが楽しめます。
若くてかっこいい新進気鋭の店主が確かな腕と意欲ある姿勢で臨んでいます。〔中央区観光協会〕事務局の入居する〔京橋プラザ〕のすぐそばですから、皆さんもぜひ一度お立ち寄り下さい。新しい蕎麦の楽しみ方を見つけることができるかもしれませんよ。
[下町トム]
2014年3月13日 09:00
中央区はグルメの町でもあります。日本橋、銀座、築地、人形町・・・・おいしい店をあげたら数え切れません。
いつもは手ごろな値段のお店を探索して気軽に食事を楽しんでいますが、たまにはちょっと気取って高級フレンチを楽しんでみたくなります。
この日は、銀座一丁目にある「レストラン ドン・ピエール」を訪ねてみました。もともと「ペリニィヨン」という名前で30年の歴史を誇る老舗です。昨年京橋の店と融合して新たに「レストラン ドン・ピエール」として再スタートしました。
決して気取らない温かな雰囲気の店内には、大切なゲストを迎えてわくわくするような雰囲気があふれています。メニューには食指をそそられる品が並んでおり迷ってしまいます。特にステーキは柔らかくジューシーでとろけるようです。テーブルのたたずまいも非日常空間をたっぷりと楽しめるようにセッティングされています。隙のないサービス精神に脱帽します。
デザートも充実しています。今回はプリンをいただきました。ほのかな苦みと深い甘さが口の中で広がります。コーヒーを飲みながら今日いただいたものを振り返るのも至福のひとときです。大都会の真ん中でこうして落ち着いて食事を楽しめるなんてなんと贅沢でしょう。
お店の方にうかがったところ、今月20日にグランドオープンする「コレド室町」1~3のうち、「コレド室町2」地階に、系列店としてコンソメスープ専門店「ジュレ・ドール」を出店されるそうです。常に新しい形の味覚を求める姿勢に感心します。
中央区にまた新しい味のスポットが増えるのは楽しみなことです。
しっかり満腹、すっかり満足、のまま家路につきました。"銀座フレンチ"はとても魅惑的な美食でした。
[下町トム]
2014年2月19日 14:00
数々の歴史に彩られた中央区は、どこを歩いても興味深い史跡やゆかりの場所に遭遇します。この日は京橋界隈を歩いてみました。
昨今、このあたりも再開発が進み、観光特派員とも縁の深い〔FM中央〕のスタジオがある〔京橋スクエアガーデン〕も新たなランドスケープになってきましたね。
そのビルからもほど近いところに、皆さんおなじみの「京橋親柱」が残されています。前のオリンピックのときに首都高速建設のために埋め立てられた京橋川に架かっていた「京橋」。1959(昭和34)年に川が無くなって半世紀を超えました。しかし、この親柱を見ると、往時のことが偲ばれます。
かつて京橋川の北西側には野菜の荷揚げ場があり、〔大根河岸〕と呼ばれて大変賑わったそうです。東京近辺の農村から運ばれてくる野菜をここで取引していたわけで、今で言う青果市場の原型です。以前は近郊野菜である〝亀戸大根〟や〝練馬大根〟などが水運を利用してたくさん運び込まれ、その印象から「大根河岸」と呼ばれたようです。
やがて、関東大震災の後に、市場の機能は築地や神田に継承されていきました。
なんと今年は大根河岸ができてから350年目の記念すべき年にあたるそうです。(2月が生誕の月という説があるのでまさしく今がそのときです!)
江戸幕府4代将軍・家綱の時代にルーツを遡れると聞くと重みを感じます。「京橋大根河岸会」の皆さんがそれを記念して2年前から毎月中旬に大根や各種野菜を無料配布するという記念行事を開催されています。2月は14日(金)の予定でしたが、あいにく大雪で中止になったようです。次回は3月14日(金)正午から開催される予定ですので、一度是お訪ねください。
〔大根河岸〕の跡地には記念碑が建立されており、歴史と風格を感じます。また、地元の方がこの由緒にちなんでプランターに大根を植えて育てていらっしゃいます。現代にささやかな〔大根河岸〕の再現ができることを楽しみにします。
それから、余談ながらお話ししますと、歴史小説の金字塔「鬼平犯科帳」には、この〔大根河岸〕にあったという〔万七〕という料理屋が登場します。夏場は店を閉めているというこの店は、〝兎汁〟で有名だったという設定です。鬼平ファンにはよく知られたスポットです。
江戸時代は原則肉食禁止でしたが、いろいろ工夫して食べていたことは知られています。〝ウサギ〟も鳥の一種だと無理やりみなしてOKサインだったのですね。したがって、ウサギは鳥と同じように「一羽、二羽・・・」と数えます。
いろいろそんなことを考えながら歩く京橋界隈。このあと、銀座に向かうか、日本橋に向かうか、ぼくにとっては、江戸の〝思案橋〟でもあります。