[下町トム]
2015年5月11日 14:00
東京は河川の多い町です。その中でも中央区は江戸時代から水運で支えた地域なので、戦後埋め立てられて減ったというものの、河川や運河が今でもいくつも残っています。
隅田川には上り下りのクルーズが何種類か運航されており、多くの観光客で賑わっています。中央区のなじみ深いところでは、〔浜離宮庭園〕や〔明石町〕に乗り場があり、浅草やお台場方面への船が発着しています。陸上とは異なる視点で町を眺めるという観光もまた面白いものです。
春の桜、秋の雲などももちろん素敵ですが、新緑から万緑への移ろいのこの季節もまた、岸の緑を遠間に眺めて舟に揺られるのもなかなかいいですよ。
東京都公園協会が運営する「水上バス」の中で、おすすめは「川めぐり橋めぐり」です。小ぶりの愛らしい遊覧船「カワセミ」に乗って、日本橋のたもとから発着し、市中の河川や名橋を観て周るとても楽しいクルーズです。「日本橋川・神田川めぐり」は特に江戸の古い町なかを巡り、船上からその歴史や文化を確かめることのできる興味深いコースです。
この水路が江戸の町の発展を支えてきたと思うとその重要性を改めて感じることができます。
柳橋の風情を味わったり、美しいフォルムを見せる清洲橋や永代橋に見ほれたり、見どころたくさんです。神田川の方も聖橋まで遡っていきますから、ちょっとした冒険気分も味わえます。
舟から上がったら、日本橋界隈を散策しグルメやショッピングでもう一つの楽しみを味わってから帰途につくのもいいでしょう。
運航スケジュールが不定期なので事前に良く確かめてお出かけください。爽やかなこの季節に川風に吹かれて江戸の香りを楽しんでみてはいかがでしょうか。
[下町トム]
2015年4月 6日 12:00
〔歌舞伎座〕で「四代目中村鴈治郎襲名披露公演」が始まりました。これまでの「翫雀」を改めて、先代の後を継いで大きな名跡が復活しました。1月、2月の〔大阪・松竹座〕での公演を経て、東京でのお披露目になりました。
初日以来、連日の大入りが続いています。もちろん主役の当代・鴈治郎さんを見たいというお客様が多いのですが、お祝いムードを盛り上げるために幹部俳優が勢ぞろいしているのも一層の人気の秘訣でしょう。
東京の町に上方ぶりの春風が吹いているような気がします。
さて、劇場のお楽しみはそれぞれ詳しい方が多いので見合わせることにして、今回は歌舞伎座タワーの5階にある〔歌舞伎座ギャラリー〕をご紹介します。歌舞伎に関する様々な企画展示が楽しめるスペースです。現在は劇場公演にあわせて「がんじろはん」というタイトルで中村鴈治郎ゆかりの資料や映像を展示しています。
京都や大阪では敬称として「~はん」という言葉がよく用いられます。「~さん」という意味ですが、それよりももっと親しみと尊敬をこめたニュアンスがあります。歴代鴈治郎が人々にいかに慕われていたかということでしょう。
ギャラリーでは鴈治郎さんが舞台で実際に使用する衣装の展示や、歴代の貴重な映像が流れています。一層親近感が湧いてきます。襲名挨拶の当代・鴈治郎さんの絵姿の脇で一緒に写真に納まることもできます。見学のあとは、同じフロアにある庭園を歩いてみたり、「寿月堂」で名物の"抹茶モンブラン"をいただいてみたりするのも愉しいです。
大屋根を眺めながら「五右衛門階段」を降りて4階にいくと、回廊に懐かしい名優たちの写真が飾られています。思い出の舞台シーンを思い浮かべながらゆっくりと歩くのは心豊かなひとときです。
ちなみに、当月の歌舞伎座入場券を持ってくと、入場料が600円のところ100円引きになります。
観劇の前後に立ち寄るもよし、銀ブラのついでに訪ねるもよし。是非一度お訪ね下さい。
[下町トム]
2015年3月24日 09:00
今年も桜の季節がやってきました。
中央区にもいくつもの桜の名所がありますが、上野や千鳥ヶ淵と異なり、町の中に人々の生活とともに桜の風景があるのが中央区の特徴でしょう。
中でもぼくが毎年"花見"に出かけるのは「佃公園」です。もとをただせば、石川島の「人足寄場」、さらに「石川島造船所」があった場所です。今は「大川端リバーシティー21」となって、近代的な住宅街となっています。
一時人口減少に悩んだ中央区の人口都心回帰施策として、1989年(平成元)年頃から高層マンションが建ち始めました。かれこれ四半世紀を超えました。
河畔に植えられた桜の木もすっかり成長して、この時季見事に咲き誇ります。隅田川を行き来する船に手を振りながら、まさしく滝廉太郎の唱歌を思い浮かべつつ春の気分を味わうのには最高です。
(写真は何年か前に現地で撮影したものです)
今週末には見ごろを迎えるでしょうか。是非、散策を兼ねてお出かけください。
川の流れにたゆたうこの町の未来をみんなでたしかめることができるはずです。ほら、川面に豊かな笑顔と希望が輝いていますよ。
[下町トム]
2015年2月17日 14:00
今月は「東京マラソン」が開催されることもあり、都内のあちこちで練習に打ち込むランナーをよく見かけます。このイベントもすっかり定着しましたね。中央区内も銀座、日本橋、築地などが走行コースに含まれているため、多くの応援者や見物客がやってきます。その際に中央区の観光やショッピングもあわせて楽しんでもらえたらいいなと願っています。
ランニングブームは相変わらず衰えることなく盛んです。ぼく自身もたまに走っていますが、走り終えた後の爽快感が忘れられずだんだんはまっていく方も多いのではないでしょうか。毎年秋には「中央区民マラソン大会」も開催されますので、これまで躊躇されていた方もこの機会に少しずつランニングを始められてはいかがでしょうか。今はまだ寒いですが、走っているうちに体が温まってきますので、ちょうどよくなってきます。実は冬場こそランニングのベストシーズンなんですね。
走る方はそれぞれに好みのランニングコースを持っていらっしゃると思います。中央区は最も都市化した地域ですので、郊外のように丘陵や広大な公園はありません。どちらかというと市街地の路地を縫うように走るのが愉しいかもしれません。
そんななかで、ぼくのお気に入りは隅田川のリバーサイドです。区内では、永代橋から勝鬨橋にかけて川辺の散歩道が整備されていますので、散歩やジョギングに最適なコースだと思います。水辺の景色を眺めながらゆったりと走るのは気持ちいいものです。
ぼくとしては早朝のランニングをお勧めします。まだ町が動き出す前のひとときの静けさのなかをリラックスしながら走ることができます。寒い季節は空気も澄んでいるので空もクリアに眺められます。佃あたりの空が明るみを増していく時間帯に、高層マンションと川の佇まいが同居する風景もまた心なごみます。
是非リバーサイドでお会いしましょう!
[下町トム]
2015年1月28日 14:00
日本ではじめての地下鉄である「銀座線」は東京の交通のシンボルであると同時に、中央区を貫く大動脈でもあります。何しろ、その路線の名称に中央区の地名「銀座」が冠されているのですから、親しみが一層湧きます。
また「銀座駅」はビジネス、ショッピング、観光、乗り換えなど、様々な目的で多くの人が利用する一大拠点です。
「銀座線」で鮮やかな黄色のレトロ風デザインの新型車両1000系は、2012年から導入が始まりました。2013年には鉄道友の会から地下鉄車両で初めての「ブルーリボン賞」も受賞しました。だんだん車両数も増えてきて、銀座駅で黄色い車両が行き違うシーンも珍しくなくなってきましたね。
この車両はバリアフリーやLED採用などの先進的な設備を採り入れているほか、座席や扉などに独自のデザインを施すなど、なかなか凝ったつくりになっています。
「銀座駅」構内には、何かと役に立つ「旅客案内所」があります。東京メトロではほかに新宿駅、表参道駅、渋谷駅(観光案内所)にもありますが、日本一の繁華街である銀座の案内所は旅行客だけではなく、一般のお客様にとっても重宝な施設です。この4カ所の案内所は日本政府観光局の「外国人観光案内所」カテゴリー2に認定されています。この指定は、少なくとも英語で対応可能なスタッフが常駐し、広域の案内を提供することができるということを示しています。外国人旅行客にとっては心強い存在ではないでしょうか。外国語のパンフレットも常備してありますので、外国人のお友だちを案内されるときに是非ご活用下さい。
それから、今「銀座駅」ではデザインコンペを実施中です。提案課題は「銀座駅における望ましい経験・駅のありかた」「駅の個性と共に、機能性を備えたプラットホーム(銀座線プラットホーム1カ所)のデザイン提案」「駅の顔である改札口周り(銀座口改札口及び西銀座口改札口の2カ所)のデザイン提案」など6項目だそうです。3月まで受付中ですので、クリエイション能力の高い皆さん、応募されてみてはいかがでしょうか。
歴史を重ねてもなお進化し続ける「銀座線」と「銀座駅」。ますます面白くなっていくようです。
[下町トム]
2014年12月22日 13:00
今年もまもなくおしまいですね。一年の流れは早いものです。中央区は商業の町ですので、この季節は各商店やデパートなど、まさに書き入れ時。お正月の準備のために買い物客であふれています。
一方、区内の多くの神社では大晦日に"大祓"という神事が行われます。一年の穢れを祓い、来る年の安寧を祈る重要な行事として古来から営まれてきました。特に信仰ということではなくても、一年の自身の失敗や不十分な出来事を反省し、嫌なことは忘れて新しい年に思いを馳せるという意味でも、ひとときの心の安らぎになるのではないでしょうか。
それぞれ地元の神社にお参りされるのもよし、買い物の行き帰りに気になるお社を訪ねてみるのものいいでしょう。
中央区には「日本橋七福神」や「銀座八社めぐり」などの文化・歴史とウォーキングを同時に楽しめるルートもありますから、年末年始の休日に散策を兼ねて参拝されるのもおすすめです。
それから、築地市場にお正月料理の材料の買い出しに来られる方は、是非〔波除稲荷神社〕にお立ち寄り下さい。今月半ばから1月10日まで本殿の前に"茅の輪"が設置されています。この輪をくぐって厄落としすることができます。あわせて新年の誓いをされてはいかがでしょうか。
日頃神社にあまり行かない方でもお正月には"初詣"に出向く方も多いと思います。ある方にうかがったのですが、本来神様に現実的なことをいろいろ頼むのはよくないのだそうです。むしろ、自らの誓いや反省、感謝の気持ちを神前でおごそかに振り返ることに意味があるそうです。その姿勢次第で神様のご加護もあるとか・・・。だから歳末まだそう混雑していない境内で静かに一年を振り返るのはけっこういいんじゃないでしょうか。
皆様にとって来年が一層よい年になることをお祈りします。
本年もお世話になりありがとうございました。