いのちゃん

【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

カレー好きなら知らない人はいない東銀座ナイルレストラン。今さらご紹介するまでもない超のつく有名店ですが、お店の70周年を記念して、僭越ながら三度の飯よりカレーが好きな特派員が記事にしたいと思います。

1949年創業! 三代続くレストラン

創業者であるA.M.ナイル氏はインドの独立運動家であり、波乱に満ちた生涯を歩まれました。お店のホームページでは、その歴史の一端を知ることができます。独立運動を続けるなかでスパイ映画さながらに暗躍したことや、新宿にある別の名高いカレーとの関わりなど、とても興味深いお話が綴られています。

日印親善の心を受け継いだ二代目のG.M.ナイル氏はナイルレストランを一気に有名にした人物です。カレー界のご意見番としてテレビや雑誌で大活躍されているので、“ナイルさん”の呼び名でご存じの方も多いことでしょう。もともとコサキンラジオ(※)のヘビーリスナーだった自分にとっては、関根勤さんがよく好物のカレーナイルレストランのことを話題にしていたので、G.M.ナイル氏は芸能事務所・浅井企画所属のタレントさんというイメージがあります。

※関根勤さんと小堺一機さんが30年近く放送を続けたTBSラジオの伝説のバラエティ番組の愛称。

現在お店に立っているのが三代目ナイル善己。おさない頃より父であるG.M.ナイル氏のスパイス英才教育を受けて育った善己氏はレシピ本を多数執筆され、日印混合4人組料理ユニット“東京スパイス番長”のメンバーとしても活動されています。実際のご年齢よりもずっと若く見えるアイドルのようなお顔立ちで、確実に新世代のファンを獲得しています。

 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

この印象的な壁の絵は、ホームページのトップページに、そして三代目ナイル善己氏の著書のひとつの表紙にもなっているナイルレストランの象徴のような存在。お店では2階でご覧いただけます。

創業以来変わらない味! ディナーでも注文できる名物「ムルギーランチ」

ムルギーランチナイルレストランオリジナルのワンプレート料理。おや、よく見ると壁に描かれているのもムルギーランチではありませんか。来店するほとんどのお客さんが注文する必食メニューであり、お店側としてもイチオシの大定番であるがゆえ、店員さんがオーダーを取るときには「(人数分の)ムルギーランチでいいよね」という暗黙の了解のようなものを感じます。この癖になりそうなお約束のやりとりはナイルレストランを訪れる際の秘かな楽しみとなっています。

 

 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

長時間煮込んだ鶏肉はテーブルナイフがしゅぱあっと入るやわらかさ。

 

ムルギー(murgh)とはインドの言葉で鶏肉のこと。ムルギーランチは7時間煮込んだというこの上なくやわらかい地鶏のももに、イエローライス、温野菜、マッシュポテトが添えられています。このムルギーランチには食べ方に流儀がありまして、それは「プレートの上で食材をすべてまぜる」というものです。

 

 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

このカレーなる手さばきを目撃せよ!

 

店員さんの「まじぇて食べて」というセリフもあまりにも有名で、この言葉を検索すればナイルレストランが一番にヒットするのですから、個人的にはもう丸C扱いでいいと思っています。

そして言われた通りによくまぜてから味わうと、スパイシーなカレーに地鶏の滋味と温野菜の甘みが一体となって、口あたりもまろやかになり一段と味に深みが増して、まぜることでムルギーランチがより完全なものとなっていくのがわかります。

ムルギーランチは絶対によくまぜて召し上がってください。皿の上にある旨さのすべてがスプーンのひとすくいに凝縮されるというムルギーランチ理想的な状態を最後につくりあげるのは、ほかの誰でもない私たち自身なのです。

 

 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

まじぇやすいよう店員さんがあっという間に骨をきれいにはずしてくださいました。

 

ワンプレートで大人が満足する十分な量がありますが、こだわりの良質な素材が使われているためか、食後はもたれることがありません。食べ終わってすぐに「また今度食べに来よう」とつぶやいてしまう魔法の一皿なのでありました。

歌舞伎座との深い関係

歌舞伎座との深い関係 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

2階の様子です。すさんだ中年の心もなごむピンクの色調。

 

ナイルレストラン東銀座駅から徒歩2分、昭和通り沿いにあります。
歌舞伎座に近いことから、常連客に歌舞伎俳優さんが多いことは想像に難くありませんが、この地で育った二代目G.M.ナイル氏は自然と歌舞伎の世界に親しみ、歌舞伎の伴奏である浄瑠璃(三味線を用いた音曲)、清元(きよもと)は名取の腕前だそうです。本当に多才でいらっしゃいますね。

そんな地元との相互愛にあふれたナイルレストランの歴史はこれからもきっと永く続いていくことと思います。
そこに行けばいつでもあるという安心感は何物にも代えられません。

東銀座の宝、ムルギーランチは今後も定期的に食べに行きたいです。

 

 【東銀座】 日本最古の印度料理専門店「ナイルレストラン」

 

印度料理専門店 ナイルレストラン|Ginza NAIR’S RESTAURANT
https://www.ginza-nair.com/

中央区銀座4-10-7
03-3541-8246
火曜・第一第三水曜定休