みなとっこ日記 湊っ子ちゃんは秋の色
湊っ子のすきな道は、もう秋の色。
どんぐりがたくさん、道のうえに置いてある。
明石町河岸公園。
誰が置いたのかな。
ダイヤモンドを散りばめたように
朝の陽ざしが踊る、隅田川の水面。
隅田川テラスには、元気な声と、
色とりどりの帽子が揺れている。
かけまわるちびっこたち。
手のひらには、しっかりとどんぐりの実が
にぎられている。
木漏れ日を降らす、秋の陽ざし。
シーボルトの胸像も、まぶしそう…。
あかつき公園は、もうすっかり秋の色。
噴水の水滴の、ひとつひとつが光ってる。
聖ルカ礼拝堂から、
お昼のチャイムがきこえてきた。
どこか憂いを秘めた、聖歌のメロディが
響きわたる…。
歩道には、黄色く染まった星形の葉っぱ。
モミジバフウ。
すこしずつ色の違うグラデーション。
星をたどるように歩けば、
じぶんだけの星座が浮かぶ。
佃の公園も、もう秋の色。
落ち葉の海をわたるヨット。
お堀では、シロサギがひなたぼっこをしている。
そのすぐそばで、のんびり釣りをする人。
まちはずいぶん変わったけれど、
このまちを満たしている温度は、変わらない。
やっぱり、佃っていいなぁ…。
采女橋を歩いたら、
一瞬だけの歩道美術館をみつけたよ。
欄干の模様が、
足元に影を落とす。
西日の描いた、築地ホテル館と銀座の柳。
あっ…。
ちょっと目をはなしたすきに、
美術館はあとかたもなく消えている。
秋の日暮れははやいなぁ。
見上げると、一番星がキラリ
光っている。
それは、今日いちにち、
中央区のまちがくれた、
まぶしい時間のように。
中央区観光協会特派員 湊っ子ちゃん
第208号 令和5年11月19日