2024初笑い「狐狸狐狸ばなし」-初春大歌舞伎
2024年1月は歌舞伎座、演舞場、浅草公会堂、新国立劇場と4劇場での歌舞伎公演となりました。まずは歌舞伎座昼の部へ。幕開きは若手俳優陣の「五人三番叟」。福之助、鷹之資、歌之助、玉太郎、虎之助と花形揃い。
2幕目は昨年10月に初演された「赤穂義士外伝」の「荒川十太夫」です。「大谷竹次郎賞」や「芸術祭優秀賞」を受賞した大きな反響を呼んだ作品で早くも再演となりました。
3幕目が「狐狸狐狸ばなし」です。昭和36年(1961)の初演で十七世勘三郎、森繁久弥、山田五十鈴、三木のり平という俳優陣。その後十八代目の勘三郎さんが何回も演じているので皆様おなじみのお芝居かと思いますが、結末が分かっていても可笑しい。狐と狸の二転三転の化かし合いで抱腹絶倒。上方女形出身の染め物や伊之助を演じるのは幸四郎さん、女房のおきわに右近さん、そのおきわと深い仲の生臭坊主の重善に錦之助さん、あやしい雇い人又市に染五郎と全員初役で勤めます。初笑いにぴったりの爆笑喜劇です。
この「狐狸狐狸ばなし」は劇作家・北条秀司(1902ー1996)の作品です。北条秀司は戦後の演劇界の重鎮で今でも上演される新派・歌舞伎作品も多数残していますが、江戸の名残を残す佃島を愛し、佃大橋が完成して佃の渡しが廃止される最後の日に新派の花柳章太郎と共に「無上陸3往復」をしたことは語り継がれているそうです(中央区沿革図集月島編)。その北条秀司の歌碑が「佃の渡し跡」の碑の傍に立っています。「雪降れば佃は古き江戸の島」の句が刻まれている裏面には「北条秀司米寿記念」と記され当時の松竹・演舞場・明治座・東宝の社長が名を連ねています。
寿初春大歌舞伎千穐楽は27日(9日、18日は休演)
昼の部 11時開演「當辰年歌舞伎」「荒川十太夫」「狐狸狐狸ばやし」
夜の部 16時開演 「鶴亀」「寿曽我対面」「息子」「京鹿子娘道成寺」
お問い合わせはチケットホン松竹0570-000-489(10時~17時)