小江戸板橋

新しい一歩を踏み出す時に。

 

小さな皿に盛った金平糖。

冬の透き通った夜空に輝いていた天の川から、ひとつ一つ選んで取り集めた星の粒。

仕事が一段落した時、珈琲のお供に選んでみました。

 

口に含むと、白、黄、緑、青、橙、桃、それぞれの柔らかな香りが、鼻の奥に生まれ出てきます。

その色ごとの香りが、これまで辿ってきた場面を呼び起こします。

ほのかな甘さが、疲れや悲しみを和らげ、小さな元気を引き出してくれます。

 

 新しい一歩を踏み出す時に。

 

私、職場を転勤するときや退職するときに、金平糖を贈ります。

ひとり一人に、感謝の気持ちを込めたカードを添えて。

資生堂パーラーの銀座本店限定商品であることも、ささやかな特別感があります。

皇室で用いられる引き出物の一つが「ボンボニエール」。

御菓子を入れる小箱ですが、中に金平糖が入っていることが多いようです。

一つの区切りをつけ、新しい事柄に跳び込もうとするときの、儀式の様になっています。

 

 新しい一歩を踏み出す時に。

※ 岐阜駅前に建つ「織田信長公」の黄金の像。

 

昔の金平糖は、結構ざらざらしていて、子供心に「別に食べなくてもいいかな。」と思っていました。

興味を持ったのは、大河ドラマで織田信長公がポルトガルの宣教師から献上された「コンフェイトス(御菓子の総称)」を食べたことがきっかけでした。

450年前の戦国時代、南蛮渡来の甘い砂糖菓子を口にした信長は、何と思ったでしょうか。

「で、あるか。」

そして今、私もコンフェイトスを口にできる、時間軸の不思議さ。

「そだね~。」

 

 新しい一歩を踏み出す時に。

 

金平糖は、少し傾斜を付けた、銅鑼という大きな鍋で転がりながら作られます。

核となるザラメやイラ粉を入れ、糖蜜を掛け続けて、成長させていきます。

気温や湿度に応じて、釜の温度、銅鑼の角度、振りかける糖蜜の量などを微妙に調整していきます。

ゆっくりと、ゆっくりと時間を掛けて。

14日間かけて角の凸凹が育って、完成するのです。

 

 

 新しい一歩を踏み出す時に。

 

昨年11月1日に、資生堂パーラー銀座本店はリニュアルオープンしました。

それに合わせて、金平糖の缶のイラストも変わりました。

3種類あって、男の子が描かれた缶はホワイトの金平糖。

女の子の缶はピンク。

子猫の缶はミックスです。

慣れてくると、かわいく見えます。

缶のぐるりのデザインは、千鳥格子柄が用いられています。

これは、なかなかおしゃれです。

 

 新しい一歩を踏み出す時に。

 

ホンとはね、私、個別にリボンが巻かれた、これまでのデザインに愛着があったのです。が。

ネコ好きの人が多い職場でしたので、ミックス缶は好評でしたよ。