小江戸板橋

下を向いていたら、見つけました。

 

棋士藤井聡太さんが、王位・棋聖のタイトル二冠を獲得したのは、今夏8月20日。

史上最年少。その年齢は、18歳1ヶ月。

まだ、高校生なのです。

現実世界で、漫画「3月のライオン」の桐山零を超してしまいました。

 

将棋の総本山として親しまれている「将棋会館」は、千駄ヶ谷にあります。

会館の入口で、高校生棋士の桐山が迎えてくれます。

 

 下を向いていたら、見つけました。

 

都内屈指のパワースポット鳩森八幡神社は、会館の直ぐ近くにあります。

将棋の聖地といわれ、境内に王将の駒が納められた将棋堂があり、大手勝守などのお守りも揃っています。

 

鳩森八幡神社前の交差点から、明治神宮北参道に向けて、千駄ヶ谷大通りが通っています。

休日には静かなたたずまいを見せる通りです。

地面を見ながら歩いてみてください。

マンホールの蓋。

見覚えのあるキャラクター達が、発見されるのを待っています。

 

 下を向いていたら、見つけました。

桐山零。

表情が硬い。

きっと、育てられた棋士の家を出て、一人暮らしを始めた頃の、かたくなな姿です。

 

 下を向いていたら、見つけました。

川本あかり。

三月町のモデルとなる、月島、佃に住む、川本三姉妹の長女。

 

 下を向いていたら、見つけました。

川本モモちゃん。

川本さんちの三女。

 

 下を向いていたら、見つけました。

川本ひなた。

川本さんちの次女。

 

川本さん達との関わりの中で、零の凍りついた心が解けていくのです。

零は、不器用ながらも、自分の居場所を、手探りで確かめて行きます。

 

 下を向いていたら、見つけました。

二階堂晴信。

棋士。桐山のことを心友(ライバル)と呼び、彼の心を熱く揺り動かします。

腎臓疾患と戦いながら、将棋に全力勝負を挑んでいます。

 

キャラクターは、全部で6種類描かれています。

最後の一つは、あなたご自身で、楽しみながら探してみてくださいね。

これらデザインマンホールは、今年2月26日に設置されました。

この情報を伝えたいと暖めていたのですが、もうここで発信します。

千駄ヶ谷の近くには、東京体育館や国立競技場など、オリンピック・パラリンピックの会場となる旬のスポットがあります。

 

父は言った「逃げていい」と

 

2020東京オリンピックの応援テーマ曲。『カイト』

嵐が歌いあげる。

米津玄師の作品だ。

曲中の「逃げていい」との言葉に、強い違和感があった。

 

父から「逃げていい」と言われたことがあっただろうか。

子に「逃げていい」と言うであろうか。

病に倒れた父は、ただ微笑んで見つめていた。

歯を食いしばって、胸を張って、前に進むこと。

それが、父の微笑みに答えることだと思っていた。

 

誰も傷つけない漫才の、ぺこぱ的に言ってみる。

下を向いて歩くことも、悪くないだろう。

これまで気づかなかった物が、目に映ることがないとも言い切れない。

事実、下を向いていなければ、マンホールの蓋のキャラクターにさえ気づかなかった。

そうだろう?

 

 下を向いていたら、見つけました。

高橋の欄干越しに、南高橋方面を望む。

 

零は、新川に面したマンションに住む。

高校生にして、彼の収入は教師の手取りを超えている。

住居費にも充分まわすことができた。

作品中の六月町の場所は、中央区新川2丁目が該当するようだ。

将棋会館に行くには、高橋を渡って八丁堀駅を利用するか、徒歩で東京駅まで向かう。

高橋の欄干の印象的なデザインは、作品中に何度も登場する。

 

 下を向いていたら、見つけました。

 

零が川本家を訪れる時に利用するのは、中央大橋。

二径間連続鋼斜張橋。

スッと天に向かう主塔は、兜の前立てをイメージしている。

何本もの鋼線が帆船のように見え、また、登場人物の心の揺らぎを映し出す。

 

3月のライオンを読み直しているうちに気づいた。

私には、親や家族のぬくもりが、手の届くところにあった。

「逃げていい」という言葉は、零のように深い苦しみに、孤独に耐えている人に向けられているのだと。

暖かい、救いとなる言葉。

これも、聞く人を思いやる応援歌となっている。