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2020 ヒガンバナ開花(浜離宮恩賜庭園)

 2020 ヒガンバナ開花(浜離宮恩賜庭園)

 今年は9月に入っても気温の高い日が続き、季節の遅れ進み具合の目安となる「気象庁生物季節観測情報」も平年より遅いものが目立ちます。彼岸を代表する花「ヒガンバナ」もその一つ。浜離宮恩賜庭園では、旧稲生神社裏手のヒガンバナが漸う咲き揃い、秋らしい風情を醸し出しています。因みにヒガンバナは、春先、地温を感じて花芽の分化が始まり、夏の高温下一旦花芽の発育が抑えられ、秋、地温が下がると発育を再開し開花すると考えられています。

ヒガンバナは中国から渡来したとされる多年草で、有毒のアルカロイドを含有し、6枚の花被片は細く、強く反り、雄しべは長く突出し、独特の花姿です。地方により、「曼殊沙華」「死人花」「墓花」など様々な呼び名があり、古来より、人間の生活に深く関わってきた様子がうかがえます。通常3倍体の染色体を持ち、花は咲けど実は結ばず、鱗茎が分かれ栄養繁殖し、秋の彼岸の頃、葉のない花茎の先端に、一斉に、朱紅色の花を咲かせます。花が咲いた後に線形の葉が伸び翌春に枯れ、通常の草花とは逆の生態を持ち、その葉と花を一緒に見ることがない性質から、別名「葉見ず花見ず」とも呼称されます。