ちょっと気になる中央区の神社 ⑤
~ 宝童稲荷神社 ~
リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary sea です。
「ちょっと気になる中央区の神社」シリーズ、第5回の今回は、宝童稲荷神社(ほうどういなりじんじゃ)をご紹介します。
こちらは「銀座八丁神社巡り」の1社です。
それでは・・・
御由緒
〇 宝童稲荷稲荷神社のある路地から
銀座4丁目銀友会では、銀座の新たな一面を知っていただくために、秋の催事の一つ「銀座八丁神社めぐり」にあわせ、このたび「宝童稲荷神社と煉瓦時代の路地」というタイトルのパネルを設置いたしました。
〇 江戸時代の銀座と現在
現在の銀座は、通りとその両側の町でつくられた江戸の空間構造が活きています。
江戸時代、町の範囲は横丁と横丁に挟まれた京間60間(約120m)でした。
町内会組織も、基本的には江戸からの伝統を受け継いでいます。
〇 宝童稲荷神社と弥左衛門町(やざえもんちょう)
宝童稲荷神社は、江戸時代から伝えられたものと言われ、主に子育の稲荷神社として知られるようになりました。
銀座の稲荷神社の多くは、ビルの屋上に上げられてしまったケースが大半です。
しかし、ここは周辺の方々がしっかりとお世話してきたこともあり、路地の中ほどの大地に鎮座しています。
〇 江戸から近代へ、煉瓦街となった銀座
銀座は、明治のはじめに西洋風の街並みがつくられ、繁華街に変貌しています。
その一方で、江戸の路地はかたちを変え、銀座独特の路地として江戸以来の庶民生活を支え続けてきました。
銀座は、新しさとともに、江戸からの老舗の店があり、かつての生活空間の名残りが感じられます。
街全体が異なる時代の文化と共存することで、街の魅力をつくりだし、活力としてきたのです。
〇 銀座サクセスストーリーの街、弥左衛門町
明治中期の弥左衛門町は、次の時代を切り開く近代の申し子たちが多く巣立ちます。
弥左衛門町という小さな範囲のなかでは、サクセスストーリーの最初の舞台がつくられていたのです。
銀座の先進性がここにうかがえます。
〇 路地をめぐり、銀座の稲荷神社を訪ねる
銀座には数多くの路地がまだ残されています。
その幾つかでは、訪れる皆様を稲荷神社がお待ちしています。
「銀ブラ」気分で、皆様が銀座の小さな旅を楽しんでいただければ幸いです。
<子どもの健やかな成育にご利益>
将軍の子息の早世を防ぐために祀られた神社で、福禄寿を祀る。
かつては江戸城の中にあったが、この場所に勧請して鎮座したといわれる。
健やかな子どもの成育にご利益があると伝わる子育て稲荷。
ー 歩いてわかる 中央区ものしり百科 より ー
猿結参道(えん むすぶ さんどう)
宝童稲荷神社の通り向かいにあります、猿、チンパンジーの像でしょうか、気になりました。
説明板を読んでみます。
レンガ通りから宝童稲荷神社への参道を彫刻家 渡辺元佳(わたなべ もとか)がアートにしました。
この神社は、1930年まで「弥左衛門町」と呼ばれていた銀座4丁目の氏神様で、江戸時代の町名主弥左衛門が江戸城紅葉山から分祀を願い出たことに始まる子育て祈願の神社です。
宝童稲荷参道が2016年の申(さる)年に竣工したことにちなみ、可愛らしい三匹の猿が誕生しました。
古来より、猿は神の使い・魔除け・守護神として神社や厩(うまや)などに祀られてきました。
また猿(えん)から縁結びにも通じます。
参道のアート名は「猿結参道ーえんむすぶさんどうー」英語で「Happy Monkey Avenue」です。
愛嬌のある三匹の猿が宝童稲荷神社へ皆様をご案内するだけではなく、子育てと縁結びを見守るシンボルとなることを祈ります。
「三匹の猿」と書かれていますが、おや? 母子猿でしょうか、二匹しか並んでいませんね。
なぜでしょう?
付近を探索してみました。
そうしましたら・・・
いました、いました。
1本脇の通りから、赤い鳥居を指して案内していました。
細い参道、左側の石塔が示すとおり、「宝童稲荷参道」なのですね。
おとうさん猿なのでしょうか、先ほどのお猿さんたちより大きめ。
今回も江戸古典落語をご披露させていただきます、と言いたいですが、江戸発祥でも古典でもありません。
第42回となりました。
今回は、宝童稲荷の「童=子」とつなげて「子ほめ」をご紹介します。
なお、やはりつながりを考えました「子別れ」は、既に2020年11月7日の「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社」NO.29 中の第21回(今回のちょうど半分ですね)にてご紹介済です。
<事前確認コーナー>
「栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳し」・・・
栴檀(=白檀【びゃくだん】)は双葉の頃から香気を放つように、大成する人物は幼少の頃から優秀なこと。
「蛇は寸にて人を呑む」も、ほぼ似たような意味を持ち、大蛇は1寸(3cm)ほどの時から人間を呑み込もうとする気迫を持っている、ということ。
長命丸(ちょうめいがん)・・・
江戸の昔の強壮薬。ここでは本来の「長命」とは対極にあります言葉です。
「子ほめ」
熊さん、人にタダの酒を飲ませてもらう方法を、ご隠居のところに聞きに行きます。
ご隠居からは「うそでもいいからお世辞を言えばいい」と教えられます。
例えば人は若く言われると気分がいいので、45の人には厄(42)そこそこ、50なら45というふうに4,5歳若く言えればいい、と。
仲間の竹さんに赤ん坊が生まれたので、祝いに行けば酒をごちそうしてくれる、と思った熊さん、「赤ん坊はどうほめたら」と聞きます。
ご隠居は「これはあなたさまのお子さまでございますか、あなたのおじいさまに似てご長命の相でいらっしゃる、栴檀(せんだん)は双葉(ふたば)より芳しく、蛇は寸にして人を呑む、私も早くこんなお子さまにあやかりたい」と言えば良い、と。
町へ出ますと伊勢屋の番頭に会います。さっそく試そうと、歳を聞けば40歳。
45より下は聞いてなかったので、無理やり45と言ってもらい、
「えー、あなたは大変お若く見える」
「いくつに見えるかい?」
「どう見ても厄そこそこ」
番頭さん、怒って行ってしまいます。失敗です。
そして竹さんの家。
男の子で、奥で寝ているというので上がると、
「妙な子だ、生まれたてで頭の真ん中がはげてやがる」
「それはおやじだ」
いよいよほめはじめます。
「あなたのおじいさまに似て長命丸の看板で、洗濯は二晩じゃ乾かない、ジャワスマトラは南方だ、あたしも早くこんなお子さまに蚊帳(かや)吊りたい、首吊りたい」
「何、それ?」
「時にこの赤ん坊の歳はいくつだい?」
「今日でお七夜だ」
「初七日」
「縁起でもない、生まれて七日だからまだ一つ(数え)だ」
「一つにしては大変お若い」
「一つより若い?いくつだ?」
「どう見てもタダだ」
宝童稲荷神社
銀座4-3-14
東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線 銀座駅 C8出口を出て右へ。
次の角を越えてすぐの細い路地を右折、約50m先右側にあります。