ふるさとの訛(なまり)なつかし
日本橋室町四丁目にある、日本橋ふくしま館「MIDETTE」。
店奥の飲食コーナーで味わえる日本酒3種類飲み比べセット。税込み500円。
銘柄はほぼ一週間で変わるというが、訪ねた日は、人気一(純米大吟醸)・人気酒造(二本松市)、天明中取り参号(純米生酒)・曙酒造(会津板下町)、国権垂れ口(純米生原酒)・国権酒造(南会津町)が飲めた。
ふくしまの酒は、「全国新酒鑑評会」において、7年連続(2012年度~2018酒造年度)で金賞受賞数日本一を達成している。
ふくしまが一体となって醸造技術を高め合い、各酒蔵が、丁寧に、丁寧に、磨き上げた地域のプライドだ。
苧麻(からむし)織の里、昭和村のポスターを背景に写してみた。
新たな交流・観光拠点施設となった、旧・喰丸小学校。
3種のおつまみセットも加えよう。税込み200円。
黒胡麻ごぼう。厚揚げソフトかまぼこ。いか人参。
福島は奥羽山脈と阿武隈山地により、中通り、浜通り、会津の三地域に分かれる。
文化も風土も異なる三地域を代表する、飲み口が軽やかになるおつまみが揃った。
ふるさとの訛なつかし
停車場の人ごみの中に
そを聴きにゆく
石川啄木の第一歌集「一握の砂」に収められている一首である。
上野駅中央改札を入り、15番線に向かって歩けば、歌碑を見つけることができる。
北の玄関口といわれた上野駅は、長距離列車の発着駅。東北・北海道からの旅客が絶えず行き来していた。啄木は、旅客の会話の中に、出身地である岩手県渋民の南部訛を探したのだろう。
上野駅前通り商店街の入口にも、歌碑が設置されている。
台東区上野七丁目。
小ぶりながら、形のよい赤石に、歌と駅舎のレリーフがはめ込まれている。
ふるさとの訛をさり気なく聞き取れる場所といえば、現代においては各自治体のアンテナショップが、歌人の停車場にあたるかもしれない。
元気のよい店員さんやお客さんの会話から、ふくしま訛を聞き取る事が容易にできた。
ふんわりとした雰囲気に包まれる。
福島訛で舞台に
※ 写真は「劇団ふぁんハウス」提供。
換気、検温、手指消毒、マスク・フェイスシールドの着用など、感染予防を徹底した稽古風景
実は私、この数ヶ月、福島弁・福島訛にどっぷりと漬かっていた。
ご縁があって、演劇の舞台に立つ機会を得た。その役を福島訛で演じることになったのだ。
稽古初日に、団長から「ふるさとの言葉でやれますか。」と問われた。
高校まで過ごした土地である。もちろん、簡単に対応できるものと思っていた。
目指したのは、梅沢富美男さん。俳句の評価で、夏井先生と渡り合う姿。あんな表現ができたら楽しいだろうな。
方言・・・。
劇場後方まで届くように声に出してみる。
独特の言葉、抑揚、言い回し。
思うようにしゃべれない。こんなに難しいものだったのか。
難しいから、余計にのめり込んでいった。
方言辞典、YouTube、CD。手当たり次第に試してみた。
しかし、とうとうダメだしが出た。
訛が強い言葉は外す。お客様にきちんと伝わる様に。
そうでした!
お客様は、方言を聞きにいらっしゃるのではない。お芝居を見に来られるのだった。
深掘りする観点がズレていた。
台本を福島言葉に変換してきた作業を、分かりやすい標準語に近い言葉に再変換していく。
『山ちゃん、さすけね。やったらいいべした。』
「さすけね」とは「差し支えない」の方言である。
さて、これをどう言い換えるか。
NHKの朝ドラ「エール」は、福島市出身の作曲家小関祐而氏がモデルである。
その最終回を見た。志村けんさんが、西洋音楽の大家小山田耕三の役で出演していた。志村さんの笑顔が一瞬映し出された。周囲の人を魅了してしまう無垢の笑顔。あぁ志村さん。
志村さんへのオマージュ。
『山ちゃん。だいじょぶだぁ。』
※ 「ざ・クリーンキーパー」は、個性的な清掃員が躍動する群像劇。
笑いあり、涙あり、その後に元気が湧いてくるお芝居です。
再びの緊急事態宣言発出に伴い、都の指針や国のガイドラインに従い、感染予防対策を万全に行う。
本公演に向けて、「絶対に体調を崩せない」という緊張が常に離れなかった。
緊張が高揚感に変わる中で、公演本番を迎えた。
お客様の前で、舞台に立てる喜びをただただ演じた。
観客、劇場関係者、役者・スタッフの真摯な行動から生まれた小さな幸運が重なって、「奇跡の公演」といわれた演劇空間ができた。
心を動かすエンターテイメントは、ギスギスしがちなご時世だからこそ求められる。
舞台と客席が一体になった時間。
その中に加われたことがとても幸せだった。
※ お知らせ:4月1日(木)12:00から放送予定の、中央エフエム84.0の「ハロー!ラジオシティ」
観光協会特派員の「大好き!中央区」で、舞台の裏話などをお伝えします。
美味しい日本酒
日本酒は、今朝しぼり(純米吟醸)・大和川酒造(喜多方市)を選んだ。
濾過も火入れもしない、一日限定の生原酒。
おつまみも、揃えてみた。
酒の好みは人それぞれ。
誰とどんな状況で飲むかによって、甘くも苦くもなる。
私の一番のファンである妻が一緒ならば、酒はたちまち極上になった。