写楽さい

■中央区歴史逍遥<1> ~松尾芭蕉門弟、日本橋生まれの杉山杉風~

 杉山杉風(すぎやま・さんぷう)は正保4年(1647)、日本橋本小田原町に生まれる。生家は幕府御用の魚納屋で屋号が「鯉屋」。名は市兵衛または藤左衛門。俳諧は父とともに芭蕉の古くからの門人で、号は採荼庵(さいたあん)、蓑翁(すいおう)。延宝期には江戸蕉門の中心人物となり、のちに芭蕉本の編集に携わるなどで芭蕉十哲の一人と称された。深川芭蕉庵の提供など、芭蕉を経済的に援助した。『おくのほそ道』の旅において、芭蕉が旅立った「杉風が別墅〔べっしょ=別荘〕」は、杉風が所有していた採荼庵のことであるといわれている。享保17年(1732)死去、享年86.

 現在、杉風墓は伏見山成勝寺(じょうしょうじ=世田谷区宮坂2)にある。墓碑銘には「芭蕉翁の高足〔=一番弟子〕にして東三十三国の俳諧奉行と称せられる」とある。当寺は1460年代、蓮如上人の時、浄土真宗本願寺派に改宗し、明暦の大火(1657)後、浅草御坊のあった日本橋横山町から築地に移り、関東大震災(1923)後、現在地に移転した。杉風墓も昭和5年(1930)に改葬・再建されたそうだ。

 ■中央区歴史逍遥<1> ~松尾芭蕉門弟、日本橋生まれの杉山杉風~
 ■中央区歴史逍遥<1> ~松尾芭蕉門弟、日本橋生まれの杉山杉風~