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べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 ⑫
  ~ 勝川春章 ~

リモートで、愛する中央区をナビゲートします、rosemary  sea  です。

 

NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺(つたじゅうえいがのゆめばなし)~」、第11話もなかなか良かったですね。

第9話で足抜け失敗のうつせみと新之助との恋、見事実りました。微笑ましいお話です。

 

本当は『宝暦の色男』朋誠堂喜三二(ほうせいどうきさんじ)について書きたいところですが、彼は終わりの解説にもありました通り台東区繋がりです。中央区との縁は見つかりません。

ということで今回は「勝川春章(かつかわしゅんしょう)」について述べさせていただきます。

勝川春章は、第9話よりストックしてありました。

第11話にも出てきましたね。蔦重と俄(にわか)祭りを楽しんでいました。

そして「俄祭りの絵」として、墨摺りの冊子を蔦重から依頼されましたね。

春章さんは役者絵師ですが、美人画などでも画力を発揮しました。

それから春章さん、若い頃小伝馬町に住んでいた、とされています。

 

なお、冒頭画像は日本橋浜町3-3-3、濱町神社の鈴です。

それでは・・・

 

勝川春章は・・・

勝川春章は・・・ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 ⑫
  ~ 勝川春章 ~

上の画像は日本橋兜町1-12、兜神社の鈴です。

 

勝川春章

享保11年(1726年) ー 寛政4年(1792年)

江戸時代中期を代表する浮世絵師。

役者絵では役者個人の特徴を捉えた似顔絵風作画の先駆けとなりました。

春章の役者絵は細かな衣装の模様や情景の演出にもこだわり、観る者に舞台の臨場感を伝えるという工夫がされています。

春章のこうした革新は、のちの勝川派の画風にも大きな影響を与えました。

春章は、鳥居派が永年に亘り独占してきました役者絵に新たな写実的な手法を持ち込み、当時の歌舞伎俳優たちを活き活きと描きました。

また、肉筆の美人画でも細やかで優美な作風で高く評価されました。

春章の美人画は宮川派の流れを汲みつつもより気品があり、柔らかな線で描かれました。

 

春章は絵を宮川春水に、また高嵩谷(こう すうこく)にも師事しました。

絵師の北尾重政とは家が向かいで親しく、その指導も受けましたそうです。

春章は写実的でブロマイド的な役者似顔絵を確立させ、大衆に支持されたそうです。

その初めとなりましたのは、一筆斎文調との合作として明和7年(1770年)に刊行しました「絵本舞台扇」です。

その後、明快な色彩と、素直で誇張のない表現で人気を博しました。

特に「東扇(あずまおうぎ)」の連作は、人気役者の似顔絵を扇に仕立てて身近に愛用するために、扇の形に線が入っており、大首絵の先駆的作品とされました。

 

美人画の代表作としましては、蔦重が出版に関わった北尾重政と合筆の「青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせすがたかがみ:このシリーズ③の北尾重政の説明の際にご紹介しました)」があります。

肉筆画には「雪月花」や「竹林七妍(しちけん)」などがあります。

ほかに代表作として「かゐ(い)こやしない草」があります。

また春章は、葛飾北斎の師としても知られ、北斎の画風の基礎を築いた、とされています。

 

「べらぼう・・・」での勝川春章は・・・

「べらぼう・・・」での勝川春章は・・・ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 ⑫
  ~ 勝川春章 ~

上の画像は日本橋富沢町7-18、富澤稲荷神社の鈴です。

 

前野朋哉(まえのともや)さんが演じています。

とても味のある役者さんですね。

 

~ 勝川春章 ~

・・・葛飾北斎の師匠で、当代一の役者絵師・・・

蔦重(横浜流星さん)が手がけた『青楼美人合姿鏡(せいろうびじんあわせかがみ)』を北尾重政(橋本淳さん: 【このシリーズ③でご紹介済】)と共に描いた当代一の役者絵師。

のちに葛飾北斎など多くの弟子を抱え、役者似顔絵を得意とする勝川派の代表となり、喜多川歌麿(染谷将太さん)の「美人画」や写楽の「大首絵」に大きな影響を与えることになる。

ー NHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」ホームページより ー

 

江戸古典落語「中村仲蔵(なかむらなかぞう)」につきまして・・・

江戸古典落語「中村仲蔵(なかむらなかぞう)」につきまして・・・ べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 ⑫
  ~ 勝川春章 ~

上の画像は日本橋人形町2-25-20、末廣神社の鈴です。

 

春章さん、東扇で「中村仲蔵」も描いています。

※ 東扇・初代中村仲蔵 勝川春章/画の画像は 文化遺産オンライン でご覧ください。

 

江戸古典落語「中村仲蔵」を、以前こちらのブログで書かせていただきました。

⇒ 2020年7月22日「人形町駅から行ける、静かな佇まいの神社⑬ ~福田稲荷神社~」

改めまして載せさせていただきます。一時歌舞伎役者を辞めて人形町で酒屋をしていたことのある中村仲蔵、その中村仲蔵が主人公です。

 

「中村仲蔵」

名題になったのに、中村仲蔵についた役は忠臣蔵5段目の斧定九郎(おのさだくろう)の一役、その役もあまりいい役ではありません。

しかし芸熱心な仲蔵、家老職の息子の定九郎が山賊姿の出で立ち、というのに疑問を持つが、工夫したいのに案が浮かばない。

そこで柳島の妙見様に願掛け、その満願の日、夕立に遭い蕎麦屋で雨宿り。

そこへ「許せ」と入ってきた浪人風、年の頃三十二、三。

背が高く、色白細身のいい男だが、月代(さかやき)が伸びている。

黒羽二重(くろはぶたえ)の紋付に茶献上の帯、大小を落とし差しにして腰に雪駄(せった)を挟み、破れた蛇の目傘も放り出す。

月代や着物の雫を払っている。

仲蔵は「これだ」と思い、さっそく帰って定九郎の衣装身なりを変えてこしらえました。

 

いよいよ明日が初日という前の晩、仲蔵は女房に「もし定九郎の役がうまくいかなかったら、江戸を出て修行をし直す。」と打ち明けます。

初日、工夫した衣装姿に、出番前に手桶で頭から水をかけ、水をしたたらせながら舞台へ駆け込む。

場内、水を打ったような静けさに。

 

やり損なったと感じた仲蔵、家に帰って旅支度、一人表へ出る。

すれ違う人の会話を漏れ聞く。

「どうだい、今日の定九郎・・・」「凄い役者が出たもんだ・・・」「あれを見なきゃ江戸っ子の恥だ・・・」と。

思い直して家へ戻る。そこに師匠の中村伝九郎から使者が。

師匠を訪ねると「仲蔵、お前の定九郎は後の世の手本になる。この煙草(たばこ)入れをやるよ。」

 

家に着いて女房に手を合わせると「いやだよ、拝んだりして。けむに巻かれたようですよ。」

仲蔵、「もらったのは煙草入れだ。」

 

 べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 異聞 ⑫
  ~ 勝川春章 ~

上の画像は日本橋浜町3-30-6、大廣神社の鈴です。

 

・・・これからもべらぼう~蔦重栄華乃夢噺~を、つぶさに視聴したいと思います。