小江戸板橋 プロフィール
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時空を超えてつながる街並み
日本橋室町を歩くと、ふーっと博物館の中を進んでいる感覚になることがあります。 国の重要文化財に指定されている「日本橋」から北に進路を取れば、三越日本橋本店、三井本館、さらに日本銀行本店本館と重要文化財の建物が連なります。 日本の近代建築史をたどることができる生きた資料が目の前に広がり、しかも現在も様々な経済活動に利用されている建造物群なのです。 令和の時代の重厚で華やかな街並みを歩くのも素敵ですが、同じ道筋を一挙に弐百壱拾八年をタイムスリップして眺めることができる場所があるのです。
歴史・文化日本橋・京橋周辺小江戸板橋
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夏の夜の闇の向こう側
ポケモンのモンスターボールに似ているね。 でも、ちょっと違うんだな。 異常な暑さの夏。 寝苦しい夜は、たまらない。 夜更けにふと目が覚めて、眠れぬままに手を伸ばしたのは怪談本だった。 異界のおどろおどろしい気配が、寝床の周りに立ちのぼってきた。 日本の怪談話の中で、最も恐ろしい姿で現われる最強の怨霊であり、最も広く知られている怪異は、「東海道四谷怪談」の『お岩様』ではないだろうか。 私がお岩様に遭ったのは、まだ幼い頃だった。 母は、泣いてぐずる私を背負いあやしながら、深夜でも明かりが灯っている駅前通りを歩いていた。 駅前には映画館が2軒並んでいる。 当時の映画館は、上映の内容を絵看板で表わしていた。 上映に備えて、職人さん達が巨大な絵看板を掛け替えていた。 見てしまった。 工事用の裸電球に浮かび上がったのは、顔が半面崩れ、髪を振り乱す、泥絵具を塗り固めた『お岩様』だった。 私は母の背に顔を擦り付け、身を硬くしてしがみついた。 若い母は、夢中で走ってその場を離れた。 それからしばらく、駅前に近づくことさえ嫌だった。
歴史・文化築地・八丁堀周辺小江戸板橋
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