ドボクルーズに乗船しました。 ~小名木川コース~
日本橋南詰東側に「滝の広場」があります。
広場の先に設けられた「日本橋船着場」が、先月実施されたドボクルーズの出発地点でした。
「銀造」さんが10月2日9:00にアップされた特派員ブログ「第11回 江戸東京・川のなぜなぜ舟めぐり」で「小名木川コース」を紹介されています。
私が乗船した行程は逆を行くもので、「旧中川水彩パーク船着場」を目指します。
神出鬼没の先輩特派員「銀造」さんと狙いどころが同じだったことが、少し嬉しく、コースの概要はそちらに委ねます。
乗船する船は「江戸号」。
10人乗りの蓄電式小型船舶です。
他の観光船に比べあまりスピードは出ないようですが、エンジン音が静かで、小回りが利きます。
屋根付きで、多少の雨なら防いでくれます。
隅田川に出れば、対向する船が起こす波でも揺れを楽しむことができます。
乗客は、腰に巻くタイプのライフジャケットを着用し乗り込みました。
※ ドボクルーズのパンフレットから
ドボクルーズは人気の企画で、参加するために毎年高倍率の抽選になります。
希望者が集中するだろう「神田川」や「東京ベイ」コースを避け、東西一直線に走る「小名木川」なら当選しやすいかなと応募しました。
あっ、「小名木川コース」が地味だって事じゃないんですよ。
航行の途中に「水のエレベーター」とも、「東京のパナマ運河」ともいわれる「扇橋閘門(おうぎばしこうもん)」を船上から体験できるなど、素敵なイベントも待っているのです。
川に沿って水辺を散策したことがあり、機会があれば船から交差する橋梁を見上げてみたいと思っていたところだったのです。
案内図が COOL!
乗船時に配布されたコースの案内図。
それを手にしただけで、満足度メーターが100を振り切りました。
萬延元年(1860年)の絵地図に、セロハン紙に印刷した現在のコース図が重ねられています。
歴史の移り変わりが一目でわかります。
この案内図を制作した担当者のセンスに、素敵だなぁと共感しました。
写真を撮るのもしばし忘れて、地図を眺めてしまいました。
近年、現在の地図と江戸時代の古地図を組み合わせて編集した歴史地図が多種出版されています。
江戸の街を舞台にした歴史物・時代小説を読むときに、けっこう重宝していました。
「小名木川」は隅田川から旧中川まで東西にほぼ一直線に流れる、全長4.64㎞の河川です。
江戸に入府した徳川家康公が、小名木四郎兵衛に命じて開削させました。
江戸の街が造られていく過程で多くの資材が運ばれ、膨れ上がる人口を支える、塩や米などの生活必需品も諸国から送られました。
一直線の河川は、そと海に比べ安全で効率の良い輸送路として活用されました。
コースのメイン「扇橋閘門」
江東デルタ地帯の水面の高さが違う河川を通行するため、ゲートを用いて水位を変える大規模な設備装置です。
2019年に大掛かりな耐震工事を完了させ、自然災害から都市を守る、力強い川の番人として機能しています。
ところで、閘門の利用料金はいくらでしょうか。
・・・なんと無料なのです。
船舶だけでなく、カヌーやカヤックなどで通行する人もいるのだとか。
観光やレクリエーションで利用する方も増えているそうです。
水面に接した位置で水位差を感じる、稀な体験が魅力です。
株式会社建設技術研究所の東京本社環境部に在籍する大須賀さんが、主として航行中の案内を担当。
護岸の様子が、閘門の東西で違いがあること。
旧中川側である東側の護岸は低く、遊歩道や植生されたエリアがあり、より親水性が高いことなど、環境面から見た小名木川の押し所をわかり易く教えてくださいました。
私の小名木川
※ クルーズの終点、「旧中川水彩パーク船着場」
子供のころ、東北本線沿線に住んでいた私は、「小名木川」という地名を知っていました。
国鉄の貨物車両の有蓋車(屋根のある貨物車)ワムのサボ(サイドボード)に、「小名木川」と行き先が表示されていました。
ガタガタン、ガタガタンと小気味よい音を響かせる長大貨物列車。
連結された何十両もの貨車の数を数えるのが、遊びの一つでした。
現在、貨物ターミナルの跡地は、大型商業施設に変貌を遂げています。
私の抱いていた「小名木川」という地名に、河川・水運の鮮やかなイメージが上書きされました。