小江戸板橋

冬の装いも、まもなく

お待たせいたしました。

ねりきり抹茶セットです。

ねりきりの花は水仙。

柚子を練り込んだ白あんです。

 

再び押し寄せた寒波。

ビル風が、地上に強烈に吹き降ろします。

手袋を通してまで、寒さがしみ込みます。

でも、庭園に入ると、周囲のビルが盾となるのか、風が穏やかに変わったように感じます。

 

 冬の装いも、まもなく

浜離宮恩賜庭園

海水を引き入れた「潮入の池」

池の中にある「中島の御茶屋」

温かい飲み物をいただきたいと入りました。

 

ほのかな柚子の香り。

きれいに泡立った抹茶。

ふうっと、肩の力が抜けていきます。

ティーセレモニー

ティーセレモニー 冬の装いも、まもなく

強く印象に残っているお茶があります。

40年ほど前に、3週間ほど米国のモンタナ州の街にホームステイしました。

関係者を招いて歓迎会を開いてくださった折に、盆踊りや、武田節を詩吟入りで披露しました。

何か、日本的なものでおもてなしに応えたいと、けっこう頑張ったのです。

 

スーツケースに、抹茶と茶筅を入れていました。

袱紗と茶巾は、洗い立てのバンダナで、

茶杓はティースプーンで、

お湯は、ポットから、

茶碗は、コミュニティセンターにあった食器からお借りしました。

 

日本から来た青年が、コットンパンツのまま、威儀を正して茶筅を動かします。

シャボシャボシャボ。

一挙手一投足に注目を浴びながら点てた一杯。

「うん、甘い、おいしい」

 

 冬の装いも、まもなく

強風の中を浜離宮に来たのは、早春の松を見たいと思ったからです。

10月下旬に準備された冬の装いは、3月上旬には取り外されます。

雪吊り

雪吊り 冬の装いも、まもなく

雪が付着して、その重みで枝が折れないように、縄で枝を支えます。

松の木のてっぺんから円錐形に張られた縄は、枝を守るという目的にとどまらず、冬の風物詩を鮮やかに書き上げてくれます。

帆柱と吊り縄。てっぺんのボッチも趣があります。

菰巻き

菰巻き 冬の装いも、まもなく

松の木が冬に着る「腹巻」

藁で作ったむしろが菰巻きです。

寒さ対策ではなく、害虫対策の目的があります。

 

 冬の装いも、まもなく

マツカレハの幼虫が、松の樹木に甚大な食害を及ぼします。

菰の上部の縄を虫が入りやすいように緩くし、下部は逃げ出さないようにきつく縛ります。

二十四節気の「啓蟄」、冬ごもりの虫が這いだすという三月上旬に取り外し、駆除します。

霜よけ

霜よけ 冬の装いも、まもなく

庭園の入口近くに、藁で作ったキノコのようなかわいい形を見つけることができます。

蘇鉄やデイゴなどの植物を、寒さから守るものです。

庭園のキング

庭園のキング 冬の装いも、まもなく

冬晴れの空気の中で、松の枝も葉も輝きます。

浜離宮の松の樹木は、丹精に育て上げられた盆栽の中に身を置くような楽しさがあります。

黄色は私たち

黄色は私たち 冬の装いも、まもなく

初春の浜離宮を描くのに、省いてはいけないものがあるでしょう。

分かっています。

大手門を入ると正面に、黄色がその存在を主張しています。

「黄色というのは、私たちのことを言うのですよ」と。

 

では、紅梅の枝とともに、地上に広がる菜の花をどうぞ。