夏の絵日記 ~洗おう「名橋日本橋」~
7月28日 日曜日 ピッカピカの晴れ
太陽の日差しが窓に差し込むと、その暑さで目が覚めた。
今日も溶けそうな一日になりそうだ。
でも今朝のボクは、起きた時からルンルンしている。
一年に一度、7月の第4日曜日に行われる、日本橋の橋洗いに参加するんだ。
パパの会社の人と一緒に、デッキブラシで橋を洗うんだ。
パパは「ブラシの花が咲いている」という。
ボクは、魔女の飛行道具だと思っていた。
開始時間の9時が近くなると、町会のおじさん達や会社の人たちが、お揃いのハンテンを着て集まってきた。
会社の偉い人も来ていた。
挨拶すると「おっ元気だな。しっかり頼むよ。」と言われた。
顔は怖そうだったけど、笑った顔はいい人ぽかった。
道路の真ん中に埋められているもの
ボクが知っている大切なことを教えてあげる。
日本橋には、国道の始まる地点を表す「日本国道路元標」が埋め込まれているんだ。
道路の真ん中にあるから、いつもは見ることができない。
見られちゃう今日は、特別な日だ。
開会式の後に、大きな散水車が勢ぞろいした。
いよいよだと思うと、ドキドキしてきた。
散水車が威力を発揮する。
ジャバ、ジャバ、ジャバ、ジャバ。
周りの気温が、3度くらい下がった。
洗剤の泡がわくと、みんなの気持ちが高まった。
デッキブラシは、腰を入れて、こう使うんだよ。
ゴシゴシというより、シュッシュッという感じにさ。
小さな子も頑張っていた。
大きくなったら、ボクみたいな「橋洗いのプロ」になれるかもしれないね。
仕上げは、消防団のポンプ車が活躍するんだ。
小さいけれど、パワーが凄いんだよ。
道路の泡もきれいにするし、そして、高速道路にある「日本橋」の橋名板にも放水してきれいにする。
名橋「日本橋」橋洗いは、昭和46年(1971年)から行われてきた歴史のあるイベントなんだって。
ボクの年より、ずっと長く続いてきている。
帰りに、元標のタオルハンカチを買ってもらった。
4月に発売されたんだって。
うふっ、ボクは、本物を見ているけどね。
家に着くと、セミが凄い勢いで鳴いていた。
せみしぐれの中、ボクの夏休みは過ぎて行く。