時空を超える大型ステンドグラス ~地下の宝物~
梅雨明け間近の激しい雨。
地面からの跳ね返りで、靴もズボンの裾もびしょ濡れ。
こんな日に目的地へ向かうための頼れる味方が、地下通路、地下街です。
大都市のターミナルにおいて、歩行者との立体交差を図り、交通の利便性を高める施設。
ありがたい、ありがたい。
濡れないことが、こんなに快適なのだ。
雨のしずくを払い、傘袋にしまい、ほっとひと息。
梅雨が明ければ、猛暑。その暑さも防いでくれる。
冬季においても寒さや積雪からも守ってくれる。
案内表示をたどれば、短時間で目的地に導いてくれる。
ありがたい。ありがたい。地下の道。
おやぁ、正面前方に広がる明かりは。
近づいてみましょう。
「日本橋南詰盛況乃圖」
東京メトロ日本橋駅B2出入口付近。
銀座線日本橋駅のリニューアルに伴い、2021年7月1日に公開されたパブリックアートです。
壁一面の大型ステンドグラス。
縦2.1m、横6m。なかなかの迫力。
二段、12面に街並みが描かれています。
日本橋南詰、江戸から未来へ続く繁盛の様子。
山口晃氏が3年の歳月をかけて原画を描き、専門工房で制作された1,182ピースのガラスで構成されています。
大きさや煌びやかさに圧倒されて、細部まで見る機会が少ないかもしれません。
外の雨が止むまで、じっくり見ることにしましょう。
やはり、日本橋がどう描かれているか気になります。
木造の太鼓橋状になった日本橋。
神様が住まうような寺社建築と橋が一体になっています。
その下に電車の駅があり、高速道路や川筋が走り、様々な物資が行きかう様子が見られます。
野村ビルディング旧館が、印象的な色合いで配置されています。
一石橋のたもとに立つ柱石には、迷子シルベとの表記があります。
ほら、あの場所ですよ。今も残っています。
時間が勢いよく行き来しています。
江戸時代と現代と未来とが、幾重にも折り重なるように配置されています。
空に浮かぶ雲の中にも、江戸の時代が町名とともに現れます。
ビルの屋上から流れ出す水の通り道は、まるで尽きることのない永久機関を表しているように見えます。
繁盛も、永久機関のように・・。
高いビルがあれば、実際にはその先は見えません。
でも、ビルをシースルーにしたら。
ガラスの縁取りをつなげて見れば・・。
COREDO日本橋ビルが現れます。
大変です。大変です。
事故発生!
永代通りと昭和通りの交差点。皆さん気を付けてください。
交通機関といえば、屋根にビューゲルを乗せた多層式の路面電車が走っていました。
この形、そう日本橋ダイヤビルディングの形状を連想させませんか。
もう雨、上がったかな。
ステンドグラスの時空を超えた街並みから、リアルな南詰へ。
急速に変化を遂げるエリア。
変化し続ける街並み。受け継がれ、残り続ける街の風情。
ステンドグラスの中の時間旅行。
お時間があるときのお勧めです。