海に面する江戸城惣構え?浜離宮の持つ役割とは。
晴天の休日、季節の花を楽しみたいと浜離宮恩賜庭園を訪ねました。
八重桜から区の花であるツツジ・サツキへ、陽の光の中、色も香りも鮮やかに立ち上っています。
特別名勝、特別史跡。
その恵まれた景観の中に身を置く贅沢な時間。
散策の途中で見つけてしまいました。
花木園の中にある休憩所の一隅で、銅板で覆われた大手門のミニチュア模型。
そうか、特に意識せずに通っていた浜離宮の出入口は、桝形だったのか。
桝形(ますがた)は城郭の虎口に設ける防御・攻撃両面に有効な施設で、高麗門(こうらいもん)と櫓門(やぐらもん)を直角に配置します。
桝形に侵入した敵は、折れ曲がる進路に躊躇している間に、櫓門の高い位置から鉄砲や弓で狙い撃ちされてしまうのです。
どうして、桝形と気づかずに通り過ぎていたのか。
庭園という戦闘から離れた施設であり、ひたすら目的の花々に向かっていたから。
それに、桝形の中に何台もの観光バスが駐車しているという、他の城郭とは比べようのない広さだったから。
内法、43m×27m。実に広い空間です。
そういえば、江戸城から海に展開する地理的な位置から、出城の役割も有していたといわれています。
江戸城から直線距離で約2km。
築地川を水堀として、大手門で結ぶ。
門の土台を形作る石垣は、堅牢な切込み接ぎ。
約500m四方の庭園は、海に突き出た強力な防御施設に変化します。
幕末期に、庭園内に砲台が築かれたり、近隣の築地に海軍の基地機能が展開するなど、機能的な変遷にも興味が湧きます。
現在の大手門は、関東大震災により橋、櫓、門が焼失していますので、焼け跡が残る石垣から想像力をフルに可動させてイメージしなければなりません。
次に来るときは、古写真などから庭園に残る石垣をピックアップし、防御機能の有り様を調べてみましょう。
想像力を振り絞って疲労を感じたら、中島の御茶屋で抹茶をいただき、少しまったりとした時間を過ごしましょう。