さあ、景気の良い話をしよう。~日本銀行本店本館のこと~
2022年、師走。
サッカーワールドカップ、カタール大会。
中東の地において、サムライブルーが世界に名を轟かした熱闘の余韻も覚めやらぬ中、関東の初雪の便りに年の瀬の迫り来る気配が感じられます。
さあ、景気の良い話でもしましょうか。
ここは日本銀行本店本館。
その地下にある大金庫。
金庫と言っても、単純な固体の鉄製の入れ物を想像してもらっては困ります。
金庫室エリアとも言うべき空間へいざなう、重厚な扉なのです。
扉の奥にはぁ~。
ひと目で、1千億円。
1万円札が1万枚で、1億円。
それが、40包づつ台に積まれて25パレット。
しめて、1千億円。 100 billion yen。
紙は紙幣に用いられている物と同じだそうですが、印刷はされていません。
ええい。年末だ!
こっちの金塊も見せましょう。金のインゴット。
金だから重いですぞ。
でも、「展示物に手を触れないでください」の注意書きがあるので、実際の重量は分かりません。
あれっ。
そうです。お察しの通り、これらの写真は、日本銀行本店本館内の撮影許可エリアで撮った展示物なのです。
「日本銀行本店本館見学会」
辰野金吾の設計により明治29年(1896年)に竣工し、関東大震災などの災害を乗り越えて、昭和49年(1974年)に国の重要文化財に指定された建造物。
専任のガイドさんの解説を聞きながら、その建物の中を巡ることができるのです。
そのような素敵なチャンスを、みすみす見逃す手はありません。
予約サイトを開いたのは、夏の盛り。
でしたが、見学会はコロナ禍シフトになっていましたので、希望者が集中する中で予約可能な日時は相当先になりました。
でも、待つだけの価値は充分にあります。
中央銀行で、発券銀行、銀行の銀行、政府の銀行。
その機能と歴史を、重要文化財の建物の中に身を置いて学べるのです。
見学者に配付された資料は、とても分かりやすく、学校の長期休暇時の自由研究にも活用できそうです。
生まれ変わる「日本銀行券」
興味ある展示といえば、2024年度上期を目途に発行が予定されている新しいお札、日本銀行券。
壱万円札の肖像は、ご存じ「渋沢栄一」翁です。
比較的若い時代の容貌ですね。
裏面の絵柄は、東京駅丸の内赤れんが駅舎です。
同じ辰野金吾の設計による建造物です。
なかなかおしゃれな組み合わせです。
建物の内部(客溜と営業場)
1階の客溜(待合スペース)も、見学コースの中で、撮影可能な場所です。
自然光を取り入れた高い天井。
柱や窓に施された数々の装飾。
とても機能的で、美しい状態に保存されていました。
明治時代の本店の執務風景が、写真を組み合わせて展示されています。
制服姿の職員が仕事をしています。
見学終了時間が迫ったころ、客溜の一角から、拍子木の乾いた音が響いてきました。
カン、カン、カン、カンと4回打ち鳴らされます。
おしゃれな演出です。
開業以来、本館に営業場が置かれていた昭和44年(1969年)までの期間、始業・終業時間の伝達手段として、拍子木が使われていたのだそうです。
始業時には、カン、カン、カンと3回。
これには、『は、じ、め』の意味が込められています。
では、終業時の4回は何を意味しているのでしょうか。
重要度を増す経済・金融政策
国の経済は、もはや、世界情勢の変化を直に受け、国民生活の安定や発展を図るための舵取りはますます困難になっています。
こうした時こそ、経済・金融の機能を担う中央銀行の役割を学ぶまたとない機会です。
昨今の新聞紙面にも生きた事例がたくさん載っています。
物価の高騰や円安の動向などから生じる、緊張や不安も尽きません。
年の瀬を迎えた慌ただしい時期ですが、ひととき、ワールドカップを勝ち進んだことによる経済効果などに、思いを馳せてみるのも楽しいことです。
※ 旧常磐橋側から見た、日本銀行本店本館
本店本館の見学は、インターネットでオンライン参加もできます。
「おうちで、にちぎん」は、映像も綺麗でゲーム感覚で楽しめます。
さて、私、
お宝は溜まる当てもないのですが、おかげさまで子宝には恵まれて、孫達のはしゃぎ回る声が絶えません。
コロナ禍でも、折々に送信される写真や動画に癒やされています。
どうぞ、今年も無事に収りますように。
カン、カン、カン、カン。
『お、し、ま、い』