サム

2023 春寒 静謐なニホンスイセンの香り

 2023 春寒 静謐なニホンスイセンの香り

 暦の上では立春を過ぎたものの、暖かさと寒さが繰り返す、所謂「三寒四温」を肌で感じる日々が続く季節ですが、厳寒期に開花する植物のひとつが清楚で可憐な「ニホンスイセン」。      スイセンはヒガンバナ科スイセン属の多年草。通常スイセンといえばニホンスイセンを指すことが多いですが、スイセン属の総称としても使われます。名前の由来は漢名の音読みとされます。      原種は約30種あるとされ、作出された園芸品種は数多くあります。ニホンスイセンは、原産地の地中海地方からシルクロード、中国を経て渡来し、野生化したとされます。             一本の茎から複数の花を咲かせる房咲きで、6枚の花被(花弁と萼)は白色、雄しべと雌しべを取り囲んでいる真ん中のカップ状の副花冠は黄色で、俯き加減に咲きます。              透明感のある仄かな甘さの中に、フローラルグリーンの香りが特徴とされ、リナロール、ベンゼルアセテートなどで構成される香気成分は、ストレス軽減効果を有するとの研究報告もあると聞きます。  阪神淡路大震災の被災地で、上皇后陛下が皇居に咲いていたニホンスイセン17本を献花され、復興のシンボルとなったとの逸話もあります。                             浜離宮恩賜庭園の梅林遊歩道脇に、ニホンスイセンが寒さに負けず凛として咲いています。