2023 夏の始まりを告げる花木 "ヒペリカム"
キンシバイは、中国原産で江戸時代に渡来したとされる、オトギリソウ科オトギリソウ属の半常緑性小低木で、和名は中国名の金糸梅に由来し、花弁を梅に、雄しべを金糸に喩えたとされます。 明るい緑色の対生の葉を付けた赤みを帯びた枝先に、カップ状の可愛らしい鮮黄色の花を咲かせ、コントラストが美しく、切花や華道の花材にも利用され、和洋何れの庭にも違和感がないとされます。キンシバイの仲間(オトギリソウ属)は総称して広義の「ヒペリカム」と呼ばれますが、狭義には、キンシバイやビヨウヤナギといった品種を指すこともあるようです。 キンシバイの花弁は5片で厚く光沢があり、回旋状に重なり合い、雌しべの花柱は5本、雄しべは約60本ずつ5つの束に分かれます。 外見が似る近縁種で、花が美しく葉がヤナギ似から名付けられたビヨウヤナギは、花弁が歪な楔形で離生し、雄しべが広がり花弁より長く目立つので識別できます。 近年は、花径が大きくほぼ平開し多花性の園芸品種のヒペリカム 'ヒドコート' (別名 タイリンキンシバイ)の人気が高く、日本全国、庭木や公園樹として広く植栽されています。 浜離宮恩賜庭園 花木園内に於いても、内堀沿いの遊歩道脇の植え込みに株一面開花中で、梅雨時から盛夏へと移り変わる季節を知らせてくれています。